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Ⅰ
握る
しおりを挟むキリシャ本部の館に戻ると、
そこには世界各国の大統領閣下が
冷や汗をかきながら机を囲んでいた。
キ「何の用だ」
「おやおや、これはキリスト殿。」
「まだ来ないのかと
冷や冷やしておりましたぞ。」
キ「丁度ガトリングを使って
民家を粉々にしておりましたよ、
大統領閣下」
「グ………」
マ「………クスッ♪」
アフロディーテに支度してもらい
黒いドレスを身につけるマリアは
大統領が
キリストのブラックジョークに
本気で怖がっている事に
薄ら笑いを浮かべた。
マ「大統領閣下、
今日は何の御用で来たんですかぁ?」
「おぉ、これはマリア夫人」
「今日もまたお美しい!」
キ「嫁を夫の前で堂々と口説くとは
良い度胸だな」
「あばばっ!
ち、違います!
これは誤解です!!」
キリストと目を合わせる。
真面目な人間をからかうのは
本当に面白い。
マリアは大統領達の囲む机の上に乗り
彼らに色気のある眼差しを向けた。
マ「で?話の内容をもう一度。」
「あぁ、すみません。
実は最近スラム街の方で
例のアイツを見かけたという
情報が絶えないんです。」
「裏社会の実権を握るキリスト様なら
何かお分かりかと思いまして。」
例のアイツ。
それは今朝会ってきた
有名会社の社長であるニコラスの事だ。
奴はこの間
世界各国の政府の隠蔽されるべき
危険なミッションの計画書を
手にしてしまった。
政府側が返してもらおうと説得させると
奴は政府に金を請求した。
金額は5億ドル。
2017年1月2日に1ドルは
約117円とされていた。
となると、
117×500000000は58500000000。
……わかりやすくいえば
日本円で585億円となる。
これは凄まじい大金だ。
まぁ、世には
もっと大金持ちの人間がいる為、
凄まじいとは言い難い。
凄いが似合う程だろうか。
勿論政府は払う気は無い。
よって
ニコラスと関係性のある我々に
頼みに来たのだ。
キリストはしばらく考えると
大統領らに静かに言った。
キ「そいつなら今朝会った。」
「何?!」
「なんと答えたんだ!?」
キ「落ち着け。
奴はこう言ってた。
『もしそんな大金が手に入ったら
貴方に何をするべきでしょう』
とな。」
大統領らに緊張が走る。
皆息を止めて目を充血させながら
キリストを見つめた。
キ「だから俺はこう答えた。
『その脅迫を今すぐ止めなければ
お前の首が落ちる。』
とな。」
「?!」
「てことは…」
キ「『我々に断りもなく
勝手に政府に脅迫とは良い度胸だ。
今度勝手に動いてみろ。
お前の築いてきた
地位や名誉も、何もかもを
我々が奪ってやる。
そうだな、
嫁は人身売買にでも出すか?』
こう言うと、
あいつは脅迫取り消しを誓った。
今度もし奴がそういう事してきたなら
我々にご報告下さい。
知らぬ間に奴は消えています。」
キリストのその言葉に
皆は安心感と恐怖感を感じながら、
一息ついた後
疲れた様に笑った。
「は…はは……」
「そうでしたか。
ありがとうございました。」
「これからもよろしくお願い致します。」
キ「勝手に動くなという意味では
大統領閣下も同じですよ?」
すると、
大統領達は
「ヒッ」
と言って館を出て行った。
マ「貴方に逆らえるヒトなんて
きっといないわ♪」
キ「いたら殺す。」
マ「ま♪……愛してるわ♪
とってもね♪」
キ「その気持ちは俺も同じだ。」
キリストの言葉に
マリアは微笑みながら
彼に抱きついた。
彼は彼女の頭を撫でた。
マ「こうやって抱きつくと
貴方との結婚式を思い出すの。」
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