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Ⅰ
辛いものだ
しおりを挟む顔は向けなかったが
横目で彼らを見つめていたマリアは、
11番道路を抜けると
何かしら趣を感じさせる雰囲気で
キリストに聞いた。
マ「……次、行き先は?」
キ「スラムの奴らと喧嘩やらだ。」
マ「私どうすれば良い?」
キ「男とでも遊んでろ。」
マ「はぁ~~い♪」
このキリストのマリア、
いわば自分の妻への態度は
正直言って夫婦とは思えない。
妻に堂々と男遊びを推奨する夫なんて、
それで一生を共にする家族と
言えるだろうか。
しかし、不思議な事に
彼らは愛し合っている。
お互いを深く信用しているからだろうか。
***********
着いたそこは、
不衛生でみすぼらしいスラム街。
普段は誰も外へは出ないが
キリシャのメンバーが来た場合と
政府が来た場合のみ、
彼らは外へ出てくる。
キリストはマリアの腰に腕を回し
マリアをこちらに引き寄せた。
スラム街で女が1人というのは、
大変危険な事だ。
いくら男遊びを許すキリストでも、
流石に嫁が殺されるのは嫌らしい。
そのキリストとマリアの
後ろ、左右に
エロス、デメテル、クロノスは構えた。
エ「出てこい。
キリスト様とマリア様のご到着だ。」
すると、
トタン板で出来た家々からは
汚い黒人や白人、アジア人が
次々出て来た。
マ「貴方♪」
キ「おう。
念のため、
銃は持っとけ。
あと、
護衛にエロス、クロノスを付ける。」
マ「やったぁ~♪
行ってきま~す♪
何時に戻ってくればいい?」
キ「2時間後のここで。」
マ「まぁ!ならいっぱい遊べるわ!!
ありがとう!!」
キ「さっさと行ってこい。」
マ「えぇ、愛してるわ。」
マリアはキリストに抱きつくと
彼の唇に深いキスをして走っていった。
彼女目当ての男どもは
彼女を追いかけていく。
勿論、エロス、クロノスはマリアの横だ。
?「やぁやぁ、お久しぶりですな。」
キ「…………」
?「相変わらず、
嫁以外には口数の少ない方だ。」
キリストの目の前には、
とある有名会社の社長である
ニコラスがいた。
キ「今回は上手くやったか?」
ニ「か~~っ!
そういう仕事熱心なところ、
感心感心。」
ニコラスに連れられて、
キリストはデメテルを護衛に
アジトに入った。
***********
マ「あら、貴方達。
大分溜まってたのね♪」
「早くお前を汚したくて、
皆我慢してたのさ。」
マ「あら、嬉しい♪
じゃあ今から始めるわよ?」
「てか早くしてくれ。」
マ「はぁ~い♪」
マリアは黒革コスチュームを脱ぎ、
野外でその美しい身体を晒した。
男どもの視線が彼女に集まる。
マ「さぁ、好きにしなさい♪」
根っからの娼婦でも
彼女のように激しい女はそういない。
マ「ア……♪」
***********
マ「あんっ、んんっ……あっ…」
「サンキュ、今月も楽しかったぜ。」
マ「私も♪」
ク「マリア様、もうよろしいですか?」
マ「あら、もう時間?」
エ「はい。あと5分です。」
マ「5分もあるのね♪」
ク「っ!?」
マ「まだヤリたい人いるぅ~~??」
彼女の瞳に喜びはなかった。
皮肉にも、
空は晴天となっていた。
***********
約束時間を30分遅れて、
マリア達は来た。
見ると、
キリストは煙草を吸っていた。
マ「貴方♪」
キ「遅い。」
情欲の溢れる瞳で
マリアはキリストを見つめ、
猫のように甘えた。
キリストはその一言だけ言うと、
ただ無言で彼女を強く抱き締めた。
愛が伝わってきた。
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