婚約破棄のち魔法使いに愛されて復讐します〜悪役令嬢が処刑されても生きていた件〜

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エリーの助け

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「悪の令嬢、ユフィ―はここに死した!」





ああっ、少し寒いかしら……。ここは?天国と現世の狭間かしら……?

キャッ!冷たい。あれっ……この懐かしい手触りはなにかしら?

「フィー…………ユフィ―……姉様……」

ユフィ―……私のことを呼んでいるの?ああっ、それにしてもよく寝たわ……。もう少しでたどり着くのかしら?

「ユフィ―お姉様……ユフィ―お姉様!やっと目を覚まされたのですね?ああっ、お姉様!」

この可愛い子猫ちゃんは……まさか、エリー?

「あなた、エリーなの?」

「はいっ、お姉様!」

間違いなくエリーだった。得体の知れない少女。私のことをお姉様と慕う可愛い子猫ちゃん。

「わたし……わたしね、お姉様が本当に死んじゃうかと思って心配したんですよ……」

エリーがその小顔に似合わない大粒の涙を流そうとしたので、すかさず私は抱き寄せて、よしよしした。

「ああっ、ごめんね。ありがとう……。私のために泣いてくれる人なんて多くないからね……。嬉しいよ」

「お姉様……そんなことで喜ばないでください。お姉様は悪の令嬢なんかじゃありません。あまりにも美しく善良であるから、この世界では悪役になってしまうのです……。お姉様、私がお姉様の敵をとりますから、安心してください……!」


……ところで。

「あの、一つ質問してもいいかしら?」

「はい、何でしょうか?」

「どうして私、生きてるの?」

「どうしてって……私の愛のなせる業じゃないでしょうか?」

「真面目に答えて!」

「…………私の回復魔法です」

回復魔法……またすごいことを言い出すな……。

「お姉様は一度お亡くなりになりました。遺体を引き取って、すぐに魔法を使ったおかげで、すぐ戻ってこられましたね!」

なるほど……やっぱり一度は死んだのか?

「ああっ、もちろん、傷一つありませんよ!昔の美しいお姉様のままですよ!安心してください……」

「エリー?」

「ええええっ……お姉様?」

私はエリーを両手で抱き寄せた。

「おおおおおお姉様?そんな、私、まだ心のじゅ……」

私はエリーのおでこに口づけをした。

「おお……おねえひゃまああぁっ……」


エリー・バルロッテ

人間世界と神々の黄昏を行き来するとされる特定魔法使い。神々の意向によって行動する。愛を求め続ける。特定の対象に愛情を抱いたとき、全ての魔法は2倍に強化される。攻撃魔法と防御魔法のスキルは人間世界の科学技術を10世紀分凌駕している……。

なるほど、とんでもない魔法使い……なのか?

「おねえひゃまああぁっ……わたしはぁっ……しあわせでしゅぅっ……」

なるほど、私一人生き返らせるなんて、容易いことなのか。

少し休ませてあげよう。私を葬った貴族たちにたっぷり復讐しなくちゃ。

まずは第一王子のマルサスから。

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