【完結】お暇ならショートでも。

カトラス

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ついてない男 (コメディー)

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 その日、男はひどくついていなかった。

 朝、けたたましく鳴る目覚まし時計に驚いて目を覚ますと、いつもより三十分寝坊していた。

 しかも、いい夢で朝寝坊するなら、まだましだが男がみたのは悪夢だった。

 得たいのしれないチェーンソーを持った男に、追い掛け回されたあげく無残にも殺されてしまうとゆう最悪の内容だ。

 

 そのショックで首を寝ちがえている。

 だが、男は前夜の夢など思い出してる余裕はない。

 

 早く会社に行く支度をしないといけないからだ。

 男は慌てて洗面所に行くと、急いで歯を磨いた。

 

 歯を磨いていたら、前歯の一本が抜けてしまった。

 先日、歯が痛かったので治療にいった歯医者がどうやら、やぶ医者だったようだ。

 

 それから、男は急いでスーツを着たがネクタイが見当たらない。

 ネクタイを探すのに五分ほど無駄な時間を費やしてしまった為、朝めしをくいそびれてしまった。

 そして、飼っているインコにいってきますと言おうと思い、鳥かごを見たら、インコのピィーちゃんがひっくり返って死んでいた。

 

 男はあまりにショックで会社を休もうかと考えたが、今日は取引先との大事な商談がある為、そうもいかない。

 男は早々にピィーちゃんに別れを告げると、涙を拭くまもなく玄関を勢いよくとびだした。

 

 あまりに勢いよく飛び出した為、玄関外の段差につまずき激しく転倒してしまった。

 すぐに男は起き上がると、走って電車の駅にむかった。

 駅について、電車を待っていると、女子高生が自分の顔をチロチロ見て笑っていた。

 な

 んで、笑ってるのかと思ったら、ズボンのチャックが全開だった。

 そして、電車がやってきて満員電車に男はつめこまれた。

 ギュウギュウ詰めの中、横を見るとデブの男にはさまれていて、正面は香水の匂いがきついお姉ちゃんだった。

 

 そして、電車が揺れるたびに男はデブに押しつぶされそうになった。

 しかもデブはワキガなのか酸っぱい匂いがした。

 そうして、この狭い空間の中で、ワキガとキツイ香水の匂いから、早く解放されたいと思っていたところ、
 突然、前の香水の匂いがきついお姉ちゃんに手首をつかまれた。

「この人痴漢です」

 最悪な展開だった。

 男は、会社の最寄り駅までにつく間、周りの乗客から白い目で見られながら、辱めに耐えなければいけなかった。

 最寄り駅につくと、冤罪痴漢容疑でつかまってたまるものかと、全速力で走って改札を抜けた。

 

 こうして、地獄のような通勤が終わってようやく会社についた男。

 しかし、会社についても不幸の連鎖はやまなかった。

 まず、会社のエレベータに乗ったら、室内で臭い匂いがして男が屁をこいたんじゃないかと疑われるし、仕事をしていても、ミスの連発。

 もちろん、大事な商談も失敗に終わる。

 

 昼飯を食っていても、味噌汁の中に虫が入ってるし、食堂のおばちゃんに文句を言ったが、お金払うの嫌だから、自分でいれたんじゃないかと疑われる始末。

 
 その後も、数々の不幸が男を襲ったが、男はようやく退社の時間を迎える事ができた。

 そして、男はこれ以上、嫌なことが起こってたまるものかと思い、帰りは用心深くなってあわてないようにいた。

 

 ようやく、何事もなく無事に自宅の近くまできたとき、男はふと思った。

 こういう日は、最後まで油断してはだめだ。

 

 最後の最後で車が突っ込んできて轢かれたりするものだ。

 男が予想したとおり、男が横断歩道を渡ろうとしたとき、黒塗りの車が猛スピードで男に突っ込んできた。

 しかし、男は予想していたので、とっさによける事ができた。

 
 車もふらつきながらだが、障害物に当たることなく走り去っていった。

 事なきをえた、男と車だったが、車はさっきの男に当たりそうになった時、黒いかばんを落としていった。

 男はかばんに近づき、かばんの中身を確かめた。

 すると、かばんの中には大量の一万札が入ってるではないか!

 ざっと見ただけで数千万円はつまってる。

 車も取りに戻ってくる様子はなかった。

 男は周囲を確認した。

 今、ここにいるのは、どうやら男だけのようだった。

 男の中の悪い心が囁く。

(誰もみていないんだ。ねこばばしてしまえ!)

 

 男は思った。

 今日、一日ろくでもない事があったのは、こんな良い事がある伏線だったのだ。

 悪い事と良い事は紙一重なのだ。

 男は自分に都合の良い言い訳をつけると、かばんを持って自宅に戻った。

 自宅に戻ると、インコのピィーちゃんを丁重に埋葬してやると、一日の疲れがでてしまい、すぐに寝てしまった。



 深夜に男の自宅のドアを激しく叩く音が聞こえて、男は目をさました。

(誰だよこんな時間に……)

 男がドアの鍵を開けようとしたとき、

 ドアが蹴破られた。

 そして、入ってきた男が言った。

「警察の者だ!お前を強制ワイセツと銀行強盗容疑で逮捕する」

 警察の話によると銀行強盗をした、車で走り去った奴らが捕まり、そいつらの自供によると、仲間がいたのでそいつに盗んだかばんを投げ捨て、あとで落ち合うつもりだったらしい。

 それを、たまたま男が拾ったところを近所の住民が目撃しており、警察に連絡したようだ。

 

 ワイセツ容疑の方も、通勤途中に痴漢に間違われて、改札を走って逃げるところを防犯カメラがばっちり捕らえていたのだった。

 男は必死に刑事に言い訳をしたが、聞く耳をもってもらえず、手首に手錠をはめられて引っ張れていった。



 本当に男にとって最後の最後までついていない一日であった。
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