62 / 65
Maria*reverse Ⅰ
思い出
しおりを挟む湿気いっぱいで暖かい浴室。
体いっぱい湯に浸かりながら、
アダムはマリアの事を考えていた。
***********
ねぇねぇ、○○君!
背比べしましょうよ!
絶対私の方が高いんだから!
***********
ア「…………」
***********
見て見て!
新しく買ってもらったワンピース!
綺麗でしょ♪
***********
ア「…っ……」
頭の中を先程から
彼女の声が走っていた。
彼女の事が気になって仕方なかった。
おかしいな。
ショックを受けたはずなのに
涙一つ出てこない。
それは多分、
まだ彼女が死んだ事が
実感として湧かないからだろう。
***********
ねぇねぇ、○○君。
どうしたの?暗いお顔よ?
***********
ア「っ……ぁっ!」
瞳を閉じて出来るあの暗い世界に
真っ白なワンピースを着る彼女が現れた。
***********
ア「んだよ…お前には関係ないだろ」
イ「えぇ??何故よ~」
ア「うるさいな」
庭の噴水の淵に座って
水面を見つめるアダムに、
イヴは楽しそうに話しかけた。
クラシックギターの練習を
終えたからだろう。
この頃は……
確か、アダムが15歳、イヴが14歳だ。
成長期だけあって、
アダムがイヴの身長を
少し抜いていた。
あの頃の彼の身長は……164cmか?
年頃の男というのは
女に目が行きやすい。
アダムの場合は彼女が近すぎて
戸惑うところだろうか?
イ「ねぇ、○○君?」
ア「………お前さぁ、
もう年頃なんだから
男とは距離を持てよ。」
イ「何故?
貴方は悪い事しないでしょ?」
ア「…………まぁな」
イ「私は貴方の事、
信用してるの♪」
信用……か。
夏だから……
夏だから、
とても体が暑かった。
イ「…………ねぇ、○○君」
ア「なんだ?」
イ「○○君は……もし、
私が困っていたら助けてくれる?」
急に彼女がそんな質問をしてくるので
ちょっと驚いたが、
彼女が真剣なのがわかったアダムは
彼女を抱きしめ
優しく言った。
ア「当たり前だろ」
イ「…ふふ♪ありがとう♪」
昔から、
明るいのに時々不安げな彼女を
こうしてやるのが好きだった。
***********
体を拭きながら浴室を出て
自室に入る頃には、
時計は午前3時を指していた。
もう寝よう。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる