ヒロインだと思ったらモブだったけど転生した悪役令嬢と仲良くやってます

はるのひなた

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妖精の庭園 2

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「アリスとやらが入り込んでくる時止められないのか?」

『妖精は許可なく人間に触っちゃダメなの。』

『だから、ダメって言うしかなかったの。』

「なるほどな、でも相手には聞こえないから泣き寝入りするしかなかったってとこか。」

『あの子、みんなが大事にしてる綺麗なのばっかり持っていっちゃって、みんなどこかに行っちゃったの。』

仲間が少なくなっちゃったの!と言う妖精さん達の言葉でハッとする。

「王城って色んな加護がつけられて攻められても安心、って本で読んだ気がするんだけど…」

「ああ、妖精の加護は確か王城の防衛魔法の強化として使われていたはず。」

「王城に暮らしている妖精さん達が少なくなってしまったってことは…」

思った以上に大変な事になっていそうなので、フィーちゃんに確認してみたところ、うん、と頷かれ頭を抱えることになった。

『加護ね、今はあんまり機能してないの。』

『私達も出ていこうとしてたらいい匂いがして、行ってみたらハルティナだったの!』

「いい匂い?クッキーの匂い?」

『違うの!ハルティナの魔力の匂いなの!』

『ハルティナいい匂いなの!』

「まあ、ティナはいい匂いだけど。魔力ってのは匂いがあるのか?」

『あるよ!魔力が高いほどいい匂い!だから…』

「なんでそんな事言うの!?」

妖精さん達の話が興味深すぎて、王子様達のことを忘れていた。
ショックを受けたような叫びにそちらに視線を戻した。

「私はアレンが喜んでくれるかなって思って…」

「気持ちは嬉しい。だけど…」

「アレンは私のことが嫌いなんだ…」

「アリス…」

えんえん、とその場で座り込んで泣き出してしまったアリス。王子様はなんと言ったのだろうか。ちらちらとこちらを振り返り助けを求めている様子の王子様に思わず苦笑いをしてしまう。

「ありゃダメだな。ハルティナ、あの子にも見せてやるしかなさそうだ。」

「そうだね。」

しょうがない、と立ち上がり、2人の元に近づくと、あからさまに王子様がほっとした顔をして、ハルティナ、と私の名前を呼んだので、ユーリスもアリスもビクリと反応した。

「王子様、何故泣かせているのですか。」

「ぼ、僕は花をつんではダメなんだ、と伝えただけで…」

「ちゃんと理由を説明しなくては、怒られているように感じますよ。」

「そうです。皆がハルティナや僕のように賢い訳ではありません。」

ユーリスの言い方には刺があるが、まあ、間違ってはいないので口は出さないでおく。
しゅんとしてしまった王子様を横目に座り込んでいたアリスに視線をうつすと、こちらを見上げる目には不安と敵対心が見える。
暗にアリスは賢くないと悪口を言ったユーリスではなく私を見ているところから、どうやら彼女も王子様のことが好きなんだろうな。
王子様が私を親しげに呼んだのが気に食わないんだろう。

「こんにちは、私はハルティナ・グレンと申します。王子様とは今日会ったばかりでまだ友人でもないのでご安心ください。」

王子様としても誤解されたら困るだろうし、安心させる為にそう口にしたのだが、王子様から、えっ、と声が上がってユーリスが事実でしょう。と冷静に返していた。
もう友人くらいには思ってくれていたのだろうか。だとしたらちょっと可哀想な言い方だったかなと思うけれど、目の前のアリス嬢からの敵対心のようなものは消えたので良しとする。

「あ…アリス、です。」

「話を聞いてもらえるかしら。」

「は、い。」

急な私とユーリスの登場で呆気にとられているうちに、アリスに妖精達が困っている事を伝えた。

「少し、私の手を握って貰える?」

「はい。」

きゅ、と手を握って自分の周りにいた妖精さん達にびっくりしたアリスがきゃ、と小さく言ったことで自分達が認識されたと気づいた妖精さん達が矢継ぎ早に彼女に言いたいことを言うので、アリスがまた泣き出しそうになった所で手を離した。

「妖精さん達の気持ち伝わったかしら?」

「で、でもこんなにたくさんあるのに…」

『やめてくれる?』

『くれそうにない?』

困惑したようにそういったアリスに正直驚いて一瞬思考が停止した。

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