プラトニックな彼女の愛で方

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通学路は愛の語り場 その1

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「たっくーん、たっくーん……たっくーん!」

「あのね、僕はここにいるよ?」

「いや、それは分かってるんだけどね、名前を呼ぶと、これはこれで幸せというか……」

「はいはい。それも何度聞かされたことか……」

「私のことももっと呼んで!」

「はぁっ……?呼ぶ必要ないじゃん……」

「もぅっ、たっくんは分からずやだね。呼んでって言ってるんだから呼んでよ!」

「やだよ……その、恥ずかしいしぃ……?」

 まずい……。芽衣ちゃんが悲しそうな顔をしている……。

「たっくん……私のこと嫌いになっちゃったの?ねぇ、どうして?そうだよね……こんな鬱陶しい人嫌いになっちゃうよね……。ごめんね、分かってるんだ。本当に……こんなことしたって意味ないよね……ごめん……なさいっ……」

 まずいまずい……。早く回復しないと……。

「分かったよ……芽衣ちゃん、芽衣ちゃん……芽衣ちゃーん!」

「あっ、たっくんが私のことを呼んでくれた!えへへっ……嬉しいなぁ……」

 ふぅっ……ひとまず安心……って、ええっ……?

「たっくん……大好き……!」

 芽衣ちゃんが僕の手を握っている……。まぁっ、いつものことなんだけど。

「たっくんの手、あったかいね……!」

 何はともあれ、笑ってくれた、これで一安心。

「えへへっ……たっくんとイチャイチャ……!」

 
 高校までの道のりは徒歩で15分ほど。その大半がこういうやり取りである。遥か坂の上にそびえる麗和講堂が視界に入ってくると、芽衣ちゃんは咄嗟に態度を変える。

「佐藤君……写真部の予算の件なんだけど……少し多いんじゃないかしら?」

 えっと。芽衣ちゃん?僕らの関係を知られたくないのは分かるけれど、ちょっと、いや、大部飛躍しすぎじゃないかな?
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