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マーガス三姉妹
しおりを挟むしかし、この「ロリミカ」と名乗った少女はいったい何者なんだ。
【封印】が溶けたみたいではあるが、元々はアンティーク人形だったロリミカ。
謎だらけだった。
少女になった姿は人形の時とたいして変わっていない。ただ振り回してるステッキが追加されたぐらいなものだ。
顔立ちや着ている服装からして、日本人ではないが言葉は通じる。帰国子女って事もあるが、そもそも人形だったから説得力はない。
まぁ、分からないなら聞くまでの事。
「ロリミカ」
俺はステッキで遊んでるロリミカに声をかけた。
「お前いったい何者? なんで人形だったの?」
こういう事は素直に聞くのが俺の流儀。
「下人の分際であたしを呼び捨てにするな、おっさん」
聞いた答えがこれである。
やれやれ先は長そうだ。
「そもそも、お前もおっさんって呼ぶな。下人ってなんだ」
「うっせー、おっさん」
「封印解いたのは俺だろうが」
しばしの何も得られない会話。
省略。
話し合いの末、俺はロリミカと呼ぶ事を許され、彼女は無文ムモンと名前を呼び合うことにした。
「あたし、アレクサンドリアを追放された悪い魔女に消されそうになったの」
突然、自分語りを始めたロリミカ。
さきほどまで言い争いをしていた時と違い、ロリミカの表情はなんだか寂しげでしんみりしてるような気がする。いまにも泣き出しそうな顔で目には涙がたまっているような感じだったりする。
「アレクサンドリア、悪い魔女って?」
「アレクサンドリアってのはあたしの生まれた国だよ。魔女の名前はアルデシュームと言って女王さまの身内に取り入って国を奪おうとした悪い奴なんだよ」
なるほど、よくは分からないが【アレクサンドリア】ってヨーロッパの方にそんな国があったかな?
聞いたことがあるような無いような地名。
「ちょっと調べるから待ってね」
こういう気になることは「検索、検索っ」と。
常日頃から分からない事はスマホに聞く癖がついてたりする。
俺は胸ポケットにしまってあるスマホを取り出すと、アレクサンドリアと音声検索してみた。
怪訝な表情で見ているロリミカ。
「アレクサンドリアはエジプト地中海中西部の都市です」
スマホからは地中海をバックにした美しい湾岸都市の画像と共に音声ガイダンスが説明をしてくれた。
本当に便利で賢いスマホちゃん。
スマホ情報ではヨーロッパではないが、地中海だからあながち間違ってないかも。
「ロリミカはここから来たのだろ?」
ロリミカに画像を見せてやる。
「知らないよ、こんな街」
そっけない回答だった。
ついでに、「アルデシューム」っと。
「アルデシュームに一致する情報はありません」
その音声を聞いてたロリミカがスマホのかわりに魔女について教えてくれた。
「だから。アルデシュームってのは悪い魔女。魔女のことね。ちなみに、魔女ってのは悪い呼び方だよ。ふつうは魔法使いって呼ぶ。男だったら魔術師になるのかな。魔力で人を助けたり、癒やしてあげれる生まれ持っての資質がある女性のこと。魔女はその魔力で人を殺めたり、呪ったりして他人を不幸にする女だよ。ちなみにあたしも魔法使いなんだよ。小さいからからかい半分で魔女っ子って呼ばれてる。でも魔女ではないよ。だって魔女っ子は遊び半分でイタズラはしても本当に悪いことはしないからね。エッヘン」
ややこしいな。それに呼び方なんて、どうでもいいような気かするがロリミカの国ではそういう認識のようだ。
てか、さっきまで泣きそうだったのに今はニコニコしてたり喜怒哀楽が激しい魔女っ子だな。
でも、無邪気な仕草がカワイイから許す。
言っておくが俺にはそういう趣味はないから誤解ないように。
「そのアルデシュームとかいう名の悪い魔女に封印されて人形になったのか?」
「うん。あたしにはミーシャとリディアって名前の二人の姉さんがいたのよ。三人で女王様を助けにお城に行ったのよ。そしたらアルデシュームの罠にはまって……」
「姉さんがいたの? 三姉妹ってことなのか」
「うん、ミーシャとリディアとあたし。アレクサンドリアではメーガス三姉妹と言われ有名だったのよ。ミーシャは召喚魔法の使い手でリディアは攻撃魔法、そしてロリミカことあたしはサポート魔法担当で三人のコンビネーションは無敵の強さだったのよ。勿論女王さまにも可愛がられていたのよ」
「ぞれで三姉妹はどうなったの?」
俺が聞くと、また泣きそうな表情になった魔女っ子ロリミカ。
「アルデシュームは予想を超えて強かったの。たぶん、人じゃなく正真正銘の魔女になってた。だからわたしたちは頑張ったのだけど、魔力が尽き始めて、ついに姉さん達はあたしだけ逃してくれて石になっちゃった。そして、あたしはここにいる。人形は分からないよ」
とうとう泣き出したロリミカ。
「そっか、そっか。小さいのに大変な思いしたんだなぁ。よしよし、きっとなんとかなるさ。だから泣くなってロリミカ」
「うん、ありがとう。無文は優しいね」
初めてロリミカが俺の名前を呼んでくれた。
やはり、どんな時にも人に優しく、特に女子供には「親切にしなさい!」と言う御仏の教えは偉大である。さらに、俺の困った時の十八番「なんとかなるさ」はポジティブシンキング全開で抜群だわ。
「なんとかならないけどね」
ロリミカはボソッと呟いた。
「ウグッ」
せっかく自分の言った事の余韻すら与えてくれないロリミカ。少女なのにあなどれない。
「ところで無文、ここはどこ? アレクサンドリアは遠いのか」
「どこ?」っ聞かれてもなぁ。
ここは日本で京都、世界中の人が知ってるであろう観光都市。で、その京都の無名この上ないお寺の本堂だよ。
っと言っても分からないだろうな。
妄想少女って線も少なからずあるしな。
とりあえず、何から教えてやれば分からないから、世界地図でも見せたらアレクサンドリアの位置なんかもな。
こういう時は便利なスマホちゃんの出番だわ。
「ところで、そのさっきからいじってる小さいの何?」
ロリミカはスマホに興味を示したのか指さして聞いてきた。
「これはスマホといって携帯電話だよ」
「なに、それ、電話?」
「そうそう遠くの人とも瞬時に話せる、電話だよ」
「テレパシーの魔法か」
根本的に違うようなきもするが、テレパシーの魔法なるものが他の人と話せるなら間違いではない。
「でも、無文は誰とも話してないじゃん」
「あ、あくまで電話は機能の一つなんだよ。あと、写真や動画撮れたり、分からない事調べたり、音楽聞いたり、ゲームしたりとか出来ることは―――沢山あるんだよ」
俺は携帯ショップの店員さながらにロリミカにレクチャーする。
「よく、分からないけど面白そうね。中に入ってみようかな」
「え!? 」中に入るってどういう意味なんだ???
「ねぇ、無文。あたしスマホとやらに入ってみるね!
心の中にいるリディアもイケるって言ってるから」
そういうとロリミカはフワフワと宙に浮き、ステッキを振り振りすると、「メロ、メロ、メロ、メロ、メロリンキュー♡小さくなれー」と呪文を唱えた。
「無文見てなさいよ! これが魔法。あたしが妄想少女じゃなく魔法少女、魔女っ子ロリミカの証なりー」
「あちゃー」
ロリミカは俺の思ってた事読めるんだったわ
「ソオレェー」
ロリミカは掛け声を出すと、もう一段高い宙に向かってジャンプし、そこからクルクルと回転しながらスマホに向かって頭から突っ込んて行った。
「ポン」
スマホからはタッチパネルに触れた時になる音かまして液晶には波紋が出来て消えた。
「うわぁーー」
本当にスマホの中に入りやがった。
俺はきっと夢だと思い、ほっぺを思いっきりつねってみた。
結果、むちゃくちゃ痛い。
どうやら、これは現実で魔法とやらをライブで見た瞬間のようだ。
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