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2022

娘を喪う

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 先日、我が家の家族の一員であった愛犬を喪いました。

 ラブラドールの牝です。享年16歳でした。

 

 大型犬に属し、その平均的な寿命と言われている10歳からすればかなり長生きをしてくれました。人間で言えば100歳を優に超えるレヴェルだと、お世話になった獣医さんが仰っておられました。


 

 およそ番犬には向かない犬でした。

 犬よりも人が好きで、毎日の散歩などで犬を連れた方に出会うと、まず小生の後ろに隠れて向こう様の犬のアプローチを避け、それをやり過ごすと向こう様の飼い主様の方へすり寄ってゆくような犬でした。

 ドッグランに連れて行っても他の犬が怖くていつも小生の後ろに隠れ、他の犬がいなくなってしまうと元気に走り回る。そんな犬でした。

 

 彼女は生まれてひと月ほどで我が家に来ました。

「子供が生まれたら犬を飼いなさい」

 当時、本だかネットだかで、そんな詩に出会ったからです。


 


 

 If you have a child, get a dog.

 While the child is a baby, the dog will be a protector.

 While the child is a toddler, the dog will be a friend.

 While the child is a teenager, the dog will be a support.

 And when the child has become a young adult,

 with its own death the dog will teach the value of life.


 

 子供が生まれたら犬を飼いなさい。

 子供が赤ん坊の時、子供の良き守り手となるでしょう。

 子供が幼年期の時、子供の良き遊び相手となるでしょう。

 子供が少年期の時、子供の良き理解者となるでしょう。

 そして子供が青年になった時、

 自らの死をもって子供に命の尊さを教えるでしょう。


 


 

 彼女は、その詩の通りに生き、そして天に召されました。

 

 我が家に来たばかりの彼女は、それはひどいものでした。

 新築したばかりの我が家は、彼女によってあちこちボロボロにされてしまいました。

 もう、そこらじゅうを噛みまくるわ、おしっこうんちはしまくるわ。階段を上っては転げ落ち、まだ惰眠を貪りたい小生のベッドに飛び乗って鼻を噛んできたものです。

 いやはや、参ったな。

 彼女がやってきた当初の感想は、それでした。

 ですが。2歳を過ぎるころにはもう、私たち家族の一員としてなくてはならない存在になっていました。

 子供にくっついて共に山を探険し、いっしょに海で泳いでくれましたし、小さかった娘を背に乗せてお馬さんになってもくれました。息子が学校で辛い思いをして帰って来た日にはすっと彼の傍に寄り添ってくれましたし、娘が100点の答案を持って帰って来ると、彼女の自慢話にじっと耳を傾けてくれたりもしてくれました。

 

 そんな、かけがえのない存在だった娘が、もういないのです。

 最期にはご飯も食べず、水しか飲まなくなり、それも飲めなくなって、幾度か痙攣をおこした後、ゆっくりと呼吸が止まり、鼓動が止んでしまいました。

 ハッキリ言って、親に死なれた時よりも、堪えました。

 ペットを飼うのも、考えものですね。彼ら彼女たちは、確実に親である私たちよりも先に死んでしまうのですから。


 

 今はペットの葬葬社もあり、ペット専用の火葬施設もあるのだそうですね。

 でも我が家では家族会議の結果、庭にそのまま彼女を葬ることになりました。

 庭の一角に子供たちで深く穴を掘り、底に藁を敷いてその上にシーツに包んだ亡骸を納め、土を戻しました。うずたかく盛った土にはいずれなにがしかの苗木を植えるのだそうです。

 どんな木を植えるのか。その木がどんな花を咲かせ、実を着けるのか。

 今から楽しみにしている小生でありました。
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