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番外編、圭吾と零
陣痛
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※ 「のんびり赤ちゃん」の続きです。
_______________
「いっ…た…」
圭吾さん、圭吾さん!
と眠る夫を思い切り揺すって起こす。
「う…ぅ…痛い…」
痛みで力加減ができず、思わず圭吾の肩をぎゅ、と掴んでしまった。
「いた…」
零?
漸く起きた圭吾は、寝ぼけたまま困惑している。
「きた…陣痛…」
「えっ?!」
飛び起き、急いでスマホを手に取る。
「測るから、始まったら腕掴んで、治まったら緩めて」
圭吾は寝起きの頭で冷静に、シュミレーション通りの行動を務める。
「う…」
痛みは10秒~20秒程度。
次の痛みが来るまで、約10分ほどある。
「うん、陣痛だと思う。
病院に電話するね」
一般的に陣痛の始まりは感覚が10分程度と言われているので、零のお腹の痛みは恐らく陣痛で間違いない。
痛みが引いた後も多少違和感があるようで、初めてのことに零は驚いている。
「ふぅ…ふぅ……」
前駆陣痛がなかった分、痛みが酷いようだ。
痛みが来る度、圭吾の腕を必死に掴んで耐えている。
「はぁ…痛い…なにこれ…」
汗をかいて、圭吾が見たこともないような表情をしている。
零はまだ歩けると言うので、先にシャワーを浴びに行く。
それだけでも一苦労で、支えている圭吾の手にも緊張感が高まる。
万が一の転倒がないよう、慎重に。
それから数時間、漸く感覚が5分まで狭まった。
「動ける時間があるうちに、車に行こうか」
圭吾は予め荷物を積んでいる車に、零を誘導した。
零は破水した時のため、バスタオルを一枚握っている。
車に移動し、段々狭まる陣痛の感覚を測る。
「お義母さんには連絡したから、病院で待ち合わせようね」
圭吾の安全運転で病院まで向かう。
零の母親とも合流し、零は安心した様子で出産を迎えられそうだ。
「ふぅーーーー…いった…ぁ…」
「あともうちょっとだよ~、
頭見えてるからね~」
圭吾の腕を握り、一生懸命息む。
「ほら目閉じない!ゆっくり息吸って~」
助産師さんに何度も叱られながら、命懸けで出産に挑む。
「いっ…た!!むり…もうむり…ぃ…」
汗と血と涙を流しながら、ラストスパートだ。
「ほら!あとちょっと!ふんばって~!」
「うっ………………はぁー…」
その瞬間、ズルっ、と何かが抜けた感覚になり、二人の息子は誕生した。
「オギャアッオギャアッ」
元気な産声を上げて、力いっぱい泣いている。
「うぅ…かわいい…」
圭吾がへその緒を切って、零の腕の中には愛おしい我が子がいる。
しょぼしょぼの真っ赤な顔で、おっぱいを探している。
「ふふ…元気だねえ」
出産を終えた零の身体は、もうボロボロだ。
その後赤ちゃんは検査をするため連れていかれ、零の切った股は縫われた。
圭吾は頑張った妻をぎゅ、と抱きしめ、水を飲ませた。
「お疲れさま、零」
今にも泣きそうな顔で、零の頭を撫でている。
陣痛から、出産まで16時間。
体力的にはしんどいが、零の心は満たされている。
「もう、パパなんですからね」
零れた圭吾の涙を拭い、零は力いっぱいの笑顔を向けた。
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「いっ…た…」
圭吾さん、圭吾さん!
と眠る夫を思い切り揺すって起こす。
「う…ぅ…痛い…」
痛みで力加減ができず、思わず圭吾の肩をぎゅ、と掴んでしまった。
「いた…」
零?
漸く起きた圭吾は、寝ぼけたまま困惑している。
「きた…陣痛…」
「えっ?!」
飛び起き、急いでスマホを手に取る。
「測るから、始まったら腕掴んで、治まったら緩めて」
圭吾は寝起きの頭で冷静に、シュミレーション通りの行動を務める。
「う…」
痛みは10秒~20秒程度。
次の痛みが来るまで、約10分ほどある。
「うん、陣痛だと思う。
病院に電話するね」
一般的に陣痛の始まりは感覚が10分程度と言われているので、零のお腹の痛みは恐らく陣痛で間違いない。
痛みが引いた後も多少違和感があるようで、初めてのことに零は驚いている。
「ふぅ…ふぅ……」
前駆陣痛がなかった分、痛みが酷いようだ。
痛みが来る度、圭吾の腕を必死に掴んで耐えている。
「はぁ…痛い…なにこれ…」
汗をかいて、圭吾が見たこともないような表情をしている。
零はまだ歩けると言うので、先にシャワーを浴びに行く。
それだけでも一苦労で、支えている圭吾の手にも緊張感が高まる。
万が一の転倒がないよう、慎重に。
それから数時間、漸く感覚が5分まで狭まった。
「動ける時間があるうちに、車に行こうか」
圭吾は予め荷物を積んでいる車に、零を誘導した。
零は破水した時のため、バスタオルを一枚握っている。
車に移動し、段々狭まる陣痛の感覚を測る。
「お義母さんには連絡したから、病院で待ち合わせようね」
圭吾の安全運転で病院まで向かう。
零の母親とも合流し、零は安心した様子で出産を迎えられそうだ。
「ふぅーーーー…いった…ぁ…」
「あともうちょっとだよ~、
頭見えてるからね~」
圭吾の腕を握り、一生懸命息む。
「ほら目閉じない!ゆっくり息吸って~」
助産師さんに何度も叱られながら、命懸けで出産に挑む。
「いっ…た!!むり…もうむり…ぃ…」
汗と血と涙を流しながら、ラストスパートだ。
「ほら!あとちょっと!ふんばって~!」
「うっ………………はぁー…」
その瞬間、ズルっ、と何かが抜けた感覚になり、二人の息子は誕生した。
「オギャアッオギャアッ」
元気な産声を上げて、力いっぱい泣いている。
「うぅ…かわいい…」
圭吾がへその緒を切って、零の腕の中には愛おしい我が子がいる。
しょぼしょぼの真っ赤な顔で、おっぱいを探している。
「ふふ…元気だねえ」
出産を終えた零の身体は、もうボロボロだ。
その後赤ちゃんは検査をするため連れていかれ、零の切った股は縫われた。
圭吾は頑張った妻をぎゅ、と抱きしめ、水を飲ませた。
「お疲れさま、零」
今にも泣きそうな顔で、零の頭を撫でている。
陣痛から、出産まで16時間。
体力的にはしんどいが、零の心は満たされている。
「もう、パパなんですからね」
零れた圭吾の涙を拭い、零は力いっぱいの笑顔を向けた。
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