【完結】お暇ならショートでも。

カトラス

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カメレオン人間 (SF)

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 人類の長年の夢の一つ。



 それは、危険予知ではないだろうか?



 私は、その事に興味を持ち、生涯に渡り研究を重ねてきた科学者だ。



 例えば、この世の中で大切な命を奪ってしまうかも知れない危険は、ズバリ天変地異の自然災害じゃないだろうかと思う。

 地震だと家屋が崩れて下敷きなったり、豪雨災害だと洪水からの土砂災害で命を失ってしまう災害など、気候変動が問題になってる昨今では、いつ自分に降り掛かってもおかしくないご時世であるからだ。



  だから、このような災害が事前に分かれば人類のためになるし、ノーベル賞も夢じゃないと思って研究を重ねてきた。



 そして、ようやく危険予知が出来る目処がついたのである。



 私が研究で着目したのは動物や昆虫。

 例えば、地震で言えば大きな揺れが発生する前には乳牛の乳の出が悪くなったり、深海魚が海面の浅い場所で目撃されたり例をあげれば数多く存在する。ナマズが暴れるなんてのも有名な話だったりする。



 それで、特に私が着目したのは、マウス。

 つまりネズミだった。



 ネズミは比較的に科学者の間では手に入りやすいし、小さい生き物だから場所も取らずに研究には手軽だからだ。



 しかも、ネズミは危険予知能力には長けている。 
 沈む船から逃げるネズミ如しと言われることからも、ネズミには何らかの能力があるのは明らかだからた。



 そこで、私は本格的にネズミの予知能力を研究するために人里離れた場所に全財産を投じて小さいながらも研究所を建て一人で研究に没頭した。

 人里離れた場所にしたのは、このような研究をライバル達に知られたくないからだった。

 私にはノーベル賞という野心もあるから、一人で成果を上げたいというのもあった。



 そして、研究を積み重ねてようやく、実用レベルの危険予知能力を発見したのだ。

 あとは、本当に予知能力が出来るのか実験するだけだった。



 詳しくは言えないが、ネズミのある遺伝子を抽出して、それをバイオ技術で培養。

 濃縮したものを人体に投与すると危険予知が出来る画期的なものになった。

 そして、危険を感知したら分かるように、投与した体の色、つまり肌の色が赤くなるようにカメレオンの遺伝子もカスタマイズして研究を完成することに成功した。



 まだまだ、課題はあるが、あとは実証実験を重ねて微調整を加えれば実用出来るってものだ。



 早速に私は、研究者で実用実験をすることにした。

 実験に当たる前に、更に実用出来るように肌の変化を危険レベルに応じて、白→黄→赤→茶→黒と色が濃いほど危険になるようにしたつもりだ。



 まだ、試してないから色の変化は後のお楽しみといった感じだったりする。



 部屋の片隅に害虫駆除のバルサンを用意して炊くことにした。

 ほどなくして、バルサンを用意した段階で私の体は熱くなり、肌の変化が白色に変化しだした。

 なるほど、煙が出てからでは危険予知にならないから成功を意味する肌の変色だ。

 肌の色は、点火しようとバルサンに近づく距離が近づくに連れて歯磨き粉のような真っ白から信号機の黄色のランプ色のように警鐘を促す色々に変化してくれた。



 私は、成功を確信したので、バルサンを炊くことせずに撤去させた。



 すると、肌の色はすぐに元通りになった。

 実験の副作用といえば、変色する際に身体がほてる感じになるくらいで問題なしと思えた。



 あとは、実際に街に出てみて、危険予知が出来るかを試すのみだ。



 成功したら、ノーベル賞は間違いない実験だ。

 私は期待に胸を膨らませ、久々に街に出かける事にした。





 街に着くと、ショッピングモールのトイレに入って、ネズミとカメレオンから抽出した薬を体に注射した。



 恐らく薬の効果が表れ出すのは数分後だ。



 私は、もっと人が密集してる所を目指してモールを出た。



 久々に街に出ると、一人だらけで人酔いしてしまいそうになる。これは、薬の副作用ではなく、私自身の気分だからどうしようもない。



 それから、数分ほど街を散策していると、突然に身体に異変が起こり出した。それは身体が火照りだす感覚が襲ってきたからだった。



 いよいよ、何か起こる予兆だ。天気は晴れているので豪雨とかではない。さては地震でも起こるのだろうか?



 私は地震に備えて、頑丈な建物に身を潜めて待った。

 しかし、地震は訪れない。

「おかしいなぁ」と思っていたら、身体の火照りが増し熱くて堪らなくなってくる。

 まるで、火災現場にいるかのように身体が「熱い」、熱いのだ。



 私は熱さに耐えられなくなり、着ていた服を脱ぎ捨てた。

 もう、人目など気にしてなれない状態だった。



「キャー」。



 近くにいた女性が私の姿を見て悲鳴をあげる。



 私は熱さでそれどころでは無かったが、なんとか身体を確認してみた。



 すると、裸の上半身は様々な赤や黄色や黒などの色がペンキで塗ったようにまだらに変色しているのだった……。



 その時に私は理解した。



 この街、いや人間の社会は常に欲望渦巻き、自然災害を超えた危険に満ち溢れているのだと……。



 どうやら、私のノーベル賞の夢はまだまだ先になりそうだとカメレオンのように鮮やかに染まった肌の色を見ながら思うのだった……。
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