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Ⅰ
貴方に愛されて
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帰りのマリアは
本当に疲れた様子だった。
キリストの肩に両腕を回し、
彼の背中にもたれかかる彼女の瞳には
後悔の思いのようなものが
込められていた。
マ「貴方」
キ「何だ?」
マ「私を許して?」
キ「…………お前のあの部分も
その部分も全て、
お前の個性だ。
俺はそんなお前を愛してるからこそ
結婚したんだ。
嫌ならもうやらなくていいし、
やりたいならやればいい。
辛いならやめろ。」
マ「…………リリスが羨ましい。」
キ「…………」
デメテル、クロノス、エロスには
先に帰らした。
彼女がこのように落ち込んでいる場合、
キリストは彼女をいつも
ある場所へ連れていく。
***********
マ「わぁ~~!!」
キ「ここでしばらく休もう。」
そこは森の奥深くにある
少し大きめの池周り。
花々が優しく咲き誇り、
蝶が舞う。
先程とは月とすっぽん、
本当に美しい場所だった。
マリアは持ってきていた
深緑のロングドレスに着替え、
キリストと池辺を歩いた。
やはり彼女には
黒より上品な色が似合った。
黒革コスチュームよりも、
この方が断然魅力的である。
マ「太陽の光を浴びて育つ事は
素晴らしい事ね。」
キ「何故だ?」
マ「光があれば貴方を
しっかり見る事が出来るわ♪」
キ「っ!」
マリアのその可愛らしい笑みに
キリストは優しいキスで返した。
キ「やっぱり俺は今のお前が
一番愛しい。」
マリアはそれを聞くと、
辛そうに、
けれども隠すように顔を少し歪めた後
彼の手を取り
それを自分の頬に当てた。
彼女は彼の温もりを感じとり、
愛しそうに彼を見つめた。
マ「私はどの貴方も愛してるわ。」
キリストもそれを聞いて、
無表情ではあるが嬉しそうに
彼女を抱きしめた。
キ「愛してる」
マ「……………」
すると彼女は
何か考えた後寂しそうに言った。
マ「下品な女で……ごめんなさい…」
***********
池に足をつける
キリストの太ももに頭を乗せ、
マリアは夢心地に彼に話しかけていた。
マ「あったかい……」
キ「…眠いのか?」
マ「この空気があったかいの」
キ「………幸福感を感じてるってことか?」
マ「そうとも言うわ♪」
マリアはサングラスなしの
ありのままの素顔をキリストに向けた。
白い肌に長い黒睫毛、
温かく光る青い瞳に薄紅色の唇。
髪は綺麗にまとめられており、
清楚な雰囲気を漂わした。
マ「私、幸せよ?」
キリストはそれを聞くと、
彼女の頬を撫でた。
細身はあるが
付くべき所にちゃんと肉の付いている
良い身体だ。
清楚一辺倒なその服に露出部はないが
上半身がかなり密着している為、
体のラインはなんとなく想像がついた。
幸せで温かな雰囲気の中、
向こうの方で何か物音がした。
ガサッ
キ「っ!」
流石キリシャのボスだけあって、
キリストは一瞬で
物凄い気迫と緊張感を走らせ
マリアを守った。
キ「………誰だ」
重い声を浴びた相手は
怖がった様にこちらへ姿を表した。
マ「アフロディーテ?」
そこには貝の下着姿の美しい女がいた。
ア「お二人の時間を割いた事、
お許しください。
しかし、大事な用があるのです。」
キ「それは何だ。」
ア「キリスト様、マリア様、
大統領閣下から
先程お電話がありました。」
マ「どこの大統領?」
ア「我が国のです、マリア様。」
キ「分かった、すぐ行こう。
アフロディーテ、
マリアの支度をしろ。」
ア「はい。」
温かな時間は終わった。
仕事だ。
本当に疲れた様子だった。
キリストの肩に両腕を回し、
彼の背中にもたれかかる彼女の瞳には
後悔の思いのようなものが
込められていた。
マ「貴方」
キ「何だ?」
マ「私を許して?」
キ「…………お前のあの部分も
その部分も全て、
お前の個性だ。
俺はそんなお前を愛してるからこそ
結婚したんだ。
嫌ならもうやらなくていいし、
やりたいならやればいい。
辛いならやめろ。」
マ「…………リリスが羨ましい。」
キ「…………」
デメテル、クロノス、エロスには
先に帰らした。
彼女がこのように落ち込んでいる場合、
キリストは彼女をいつも
ある場所へ連れていく。
***********
マ「わぁ~~!!」
キ「ここでしばらく休もう。」
そこは森の奥深くにある
少し大きめの池周り。
花々が優しく咲き誇り、
蝶が舞う。
先程とは月とすっぽん、
本当に美しい場所だった。
マリアは持ってきていた
深緑のロングドレスに着替え、
キリストと池辺を歩いた。
やはり彼女には
黒より上品な色が似合った。
黒革コスチュームよりも、
この方が断然魅力的である。
マ「太陽の光を浴びて育つ事は
素晴らしい事ね。」
キ「何故だ?」
マ「光があれば貴方を
しっかり見る事が出来るわ♪」
キ「っ!」
マリアのその可愛らしい笑みに
キリストは優しいキスで返した。
キ「やっぱり俺は今のお前が
一番愛しい。」
マリアはそれを聞くと、
辛そうに、
けれども隠すように顔を少し歪めた後
彼の手を取り
それを自分の頬に当てた。
彼女は彼の温もりを感じとり、
愛しそうに彼を見つめた。
マ「私はどの貴方も愛してるわ。」
キリストもそれを聞いて、
無表情ではあるが嬉しそうに
彼女を抱きしめた。
キ「愛してる」
マ「……………」
すると彼女は
何か考えた後寂しそうに言った。
マ「下品な女で……ごめんなさい…」
***********
池に足をつける
キリストの太ももに頭を乗せ、
マリアは夢心地に彼に話しかけていた。
マ「あったかい……」
キ「…眠いのか?」
マ「この空気があったかいの」
キ「………幸福感を感じてるってことか?」
マ「そうとも言うわ♪」
マリアはサングラスなしの
ありのままの素顔をキリストに向けた。
白い肌に長い黒睫毛、
温かく光る青い瞳に薄紅色の唇。
髪は綺麗にまとめられており、
清楚な雰囲気を漂わした。
マ「私、幸せよ?」
キリストはそれを聞くと、
彼女の頬を撫でた。
細身はあるが
付くべき所にちゃんと肉の付いている
良い身体だ。
清楚一辺倒なその服に露出部はないが
上半身がかなり密着している為、
体のラインはなんとなく想像がついた。
幸せで温かな雰囲気の中、
向こうの方で何か物音がした。
ガサッ
キ「っ!」
流石キリシャのボスだけあって、
キリストは一瞬で
物凄い気迫と緊張感を走らせ
マリアを守った。
キ「………誰だ」
重い声を浴びた相手は
怖がった様にこちらへ姿を表した。
マ「アフロディーテ?」
そこには貝の下着姿の美しい女がいた。
ア「お二人の時間を割いた事、
お許しください。
しかし、大事な用があるのです。」
キ「それは何だ。」
ア「キリスト様、マリア様、
大統領閣下から
先程お電話がありました。」
マ「どこの大統領?」
ア「我が国のです、マリア様。」
キ「分かった、すぐ行こう。
アフロディーテ、
マリアの支度をしろ。」
ア「はい。」
温かな時間は終わった。
仕事だ。
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