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魔導石
しおりを挟む「いやぁー、あんた達本当に強いね、お見事、お見事!」
サキュバスを倒し宿屋に戻ると戦いの一部始終を見ていたであろうトンスラとブスカさんが褒めちぎってくれた。
「あんな奴ら朝飯前っすよ」
調子に乗ってる俺。
「誘惑されてホイホイ呼びよせられた癖に! この無文のスケベ!!」
しっかりと釘をさしてくるロリミカ。
「いやぁ~~、あれはわざと操られたフリをしてだな……」
「無文の嘘つきぃ、鼻の下伸びてたし、目は♡だったじゃない。スキルのおかげ――」
「ちょ、ちょ、ロリミカ。ストップストップ――」
俺はロリミカの口を押さえて皆までは言わせない。
確かに、ロリミカの言いたいようにスキルのおかげで何とかなった。でも、この世界、油断してると、いくら強いスキルを持っていてもやられてしまうかも。結果オーライだったがこれからは気をつけないとな。
「ところで、強いあんたらに頼みがあるんだ」
ブスカさんは神妙な顔をして言ってきた。
「分かってるよ、おじさん。リッチモンドのところに行ってこいでしょ。もし、伯爵が正気だったら話聞いてみたいし、まぁ、望み薄いだろうなぁ」
「そうなんだよ。カワイイ魔女っ子ちゃんは頭の回転が早いね。リッチモンド邸に働きに行った街の連中やサキュバス達に拐われた者が気になるけど、俺も含めて街の者は怖くてちかづけないからな。頼む様子だけでも見に行ってくれないか」
確かにブスカさんの言うようにロリミカは先読みするっていうか、賢い。
「いいよ、サキュバスの言ってたラミアってのも気になるし、アルデシュームに関係あると思うから調べに行くよ。強い無文さんもいることだしね」
ったく……。ロリミカのやつ、賢いからズル賢いに変更しよう。
「ラミアってのはパラメキアでも位の高そうな女なんだ。リッチモンドとの嫁入りの時なんかは、わざわざパラメキアから飛空艇でやってきて、騎士団なんかも顔出してからな」
イメージ的にはアニメやゲームの世界での存在。見てみたいという興味はそそられる。
「パラメキアって発展してるんだな。空に船浮かべれるのだろう飛空艇って?」
「そうだよ、空に浮かぶ船。動力源は魔導石なんだ」
「魔導石って?」
「パラメキアが発展した原動力って言っていい代物なんだ。魔導石はエネルギーの結晶みたいなもんで、奴らの国の魔導士や学術士が研究に研究を重ねてあらゆる物に転用出来るようにしたって話だよ。元々は灯りなんかに用いてたけどパラメキアはそれを武器に使うようになって……。奴らの飛空艇も空に浮かぶ軍艦だよ。パラメキアは各地で採れる魔導石を独占しようと各地を侵略してるんだよ」
なるほど、魔導石ってのは俺の世界でいえば、石油みたいなものだな。この世界でも、石油、いや魔導石が戦争の火種になってるって事だな。
「そうだ、あんたらが魔物倒してくれたから、少しだけ灯りをつけてあげるよ。これが魔導石の恩恵だよ」
ブスカさんは、壁についてあるスイッチをひねった。
すると一瞬のうちに室内は明るくなる。
「うちは宿屋してるから、無理して買ったんだよ。金貨3枚もしたんだけどな。このあたりじゃ、魔導ライト持ってるのは貴族あたりなんかの限られた者だけなんだぜ。まぁ、パラメキア国内では普及してるようだけどな」
確かに明るいし、便利だな。この世界では電気の代わりにもなってるし、金貨3枚って価値あるんだな。そういえば、さっきサキュバス倒したら金貨3枚だったような………。
ってことは、サキュバスはかなりの魔物ってことなんだ。
「じゃ、おじさん今晩泊めてよ。ここで泊まらしてもらって朝一にリッチモンドのところに行くよ。それと、ここは道具屋さんも兼ねてるんでしょ、知恵の種とかあればちょうだい。お代は金貨3枚でどう?」
「金貨3枚もかい!? ありがたい。知恵の種は一つたけあったと思うよ。なにせ、ああいったものは値がはるからなかなか仕入れてこれないんだ」
「じゃ、決まりね。あと、おじさんお腹も空いちゃった」
俺とロリミカは深夜近くになって食事にありついた。
「ほら、さっき言ってた知恵の種、一つだけあったよ。魔女っ子ちゃんが飲むのかい?」
食事中にブスカさんが倉庫から探して知恵の種を持ってきてくれた。どうやら、高くて貴重品のようだ。
「違うよ、無文に飲んでもらって知力アップ試してみる」
あ、そういえば、ここに来る途中にそんな話してたような。
確か、楽そうにフワフワ浮いてたロリミカ見ていて、魔法使いたいみたいな。でも、俺の知力が元々低いから……。
思いだしたら腹が立ってきた。
「ほら、無文飲んでみて知恵の種」
「これ、飲んだら魔法使えるようになるのか?」
「無文は魔法使いじゃないから、使えないよ。でもスキルは覚えるかもだから。それと、いくら飲んでも本当の馬鹿には効かないからね。あと、種が身体に吸収されるには数時間かかるから、朝になって何もなかったらアホ確だからね」
見た目、黒くて不味そうな種を口に入れるのは勇気がいるし、どうやら胃には優しくないみたいで溶けにくく効果出るまで時間かかるようだな。それに、馬鹿には効かないと聞くと飲みたくなくなるだろー。
でも、ワンチャン飲んで強力なスキルが手に入る可能性があるなら飲む選択を選ぶしかない。
とりあえず、俺は知恵の種を口に入れてみた。
「くっそっ不味い」と思わず言ってしまう。
すぐに飲み込んだけど、口の中に苦味が残っていて消す為に水を流しこんだ次第。
「朝起きたら、楽しみだね無文」
他人ごとだから軽いロリミカ。
「じゃ。あたし眠たくなったから寝るよ。おやすみ」
ロリミカの強さは魔力あってだからな。しっかりペンダントの色を戻して回復、回復だな。
俺も生あくびが出だしたので眠ることにした。
翌朝。目覚めると「テロリロリーン」と馴染み出したレベルアップ音。
ヤッタァー! どうだ! ロリミカ馬鹿じゃ無かったぜ。
「レベルアップ。スキル陰陽道 犬神ドッペルを会得しました」
またまた、何やら覚えたみたいだけど、犬神ってなんだ。
イメージしてたロリミカの魔法とは違うような気もする。
ロリミカに聞いてみたいところだが、まだ「スヤスヤ」と眠ってるので後で聞いてみることにしよう。
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