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その11

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「クリス!待てと言っているんだ!」

私は……ハル様から呼び止められました。でも、いまさら遅いのです。もう少し早ければ……私の名前を呼んでくれたら……違っていたのかもしれません。

「クリス!私が間違っていた!頼むから帰ってきてくれ!私は本当は……君のことを愛しているんだ!」

もう何も信じられませんでした。私は、この初めて出会った男性に引かれて、はるか遠いところまで旅する気分でした。

「クリス!!!」

ハル様の叫びが、暫く耳に残りました……。
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