儚い。

好きなアイツ。

「明弥の病気って何？」


ついに聞いてしまった。

でも、私はわかってる。


「…わかってるんでしょう？」

「Ths症候群でしょ。」

Ths症候群は今はまだ治療法が確立されていない病気。

それによって命も落とす可能性がある病気である。

明弥の症状がこの病気に似ていたんだ。



「…僕は……これ以上君に辛い思いをさせたくない」

「…え？」





「もう僕とは関わらない方がいい」


え？

どうして…？

「どうして……そんな……」

「君は…知っているでしょう？本当に近くの人が死んでしまった時の喪失感、それによって自分の心が傷ついてしまうことも。」

「それは……」

「僕は……これ以上君に辛い思いをさせたくないんだ」

「私は…」



私はどうなんだろう。

明弥は変な奴だし、
呼んでもないのにくっついてくるし、
誰からも人気で、
笑顔で、

でも、その笑顔はなんだか心から笑っていないような気がして。
私と似ているような気がして。

気になる、

コイツ。




「…辛いのは……明弥でしょ……｣

「え？」

「ずっと1人で耐えてきて周りの人はどんどん死んでその上私に辛い思いさせたくないなんてそんな綺麗事言うな！！」

私は、

「私は……これ以上明弥を見捨てるなんてできない…！」

「僕…を…？」

「私の気持ちまで背負って、自分の病気も背負って、私は……そんな押し潰される明弥を見たくない！私がせめて助けたい…！」


そういったあとの明弥は固まっていた。




「お願いだから…1人にしないで……」


そう、本当に私は最低な人間だ。

私の都合だけで…明弥を壊してしまうかもしれないのに。

私は、もうひとりになりたくない。

明弥なら変われるかもしれない。










「ありがとう」

聞こえたのは本当にかすかに聞こえる程度の明弥の声。

*☼*―――――*☼*―――――

「…僕も聞いてもいい？」

あの後、体調が良くなった明弥は今は呑気に座っている。

「どうぞ」

「蓮美ちゃんはどうして人間が怖いの？」

1番言われたくなかった言葉。

だけど、

明弥からなら私はいえる気がする。














「…元々は……お兄ちゃんのことからはじまったの。」