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スワンの翼 (ホラー)
しおりを挟む僕は、【醜いアヒルの子】というアンデルセンの童話が大好きだった。
今は醜くても、いつか白鳥になって……。
なぜ、その童話が好きなのかは、生まれた時から僕は身体が小さくて顔もブサイクだったからなんだ。
だから、物心ついた時から、学校で虐められていた。
現に今も、放課後に同級生に体育館裏に連れていかれて、イジメを受けている最中だったりする。
「なぁ、なんでお前って、そんなに気持ち悪い顔してるの? 肌もなんか緑っぽいし、臭いし、キモいって……」
今日のイジメは女生徒も混じっていたから、恥ずかしいし、とても嫌だ。
「なぁ、ちょっと服脱げよ。お前、あそこがデカいって噂だし、他の人と違って気持ち悪いらしいから、俺達が見て確認してやるよ!」
リーダー格で一番身体が大きい西江って奴がろくでもない事を言ってくる。
「三島も見たいって言ってるし、さぁ、早く脱げよ。じゃ、ないと……」
三島ってのは女生徒で、西江と付きあってる嫌な奴だったりする。
僕は女生徒の前でパンツを脱ぐのはゴメンなので無視をすることにした。
すると、いつものように腹を蹴られた。
息が出来ないくらいに痛い。
思わず、うずくまると今度は頭に激痛がはしる。
今度は足を振り落としてきたからだ。
「早くしないから、痛い目にあうんだぞ!」
西江は仲間の栗田に暴力をふるわせて置きながらニヤニヤとそう言う。
「ほら、栗田手伝ってやれ」
西江の子分みたいな栗田は強引に僕を立たせると、ズボンに手をかけ、下にずりおろした。そして、パンツにまで手をかけると一気に……。
「きゃー、キモい」
キモいと言いながら、三島は笑い転げながら生まれたままの姿になった僕の下半身をしっかり見ている。
「なぁ、俺の言った通りだろ。こいつのアソコは普通と違うんだよ。デカいし、先が二又に分かれてんだよ。こいつ人間なのかよ?」
そう言うと、西江は僕の尻を激しく蹴った。
思わず、僕は「シャー」と失禁してしまう。
「ウワァー、やっぱ、こいつヤバいわ! 小便の色が青色してるわ」
その時だった。
体育館の屋根から、目も開けていられないくらいの眩しい光が視界に入ってくる。
僕と西江達は、光の源を目で追っていた。
そこには、見たこともない物体が空に浮かんでいた。
そして、気がつくと、僕と西江達は殺風景な部屋、いや何もない空間みたいな所に寝かされていた。
すぐに、何もない部屋の空間から、突然に扉が現れて中から人が姿を出した。いや、よくよく見ると、そいつは人ではなかった。
だって緑色の身体をして、背中には黒い大きな翼みたいなものがついていたからそんな感じがしたんだ。
どうやら、そいつはあの空に浮かんでいた物体の乗組員のような気がする。
僕は直感的にそう思った。
後から目を覚ました西尾達も僕と同じ事を思ったのか隣で震えている。
でも、僕は西尾達と、違ってこの人ではない者に恐怖心はなかった。
どちらかというと親しみを感じたりする。
なんでだろう?
答えはすぐに分かったのだけどね。
「おい、化物! ここはどこだ。学校に戻れよ。帰してくれ、いやください」
ようやく口を開いた西江は喚いていたよ。
西江が化物と呼んだ者は僕達に聞いた事もない言葉で何か言っていた。
断片的に西江達には、「我は神、創造主、返さない、研究」とか聞こえていたと思う。
西江達には、と言ったのは、僕には、途中から話してる内容が全てわかりだしたんだ。
言ってる事を要約すると、我はシュメールの神なり、お前たちの創造主。だから研究する。決して返さない。と言っていた。
そして、シュメールの神は、泣いていた西江の彼女の身体に長い爪を当てると、服の上から切り裂いていった。
「いやぁ~~」
彼女の叫び声が木霊する船内。
発達しだした胸はすぐに赤く染まり乳首はすぐに血で見えなくなっていた。
でも、不思議なのは、創造主なるものが手をかざすと、あれほど出ていた血がきれいになくなり、切り口だけが見えていたからだったよ。
そして、いつの間にか置かれていたビーカーに彼女の臓器を入れだしたんだ。
映画か何かで見たことあるホルマリン漬けなのかも知れないね。
ほんの数分ほどで西江の彼女は内蔵を全て抜かれて皮だけになってたんだよ。
そして、創造主なるものは、今度は僕のところにやってきてた。
あぁ、僕も彼女のように解体されるんだ。
と思っていると、「さぁ、仲間よ」と言って僕に手を差し伸べると立ち上がらせてくれたんだ。
「仲間?」
どういう意味と思っていると、僕は突然に背中に違和感を覚え出した。
その様子を隣で見ていた西江が「うわぁ」と声を上げてたかな。
僕は慌てて背中に目をやると、肩甲骨の下ぐらいから裂けていて、そこから黒くて立派な翼が生えていたんだ。
アンデルセンの童話のように白鳥にはなれたかったが、この黒い翼も悪魔みたいでかっこいいし、何よりも美しいと思ったね。
そう僕は醜い心を持った人間から美しい神に生まれ変わった瞬間だった。
仲間は、同じ姿になった僕に西江を指さして、「実験」とたけ言った。
さてさて、西江をどう研究してやろうかと、想像するだけで楽しい気分になれたかな。
さっそく、僕は西江の処遇を思いついたんだ。
僕を散々虐めた西江の頭、いや脳みそがどんな色して、どれくらいの大きさしてるのかな? ってね。
そして、僕は、長い爪に生え変わった指で西江のおでこに……。
それは、僕が神となり人間を超えた瞬間だった……。
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