Melting Dead 最弱の科学者が紡ぐ世界

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2082年 1月20日 その2

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 帰り際、正は小論文について説明した。
「そう言えば、今回のテーマは、ロボットと人殺しに関する議論でした。いや、非常に興味深かったです」
「お前のことだ。どうせ、ロボットの方が優秀だから、それは肯定される、とでも書いたんだろう」
「よく分かりますね」
「全く、お前ってやつは……。まぁ、いいや。俺も昔はそんな感じだったからな。教師の言うことなんか聞かなかった。最も、こんなに早くロボット技術が進歩するとは思わなかったがな。俺らの頃は、核融合の理論が出来上がって盛り上がっていたっけ。小論文のテーマは、核開発と人間の未来だったような……」

 正は一つの仮説を投げかけた。それは、一年間を通して時より覗かせる、相川の側面に過ぎなかった。

「先生は随分と科学院の事情にお詳しいんですね」
「お前よりは詳しいはずだ。お前の持っていないものを一つ持っているからな」
「それは何です?」
 
 相川は、名刺サイズのカードを取り出し、正に見せた。
「散々迷ったのだが、今ならいいだろう」
 それは、国立科学院の卒業生であることを証明する、“アカデミアンカード”だった。正は、カードと相川を交互に見遣った。
「つまり……先生はアカデミアンですか?」
「ははは……。よく知ってるな。そうそう、そうゆう名前だっけ?」 

 相川は首を縦に振った。
「科学院では、言語学を専攻した。良いところまでいったんだがね。上には上がいるってもんだ。俺の頭じゃ到底太刀打ち出来なかった。正。お前なら、俺の乗り越えられなかった壁を越えられるだろう。お前が歴史に残る科学者になることを、先輩として楽しみに待っているぞ」
 
 相川はそう言って、正の元を去った。闘魂燃えたぎるアカデミアンの背中は一つの歴史を示していた。正は、相川と握手した指の感触を思い返した。
「先輩だったのか……」
 正は、相川の言葉を何度か、頭の中で繰り返した。

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