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夜の付き合い
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私がアントニー様の元に嫁いでしばらくした日のこと。アントニー様が突然、
「そろそろ世継ぎでも作らないか?」
と言ってきました。実は私、この時まで、アントニー様と寝床を共にしたことが無かったのです。王子様の伴侶として、これはおかしいと思う方も多いでしょう。しかしながら、私は少し怖かったのです。アントニー様も、ことさらに私の身体を求めようとはしませんでした。というのも、アントニー様には多くの側室がいて、私以上に魅力的な女性が多くいましたから。私は単なる世継ぎ生産ロボットなのでして、それ以外のご用は、私に頼む必要がありませんでした。
そんなアントニー様のお誘いに、私は、
「承知しました」
と答えました。もちろん、断ることなんてできません。
「そうか、君もようやく分かってくれたか」
アントニー様も色々期待しているようでした。その晩の夫婦の営みを。
しかしながら、やはり私は臆病だったのか、それとも、アントニー様があまりにもがさつだったのがいけなかったのか、中々上手くいきませんでした。アントニー様が私の身体を弄るときも、そして、アントニー様が私の中に入ってくるときも、私はひたすら怯えていました。オスの本能とでも言うのでしょうか?快楽を楽しむとでも言うのでしょうか?私はとにかく、自由になることができませんでした。そんなことは大層はしたないと思いました。
「キャシー……君の美しい顔が台無しだよ?」
アントニー様の囁きには、どこかトゲがありました。
「君は私のことが嫌いなのかい?」
「いいえ、決してそんなことはございません!私はあなた様のことを愛しております!」
「ではどうして、私が君を抱いても、拒むのかな?」
このように質問されると、私は返す言葉がありませんでした。
「まあいいさ。全て君に任せるよ。君の心のわだかまりがなくなったとき、私は君をもう一度抱くことにする……」
アントニー様の言葉は優しかったのです。しかしながら、積もり積もった欲求を解放するため、夜は私の元に来なくなりました。
「そろそろ世継ぎでも作らないか?」
と言ってきました。実は私、この時まで、アントニー様と寝床を共にしたことが無かったのです。王子様の伴侶として、これはおかしいと思う方も多いでしょう。しかしながら、私は少し怖かったのです。アントニー様も、ことさらに私の身体を求めようとはしませんでした。というのも、アントニー様には多くの側室がいて、私以上に魅力的な女性が多くいましたから。私は単なる世継ぎ生産ロボットなのでして、それ以外のご用は、私に頼む必要がありませんでした。
そんなアントニー様のお誘いに、私は、
「承知しました」
と答えました。もちろん、断ることなんてできません。
「そうか、君もようやく分かってくれたか」
アントニー様も色々期待しているようでした。その晩の夫婦の営みを。
しかしながら、やはり私は臆病だったのか、それとも、アントニー様があまりにもがさつだったのがいけなかったのか、中々上手くいきませんでした。アントニー様が私の身体を弄るときも、そして、アントニー様が私の中に入ってくるときも、私はひたすら怯えていました。オスの本能とでも言うのでしょうか?快楽を楽しむとでも言うのでしょうか?私はとにかく、自由になることができませんでした。そんなことは大層はしたないと思いました。
「キャシー……君の美しい顔が台無しだよ?」
アントニー様の囁きには、どこかトゲがありました。
「君は私のことが嫌いなのかい?」
「いいえ、決してそんなことはございません!私はあなた様のことを愛しております!」
「ではどうして、私が君を抱いても、拒むのかな?」
このように質問されると、私は返す言葉がありませんでした。
「まあいいさ。全て君に任せるよ。君の心のわだかまりがなくなったとき、私は君をもう一度抱くことにする……」
アントニー様の言葉は優しかったのです。しかしながら、積もり積もった欲求を解放するため、夜は私の元に来なくなりました。
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