15 / 46
その15
しおりを挟む
それから、サルコイド伯爵は屋敷の中を案内してくれました。外観は確かに古めかしいのですが、内装はそれほどに整っておりました。しかしながら、不思議なことにこの屋敷の住人は伯爵1人だけなのでしょうか。どれほど散策しても、伯爵以外の人の姿を見る事はありませんでした。気になったので質問しようとしましたが、今はあまり伯爵と話をしようとは思いませんでしたので、とりあえず胸にしまい込んでおきました。
部屋の案内が一通り終わると、伯爵は私のために用意された部屋へ案内してくれました。大きさはそれほど大きくはありませんでしたが、普通に生活するには十分な位の広さでした。
「都会育ちのご令嬢だから、少し小さくはありませんかね?」
伯爵は嫌みを込めて、私に質問したようでした。
「いいえ、そんなことは決してありませんわ。これくらいの方が、私にはちょうど良いのです」
私がそう答えますと、伯爵は、
「ああ……そうですか」
と言いました。
「それだったら、あの物好きなメイドはあなたの友達になるかもしれませんね……」
伯爵は、急にメイドの話をし始めました。どうやらこの屋敷には、メイドが1人はいるようです。先ほどは、その姿を伺い知ることができませんでしたけれども。
今度は、私の方から質問してみました。
「この屋敷には、あなた様のメイドがいらっしゃるのですか?」
すると、伯爵は少し考え込んで、
「まあ、いるにはいるんですが……」
と言いました。伯爵のはっきりとしない答えに、私はますます疑問を感じるようになりました。
「はっきりして下さいな。いるんですか、いないんですか?」
「ええ、いますよ。ですが……屋敷のどこかに隠れています……」
隠れている……私はその言葉の意味がいまいちわかりませんでした。まさか、かくれんぼをしているわけではありませんし、どこかに隠れているとは一体どういう意味でしょうか。
「そうだ、せっかくですから、ご自分でお探しになってみてはいかがですか?」
主人のメイドだと言うのに、その所在を知らない。そして、新しくやってきた、かりそめの婚約者にメイドを探させる……伯爵はやはりおかしな人だとつくづく思いました。
もちろん、私に異を唱える権利なんて、これっぽっちもなかったのですが。
伯爵に言われてしまったので、私は仕方なく、そのメイドとやらを探すことにいたしました。しかしながら、そのメイドは案外すぐ見つかりました。何故かと言えば、私の部屋の隅っこに隠れていたからです。
部屋の案内が一通り終わると、伯爵は私のために用意された部屋へ案内してくれました。大きさはそれほど大きくはありませんでしたが、普通に生活するには十分な位の広さでした。
「都会育ちのご令嬢だから、少し小さくはありませんかね?」
伯爵は嫌みを込めて、私に質問したようでした。
「いいえ、そんなことは決してありませんわ。これくらいの方が、私にはちょうど良いのです」
私がそう答えますと、伯爵は、
「ああ……そうですか」
と言いました。
「それだったら、あの物好きなメイドはあなたの友達になるかもしれませんね……」
伯爵は、急にメイドの話をし始めました。どうやらこの屋敷には、メイドが1人はいるようです。先ほどは、その姿を伺い知ることができませんでしたけれども。
今度は、私の方から質問してみました。
「この屋敷には、あなた様のメイドがいらっしゃるのですか?」
すると、伯爵は少し考え込んで、
「まあ、いるにはいるんですが……」
と言いました。伯爵のはっきりとしない答えに、私はますます疑問を感じるようになりました。
「はっきりして下さいな。いるんですか、いないんですか?」
「ええ、いますよ。ですが……屋敷のどこかに隠れています……」
隠れている……私はその言葉の意味がいまいちわかりませんでした。まさか、かくれんぼをしているわけではありませんし、どこかに隠れているとは一体どういう意味でしょうか。
「そうだ、せっかくですから、ご自分でお探しになってみてはいかがですか?」
主人のメイドだと言うのに、その所在を知らない。そして、新しくやってきた、かりそめの婚約者にメイドを探させる……伯爵はやはりおかしな人だとつくづく思いました。
もちろん、私に異を唱える権利なんて、これっぽっちもなかったのですが。
伯爵に言われてしまったので、私は仕方なく、そのメイドとやらを探すことにいたしました。しかしながら、そのメイドは案外すぐ見つかりました。何故かと言えば、私の部屋の隅っこに隠れていたからです。
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう
ムラサメ
恋愛
漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。
死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。
しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。
向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。
一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?
婚約破棄されたので、とりあえず王太子のことは忘れます!
パリパリかぷちーの
恋愛
クライネルト公爵令嬢のリーチュは、王太子ジークフリートから卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を告げられる。しかし、王太子妃教育から解放されることを喜ぶリーチュは全く意に介さず、むしろ祝杯をあげる始末。彼女は領地の離宮に引きこもり、趣味である薬草園作りに没頭する自由な日々を謳歌し始める。
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる