プラトニックな彼女の愛で方

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始まりの回想

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「私ね……将来大きくなったらたっくんのお嫁さんになりたいな……」

「本当に?やった!じゃぁ、僕も芽衣ちゃんを幸せにすることを誓うね!」

「うん!これからもよろしくね!」


「あっ、そうだ。赤ちゃん、どのくらい欲しい?」

「赤ちゃん?まぁ、可愛い!たっくんはどう思うの?」

「僕はね……たくさん欲しいな……」

「素敵ね……!ここでお砂遊びがたくさんできるよ!」

「そうだね。楽しそう……!」


 ところで……。

 赤ちゃんってどうやって作るんだろう…………?



「たっくーん……!」

「えっ?うわぁっ……!」

 朝の習いその1。芽衣ちゃんは昔と変わらず早起きだ。僕が寝坊していると、起こしに部屋へやってくる。

「芽衣ちゃん……もっと普通に起こしてくれない?」

「えっ……いやなの?」

「いや、別にいやじゃないけど……なんか変じゃない?」

「そうかな?」

「そうだと思う」

「そっか、でもね……」

 朝の習いその2。芽衣ちゃんは僕に抱き着く。力はそれなりに強い。

「こうやって、たっくんとむぎゅっってするの好きなの!ねぇ、いいでしょう?」

「もう……仕方ないな……」

 結局芽衣ちゃんを受け入れる。芽衣ちゃんが楽しいならそれでいい。芽衣ちゃんが楽しいってことは僕が楽しいってことなんだから。

「たっくん……そろそろ行こうか?」

「はぁっ……今日も怠いな……」

「そんなこと言ってないで……ほーら、そんな呑気にしてるといつか追い越しちゃうぞ!」

「はいはい……頑張って……」

「もぅっ……本気にしてないでしょ!」

「オッケーオッケー。あっ、母さん、行ってきます」

 そんな光景を母は温かい目でいつも見守っている。

「たっくん、いってらっしゃーい!車には気を付けるのよ?」

「はいはい。行ってきまーす……」

「芽衣ちゃんもありがとね。いつもいつも、たっくんに付き合ってくれて」

「そんな……お母さん、平気ですよ。将来の旦那さんのお世話ですから……幸せですよ」

 芽衣ちゃん……またそんなことを……。

「まぁっ、私も芽衣ちゃんなら大歓迎よ!」

「ありがとうございますっ……!」

 はぁっ……母さんと芽衣ちゃんの間には妙な一体感があるな……。
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