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番外編、圭吾と零

夏祭り①

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「よし、じゃあ行こうか~」
夕方の少し涼しくなる時間から、夏祭りが開催される。
近所の神社で毎年恒例の花火大会兼夏祭りで、零と圭吾は張り切って浴衣などの準備をしていた。
外に出ると、まだ少し暑さはあるが、日中の肌にめり込むような暑さはなくなっている。
「はい、お口閉じてね~」
零はミストタイプの虫除けスプレーをゆいに吹きかけ、そして夫の圭吾にも同じように吹きかける。
次男のりおはまだ赤ちゃんなので、舐めるといけない。
代わりに赤ちゃんでも使える吊り下げタイプの虫除けをベビーカーに取り付け、最後は自分にも吹きかけてもらい、出発だ。
「お祭りたのしみだね~」
初めてのお祭りにご機嫌なゆいとお話をしながら、神社に向かう。
近所なので、既に太鼓の音や店に呼び込む声が聞こえてくる。
「零、ベビーカー代わるよ」
ゆいと話しやすいように気遣ってくれたのか、圭吾がベビーカーを押してくれる。
おかげで零は、ゆいと手を繋ぎながら話すことが出来た。
「ゆいね~ういんなたべうっ!」
「フランクフルトかな?うん、たべようね~」
嬉しそうに飛び跳ねるゆいと、ベビーカーからお兄ちゃんを楽しそうに眺めるりおは、圭吾が買ってきたお揃いの甚平を着ている。
浴衣とも迷ったらしいが、トイレやオムツ替えをするのにいつもの服と変わらない脱ぎ方をできる甚平の方がいいだろうと思ったらしい。
さすができるパパ。
そして、今日は零と圭吾も色違いの浴衣を着ている。
零の方は淡い青色で、圭吾の方は灰色。
どちらも零が着付けをした。
「お、もうすぐ着くぞー、ゆい」
圭吾がゆいを見て、笑顔で言う。
「やったー!」
徒歩10分、人通りが多くなってきたかと思うと、もう神社は目の前だった。
「どうする?最初におもちゃ買って、その後ご飯食べる?」
おもちゃに目を光らせるゆい。
これは買うまでご飯を食べてくれないだろうと、圭吾が提案した。
「そうしましょうか」
いくつかおもちゃ屋さんを見て、ゆいは最終的に空気で膨らむわんちゃんを選んだ。
「懐かしいですね~、これ」
犬の足にはプラスチックのタイヤが付いていて、紐を引くとコロコロとわんちゃんが着いてくる。
ゆいがそれを選んだので、りおにも同じものを買った。
そして犬に夢中なゆいを圭吾が抱っこして、ベビーカーは再び零が押すことになった。
「じゃあ零とりおはそこで待ってて。
ゆいと一緒に飯買ってくる。
零は何がいい?」
「えっと…じゃあ、焼きそばでお願いします」
人が多くなってきたので、ベビーカーだと動きづらい。
零とりおは先に座れそうな場所で待機することになった。
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