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Ⅰ
思い出す
しおりを挟む白の大きな教会の床には
一直線に
レッドカーペットがひかれている。
両端にはこの街ほとんどの住民が
木の長椅子に腰を下ろしていた。
どれも盛大であり豪華絢爛であった。
耳を済ますと、
微かに外から2人の足音が近付いてくる。
教会の皆は一斉に
レッドカーペット向きに立った。
数秒すると、
花嫁の入場する扉が開いた。
そこには、
「?!」
見た者誰もが見とれるほどの
美しい花嫁が立っていた。
ウエディングドレスのブランドの
最高峰と言えば
VERA WANG
と言われている。
彼女はそれの特注品、
世界にたった一つの
彼女の為だけに作られた
真っ白の美しいウエディングドレスを
着ていた。
正直に言うと、
彼女の為に作られたのだから
彼女の美しい体型にぴったりで
最高に似合っているのだ。
が、
残念なことに
問題は着ている彼女だ。
白のドレスは
『貴方色に染まります。』
というような意味が込められている。
それには多少の純情さを
感じさせるものだ。
しかし彼女にはそれが一切なかった。
それどころか、
独断で歩いて行ってしまう様な
自信さえ感じさせられた。
ズンズンと歩いていく彼女は
牧師の前に立っている
金の茨の冠を被るキリストの横に立つと、
牧師の言葉が終わり次第
彼に抱きついた。
キリストはそんな彼女の
細い腰を持ち
子供のように持ち上げた。
長い黒睫毛を伏せながら、
彼女は彼に言った。
マ「貴方の黒い正装、良く似合うわ♪」
キ「お前に白は似合わない。」
周りの住民が
「ギョッ」
と言うように驚いていた。
結婚式に花嫁の衣装を
堂々と似合わないという花婿がいるか、
という所だろう。
マリアは何か考えながら、
しばらく口を少し開けていたが
やがて微笑み言った。
マ「私も黒にしようとしたの。
でもやめたわ。」
キ「何故。」
マリアはキリストの頬に手を当て、
優しく笑いながら言った。
マ「貴方色に染まりたかったからよ♪」
キリストは驚いていた様に
何か考えると、
マリアを下ろし強く抱き締めた。
キ「…………愛してる」
マリアは嬉しそうに彼の背中に
腕を回した。
マ「私も♪」
***********
美しさが一層増した彼女の頬を撫でる。
彼女は甘えるように
彼の胸にもたれかかった。
ソファーの上、
夫の膝に乗りながら、
マリアは心で泣いていた。
わかりにくいが、
たしかにわかった。
………………あぁ、
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