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2時限目 遅刻の全校集会
しおりを挟むジリリリリ……
星「ん、んん………」
ジリリリリ………
星「………」
ジリリリ ガチャッ
星「………ん?!って、うおっ!!?」
『午前7時半』
星「約束時間に起きてどうするよ、俺!!」
星野はベッドから飛び降り、
壁に掛けてある学ランを音速で着た。
カバンの中は昨日から何も変わってない。
星「今日の時間割は、
全校集会、学活!
うぇ、全部クソだな。」
星野はカバンを背負い玄関を出た。
急がなければ。
現在時刻は午前7時35分。
アイアンとの待ち合わせ場所までは
走って約4分かかる。
星「ちと、本気出すか!」
*********
春。
桜が爛々と散る慎み深い季節。
月島は学校の校門から少々離れた桜の下で
本を読んでいた。
『夏目漱石作 こころ』
穏やかではないが
読んでおいた方が良い名作だ。
時刻は午前7時38分。
星野が早起きが苦手なのはかなり有名な事だ。
月島は穏やかに待ち続ける。
月島、太陽、空川。
3人の中でも月島は特に星野を信頼している。
メロスとセリヌンティウス似の関係だろうか。
まぁ、流石に今回は遅いかもしれない。
星野らが通っている高校は
季節によって登校時間が変わる。
この季節、最終登校時刻は7時45分と
他の学校よりかなり早いのだ。
月島は銀の腕時計の針を見つめた。
午前7時39分。
ふと、
学校の反対方向から足音が聞こえてくる。
月「………」
星野だ。
星野はスニッカーズをかじりながら
凄い勢いで走って来た。
星「すまねぇ、アイアン!!
急ぐぞ!!!」
月「うん」
星野に続いて月島は走る。
校門には
マシンガントークジジィこと田山がいた。
奴は技術の教師で、
進路相談の教師でもある。
黒縁メガネに赤いつなぎ、
その顔はウォーリーと瓜二つだ。
田「遅い!!」
星「うるせぇ、ジジィ!」
田「黙れ!この不良め!!」
星「ウォーリーとして生きていく方が
先生にはお似合いっスよ!」
田「くぉらぁぁぁ!!!」
星野、月島は田山を無視して全力疾走する。
*********
校「え~~、であるからにして、
これがこうなりあぁなるわけで~、
あ~、あれがそうなってこうなるわけだ」
校長の話は大体似たようなのばかりだ。
三匹のカエル(ふりかえる、とか)の話とか、
面白くないのばかり。
聞いた話では、学校の教師には
教師としてのマニュアル本があるらしい。
ご苦労さんとしか言えない。
そもそも教師は皆変人だ。
何故折角学校から離れられたのに、
またその学校に戻って来るのだ。
まったく理解が出来ない。
空「レジェンド達遅いね。」
太「多分レジェンドの寝坊だろ。
ほっとけよ」
空「そうだね。どうせ来るもんね。」
空川、太陽は7時に登校した。
太陽は時間を守る男だから、
出来る事なら事は早めに終わらせたいのだ。
教「えぇ~、では最後に、
生徒会長の星野君から
スピーチをしてもらう。
星野。……あれ?いないのか??」
校長のマニュアル話が終わったので
司会の教頭は星野に後を任せようとしたが、
星野はそこにいなかった。
生徒らがザワつく。
B「レジェンドは?」
L「どうせ寝坊だぜ」
A「ははっ!あいつならありえるわ」
C「代わりにアイアンにやらせろよ」
K「アイアンもいないね」
皆、星野の話題で盛り上がり始めたその時。
星「校長とその他諸々!
遅くなりやしたぁぁぁ!!!」
皆の英雄、
星野は光速を超えるかのごとく
凄い速さで体育館に入場した。
生徒が笑う。
W「やっぱレジェンドは単純だなぁ!!」
H「よくそんな度胸あるぜ!!」
星「るせーなっ!
寝坊したんだよ!!」
Y「皆知ってるっつーのw」
星「なん…だと…」
校「くぉら、星野!!
全校集会に遅刻とはどういうつもりだ!」
星「こういうつもりっスよ!」
校「意味がわからんわ!
国語の勉強しなおせ!!」
またまた生徒の大爆笑。
星野はわざとらしい咳払いをすると、
ニヨニヨ笑ってマイク片手に言った。
星「えぇ~っと、
遅くなり失礼しましたぁ。
えぇ~っと、はぁ~~疲れた。
とりあえず、
これから頑張っていきましょ~!」
皆「了解!!」
星野は皆の返事を聞くと
二カリと笑った。
星「それじゃあ、
3年5組から順に退場して~」
*********
遅刻した事を怒られ
授業を終えた正午前、
星野は生徒会室に向かった。
Q「よぉ、遅刻のレジェンド」
星「うっせーなぁ」
Q「お前、今日ヒマか?」
星「んぉ?何か用か?」
Q「ん、いや、何でもない。気にすんな」
星「はぁ?そうか??」
猫背で歩く星野に話しかけたそいつは
3年4組の嵐々丘だ。
星野とは普段つるむ訳では無いが
暇な時に話しかけてくる奴なので、
星野はそいつの事を知っていた。
ボサボサ頭に高身長。
学校では星野より一枚上手の問題児だ。
星野は手を後頭部で組みながら
嵐々丘の背中を眺めていた。
恐らく何かあったのだろう。
何でもないと言ったのだから、
今は触れないでおこう。
*********
生徒会室に入ると、
そこにはあの3人がいた。
星「わりぃ、わりぃ」
空「もう!レジェンドったら!!」
太「どこ行ってたんだよ」
星「トイレ」
月「レジェンドさ。
生徒会長の自覚あんの?」
星「すまんっ」
星野は苦笑いで椅子に座った。
*********
3人に断り
早めに下校するや、
星野は嵐々丘に話しかけた。
星「おい、問題児」
嵐「お前が言うなよ。
遅刻のレジェンド。」
星「るせーなっ!
お前はまず学校来ねぇじゃん」
嵐「黙れ、チビ」
星「お前がでかいんだよ!
俺、178あるぞ?!」
嵐「へぇ~ん!!
俺、187~!!」
星「うわっ、9cm差かよ!」
嵐「へっ、ワリィな。
背でかくて(笑)」
星「黙れやい、ノッポ!」
綺麗に整えられた坊ちゃん刈りの星野、
ボサボサ頭で猫背の嵐々丘は
お互い楽しく罵り合った。
*********
しばらくして、
星野は嵐々丘をカフェの前まで連れてきた。
嵐「あぁ??何だここ」
星「カフェだよ、バーカ」
嵐「んなこたぁ、わかってるわ!
何で連れてきた!?」
星「お前何か悩んでんだろ?」
嵐「!」
星「俺も一応生徒会長だし。
こういう所は見とるんだわ。」
嵐「流石だな、生徒会長さんよ」
嵐ヶ丘の背中を押しながら、
星野は店に入った。
*********
いちごパフェ、チョコパフェ、バナナパフェ、
ぷりんとクリームの万里の長城、モンブラン、
ミラクルロマンスサイダー、天使のぷりん、
ミッドナイトに電話して、マカロンタワー、
ハートのもちもちケーキ、Appleふぉんpie、、、
そのカフェは
スイーツ系が充実しすぎたカフェだった。
名前は『Silver Crystal Moon』。
中はピンクやらパステルカラーやらやらやら。
いわゆる、
『ゆめかわいい』内装であった。
中は女の子達で一杯で、
男は1人もいなかった。
嵐「お、おい、レジェンド……
お前、マジでココか?!
隣の店と間違えてないか?!!」
星「俺、週3でここに来るぜ?」
嵐「マジかっ!!?」
男なら入るのをためらう様なその店の
ピンクのエナメル椅子に座り、
星野は注文したデザートを食べていた。
星「ひひほふへほは」
嵐「日本語喋れ、バーカ」
星野は眉間に皺を寄せて
ゴクリとプリンやらシリアルを飲み込んだ。
星「一応俺はそういう趣味はないぞ?」
嵐「気持ち悪ぃな。俺彼女いるわ。」
星「マジで?!美人か?」
嵐「おうよw」
星「名前は?!」
嵐「初音ミ…」
星「死ね」
嵐々丘が言い終わる前に
星野は眉間を寄せ、
白目をむき、口をへの字に曲げ
嵐々丘の顔を殴った。
顔がへこむ。
嵐「んぎゃぁっ!!!?」
星「生身の人間は!?」
嵐「俺の顔でそんなの出来るか!!」
星「あぁそうかよ!悪かったな!!」
嵐「本当だ!!少し傷付いたぞ!!」
星「おのれは女か!?
この程度で傷付くな!!」
星野の食べるスピードは
恐らく光速より速い。
何故なら、
瞬きした瞬間パフェの山が空になったからだ。
星「で?悩みとは??」
嵐「最近、俺の妹の様子がおかしいんだ。」
星「思春期じゃねぇの?」
嵐「俺の妹、まだ小5だぞ?!」
星「好きな奴にふられたとか?
友達に無視され気味で
いじけてるとか?
色々考えたか?」
嵐「全く!!」
星「おい~~!!!?」
嵐「?」
星「お前馬鹿かよ?!」
嵐「馬鹿だよ。分かりきってる事だろ?」
星「…………あほくさ!俺帰る!!」
星野は嵐ヶ丘の阿呆っぷりに呆れて
帰ってしまった。
嵐「あーあ。帰っちまったよ。
どう思う?ミクちゃん。」
スマホの画面を撫でる嵐ヶ丘を見て、
星野は言った。
星「生身の女じゃねぇと意味ねぇじゃん!」
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