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プロローグ2

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「い~つもすまないねぇ~」
「古い。一体いつのギャグだ。」

本来ならそれは言わない約束でしょ、で返すのだろうが...
いささか古い。
最近の小説ではもう全然見かけないぞ。

「む!!そんなこともないと思うぞ!!
というか、暑いなぁ...
もう夕方なのにぃ~
キンキンに冷えた麦茶くれぇ~」
「はいはい、これでいいか?」

そう言いつつ、台所にいた俺は冷蔵庫を開けヤカンを出す。

「くぅぅ~。
これだよこれ!!
やっぱりお前んちのお茶はうまいぜよ!!」
「坂本龍馬かよ、お前は。」
「まぁまぁ、っとここ教えてくれ。」
「はいはい、えっとそこは...
あれ、ちょっと待て、そこさっき言ったよな
まさかもう忘れたのか?」
「テヘペロ」
「おい、男がやっても需要ねぇんだよ!!
せめて委員長がやってくれないと...」
「あの貧乳が?」
「あら...
貧乳で悪かったわねぇ。」

ま、まさか...

「「ギギギ...」」

玄関にはバッグを抱え、湿った髪を適度に括り仁王立ちした委員長
がいた。

「はぁ...。
なんでわざわざ口で擬音を言うのかしら?」
「いや、やりたくなるじゃん?
というかなぜここに委員長が?」
「まぁまぁ、良いじゃないの。
それより、さっき貧乳って言ってたわよね?それについて詳しく話
してくれるかしら?」

眉を顰め怒った顔で俺たちを睨む委員長
正直怖えぇぇ...

「そういや、黒木くん。」
「ん?何?」
「こいつの勉強、どれぐらい進んでるのかしら?」
「だいたい、昨日の授業の宿題がようやく終わるぐらいか?
あ、数学に関しては一昨日だ。」

すまん。仁馬
俺は委員長を敵には回せない。
下手しなくてもうちのオカンより怖いんだよ。

「そ、そんなァ...
もう少しなんか、こう」
「言い訳しない!!」
「「(ビクッ)」」
「グダグダ喋ってるから勉強が進まないの!!早く終わらせるべき
よ。」
「「イエス・マム!!」」
「何度言ったらその返しはやめれるのかしらねぇ(#^ω^)」

怖いよ!!しかも中学生には思えない威厳があるから逆らえないん
だよ!!

「多分無r(((ブベラッ」

仁馬...お前はいいやつだったよ。
その最後はけして忘れない...(`;ω; ́)

「俺死んでねぇーからなぁ!!」

けして忘れないぞ!!(`;ω; ́)

「死んでねぇよぉー!!」
「喋る暇があれば勉強する!!」
「ひっ!!」

と、三文芝居はここまでにしてと。

「委員長、いやぁ助かった。」
「そう?まあ、私としても自分の勉強をするついでに美味しいご飯
も食べられるし結構有り難いわよ。」
「飯目的かよ...。
まあいいけどさ。
晩ごはん何がいい?俺が呼んだのもあるし材料多めに買っておいて
よかった。」
「そうね。
手伝おうか?」
「いや、遠慮する。」

才色兼備な彼女だが唯一の欠点が料理とか裁縫とかなのだ。
うん、前に食べさせてもらった事があったがゲロマズ...とまでは行
かないものの食べるのが難しいほど不味かった。
袋麺を作らせただけなのに。

「そう言えば、この袋は何かしら?」
「仁馬が持ってきたから中身は知らないぞ?まあ、予想はつくが...」

だいたいゲーム機だろうな。
そう思いつつちゃぶ台に本を出して読む。
全く...あ、そう言えば

「仁馬、お前俺にVRゴーグル上げるって言ってたよな?」
「えっと...この部分が...
って、何ぃ?クロォ~。
今俺は理科で苦労してるんだよ!!」
「いや、VRゴーグル渡すって言ってたからほんとに渡してくれる
のか気になってな。」

そう言うと、彼は委員長がさっき指さした紙袋を手に取り中をゴソ
ゴソと探る。

「っとこれがクロの分だ。
買ったら一万近くするんだぞぉ~。」
「はいはい、わかりましたよっと。」
「あ、スマホの液晶ぐらい壊れやすいらしいから気をつけて。」
「先に言え!!」

そう思うと持つ手に冷や汗が浮かび始めた。
そっと、そぉっと...

「いや、もう少し雑に扱っても問題は無いと思うよ...
というか、クロにやってってほしいことがあるんだ。」
「その前に、あなたは宿題を終わらせる!!」
「ヒィッ!!」

なんか...こう...
もう少し本題に進んでくれませんかねぇ?
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