都合のいい妹に婚約者を寝取られて婚約破棄されました~辺境に逃れたら再び恋の嵐?~

tartan321

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その16

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メイドは、大きなタンスとゴミ箱の間に挟まっておりました。本当に、かくれんぼでもしているつもりなのでしょうか。

「あの……そこで何をしているのかしら?」

私が質問すると、メイドは急に立ち上がって、

「きゃあああああああっ!」

と悲鳴を上げました。

「ちょっと、一体どうしたの。落ち着きなさいよ」

私がこう言いますと、メイドは、

「あら……ひょっとして、あなたがマリア様でいらっしゃいますか?」

と言いました。

「そうだけど……」

私は答えました。

「やっぱり!噂には聞いておりましたが、あああー、そうですか。やはりあなたがマリア様だったのですね!」

まさか、婚約破棄と言う話はメイドにまで広がっていたのですか。やれやれです。

「始めまして!メイドのマイマイと言います。よろしくお願いします!」

ああ、元気のあるカタツムリ……なんちゃって。随分と変わった名前でした。ひょっとして、伯爵がつけたあだ名でしょうか?

「ところで、あなたは私の部屋で一体何をしているのかしら?」

「はい、マリア様がいらっしゃるのを待っていたのでございます。なんと申しましても、私はマリア様の専属メイドでございますから!」

「専属メイド?私の?すると、サルコイド伯爵の面倒は、あなたは見ないわけなの?」

「はい、そのとおりでございます!」

「なるほど、すると、伯爵には別の専属メイドがいるってことなのね?」

「いいえ、この屋敷にメイドは私1人だけなのです」

「そうなの?それだと……伯爵の面倒は誰が見るの?」

「サルコイド様は、ご自身で生活なさっているのです。ですから、私の助けは何もいらないのです!」


男が1人で生活、想像しただけで、それは不可能だと思いました。炊事洗濯その他の家事、これを全て、男1人で行うことなんて、到底できませんから。ですから、それは本当に嘘だと思いました。

「それは何かの間違いでしょう?」

私がこう質問すると、メイドは、

「いいえ、決してそんなことはありませんよ。サルコイド様は、ご自分の生活を、全てご自身で完遂なさっています」

と答えました。そこまで言われてしまうと、まさか、メイドが嘘をつくとも考えにくかったので、とりあえず信じてみることにしました。

それにしても……やはり地方貴族と言うのは、中央の貴族よりもかなりの面で自立していると言うことなのでしょうか。環境が恵まれていないせいで、その上お金も少ない。だから、メイドを雇うこともできない。このため、自立した生活を送るようになる……とまあ、こういった具合でしょうか?

私にとって、それは大きな謎となりました。その答えは、私がこの屋敷で生活するうちに、おいおいわかってきたことなのです。


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