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16 コマリは再び悩んだ。全裸で。
しおりを挟むなぜ喪女が、絶対にリア充にしか見えないイケてる女の子の恋の相談に預からねばならんのだろう。
吐き出すだけ吐き出すと、ルナちゃんは寝た。全裸で。よっぽど気に病んで、悩みまくっていたんだろうなあ。こんな初対面の女にグチ吐きまくるぐらいだから・・・。
でも、こういう場合、どうすればいいんだろう。
付き合っているカレシの妹とはいえ、今日会ったばかりの女性だし。しかも、全裸だし。その横に添い寝するのも、仮にTシャツ着てても恐ろしく不自然だし。小鞠にそのケは全くないし。あっても小姑だし。まだだけど。彼女にベッドを占領されてしまったから床になっちゃうし。それはイヤだし。大洋くんの部屋に行って彼に添い寝して寝たいけど、そうすると、今日会ったばかりの人を自分の部屋に残すことになるし・・・。
あの話の内容だと、相当、悩んでるみたいだったし。
ルナちゃんの悩みは、よくある恋の悩みだった。
要は、告白したいけど「裸族」がネックでコクりかねていると。嫌われたら、ヘンタイと思われたら、どうしようと。イイカンジのところまではいっているが、まだエッチもしていない、と。でも、このまま拒否し続けると嫌われてしまいそうで、かといって、「裸族」をカミングアウトすると、もっとヒカれそうで、怖い、と。で、「裸族」はいまさらヤメられない、と。「裸族」ヤメめるとストレスで死ぬかも、と。
でもなあ、と小鞠は思う。小鞠の場合、もし大洋くんがベランダからピッピしてなくて、全裸さんじゃなかったら付き合っていなかったかもしれないのだから。あまり参考になるような返しが出来なかった。
とりあえずノーマルでつき合ってみれば? そうアドバイスしたら、
「でも、どうしても全裸がいいの。それで育ってきたから。彼がそれに合わせてくれなかった時のことを考えると、どうしても、コクれないの」
相手がノーマルだと、ハードル高いだろうなあ・・・。
そう考えると小鞠は元々大洋くんの「全裸」を受け入れられるだけの「素(す)」があったのだなあと思わざるを得ない。喪だけど「腐」でエロ小説ばかり読んでいたから。
「でも、子供を「裸族」で育てるのも大変だなあ・・・」
すでに小鞠の脳内では高原のベンチで寛ぐ全裸の大洋くんと小鞠の周りで全裸で駆け回る子供たちの妄想オンパレード状態だったのだった。
どうしたもんかと思案をしているうちに、どうしても、欲望に勝てなくなってしまった。ここのところずっと大洋くんと全裸同士で添い寝して眠るクセがついてしまっていた。ルナちゃんにタオルケットをかけてあげて別に疑うわけじゃないけど万が一なんかあるとマズいので貴重品だけ持ってカギをかけ、彼の部屋に行って全裸になり、すやすや眠る彼にぴとして、「ナマコくん」になった「イカリくん」を握って、寝た。
朝、大洋くんに起こされた。「ナマコくん」はやっぱり「イカリくん」になっていた。
「おはよ、コマリ。・・・する? するよね」
いつものように甘いチュッチュしてくる大洋くん。だが、きょうはマズいんじゃないか。
「え、でもルナちゃんがあたしの部屋で・・・」
「いいのいいの。大丈夫」
いや、よくないってェ・・・。ああん。
そう思いつつも抵抗できずに感じさせられて、早くもイジられまくりんぐ舐められまくりんぐ濡れまくりんぐ、で、ズコられまくりんぐ。アヘりまくりんぐ。で、イカされまくりんぐ・・・。
おわった後、彼の舌がちゅっぽんと小鞠の唇から出て行った。
「コマリ・・・」
「へ?」
「脚。解いてくれないと、コマリから抜けない。ゴム処理できないよ。中で縮んじゃうと、洩れちゃう」
「え?」
「それとも、もしかして中に出して欲しいの? もう一回、ズコズコされたいの?」
「いやん・・・」
「言って、ズコズコってして、って。奥ガンガン突きまくって、って」
「いやん・・・」
「あ、ダメだあっ! きっもち良すぎるんだよう、コマリのまんこ・・・。ああっ」
「お、おっきくなってきたああんっ! もっかい、して、ズコズコ、奥突いてぇ・・・」
「お盛んですね」
え?
気がついたらルナちゃんが中のドアのところに正座してた。明かりも点けずに。全裸で。ドアにカギ掛けるの、忘れてた。
「きゃーっ!」
「おい、お前ぇ・・・」
「とりあえず、もういい? 二人とも満足した?」
大洋くんは始発で自分の部屋に帰るルナちゃんを駅まで送って行った。その間に全裸にエプロンしてお米を洗って炊飯器のスイッチをポンして、お鍋に水を張ってカツオ節と昆布でダシ取って・・・、たら、彼が帰って来た。
彼は小鞠を見て大きなため息を一つ、吐いた。全ての不可能を可能にするようなドラゴンボールの孫悟空のような彼でも困ることがあるんだな。
「ごめんな、コマリ。口直し、しよ?」
「え・・・」
え、とかいって・・・。実はシテもらいたくてウズウズしてた。萌えあがったまま、ルナちゃんに中断されてたから・・・。
そのまま流しに両手をついて裸エプロンのままお尻を抱えられ、ジーンズすとんと落とした彼にイキナリズッコンされた。お料理しながらムラムラして濡らしてて、よかった。部屋の中いろんなところでオカされちゃうので、あちこちにゴムが置いてある。直径37ミリのスーパービッグボーイくん。でも時々彼はそれでもキツイという。
「メガビッグボーイに変えようかなあ・・・」そんなことを最近言い始めた。直径46ミリ・・・。ちょっとイキ過ぎじゃないかとは思う。
「・・・んああ、・・・這入ってくるう・・・、んんああ・・・」
「なあ、どうしたらいい? アイツ、ここんとこメシも食えないんだって」
「そん(なこと)・・・、いま(言われても~)・・・、わっか(らないし)・・・、かん(がえられないよ)・・・、ああん! きも(ち)、いいいいっ! ああん、ゆる(して)、んんっ! スゴ・・・あいい、・・・んクッ! ・・・んんんん、・・・」
膝、ガックガク。カラダ、ビリビリ。ぴっくぴく。それでも彼は許してくれない。さらに二三回イカされて、頭の中♡マーク充満して脳ミソ飛んだ。
鍋吹きこぼれちゃうから、なんとか弱火にして、床に崩れた。
お姫様でだっこされてベッドに寝かされ、大洋くんがお味噌汁の続きを作ってくれた。いい香りがしてくると、イキまくりんぐから回復してきて朝ご飯になる。ここんとこの、いつもの朝の風景・・・。
「でも、わかるなあ、ルナちゃんの気持ち・・・」
納豆をねりねりしながら、小鞠は呟いた。
「コクってヒカれたら、立ち直れないモン・・・」
「でも、付き合ってけばいずれはわかるんだから。ぼくみたいに最初から全開しちゃえばいいんだよ。さっきルナにもそう言ってやったんだ。そのほうが、ラクだよ、ってさ・・・」
やっぱり、大洋くんは男の子だな、と思った。揺れる女心。小鞠は腐ってても、女だった。
小鞠の場合は男である大洋くんの方が「裸族」で、小鞠がそれに惹かれたからカップル成立した。でもルナちゃんの方は女が「裸族」。男のほうがそれに惹かれるかどうかは、本人たちのみぞ知る。なのだ。潔癖症はむしろ男の子のほうに多いような気がする。だからといって、「全裸」が不潔なわけではないのだが。それは生まれ持つ性癖、育ってきた環境、後付けの考え方に左右されるんだろうなあ・・・。
小鞠だったら、どうするか。
まず、セックスしちゃう。そして徐々に明るい所でエッチするように仕向けて行って、一緒にお風呂入ったり素っ裸でイチャイチャする時間を増やしてゆく。彼がそれに慣れたころを見計らって、
「実はね・・・」
それしかないと、思うのだが・・・。それでダメなら、そもそもベストマッチじゃないわけだし。それなら、それが早めに分かった方がいいような気も・・・。
大洋くんとはベストマッチ、だよね・・・。
ん?
何気に見つめた大洋くんはねばねばの糸を口から垂らして小鞠を見ていた。お箸の先で糸を切ってやって、ペロッと舐めた。おいしい・・・♡
やっぱ、ベストマッチ。そう信じている。
「ところでさ、今度の土日あたり、どう?」
そうだった。ルナちゃん騒動ですっかり忘れていた。大洋くんの実家に行く話。ご両親にご挨拶する話。
「コマリがいいなら、土曜日の診療、休み取るよ」
「フリーだからね。休みはあってないようなもんだし、でもそんなこと言ってると、いつまでも休めないし・・・。タイヨウくんに合わせるよ。そこで行こう」
最大のお得意さんである編集部の、特に、年増かよからはボコられた。
「てんめーっ! エッチするだけならまだしも、ご両親にご挨拶だあっ?! すっとぼけたこと言ってんじゃねーぞ、おめ。寝言は寝てから言えっての!」
「ごめんね。すっとぼけも寝言もコイてないの。本当なの。カレったら、『ボクの可愛いコマリ。ボクの親にあって欲しいんだけど。そしてこれ。給料の三か月分(古っ!)♡』って・・・」
大鍋にグラグラ煮えたぎった油に火を点け、さらにガソリンを流し込んでしまったようだ。
編集部は火を噴く喪女ザウルスの修羅の檻と化した。実際の業務には影響ないことを年増の部下のフケだらけのあらま?あれま?から聞いていたから、暴れる年増をシブイ中年妻子在りの編集長に託して早々に編集部を辞した。
あとの数件の雑誌社には電話で。理由はごまかしたが、みな、ごく普通の対応をしてくれた。
これで後顧の憂いはなくなった。
そして、土曜日。喪女で腐女子の小鞠は、なんと、カレシである大洋くんの実家に向けて、二人で特急のペアシートに乗り、手を握り合っていた。
つづく。
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