Maria

Maria*reverse Ⅰ

彼女の侍女

次の日、
てっきり
キリストが来るのかと思っていたら
来たのは一人の女だった。
長い金髪を垂らし、
よくわからないが下着姿のその女は
鋭い藍色の瞳を光らせ
こちらをじっと見つめ礼をした。

ア「…えっと……キリスト様は？」
　「キリスト様は大変忙しい身です。
　　海外の組織に大きな問題が起こり
　　急遽、イスラムの方へ。」
ア「はぁ……それは大変でしょうね」
　「貴方様ほど暇でもないですよ。」

ぐっ

トゲのある最後の一言を終えると
女はアダムの指した椅子に腰掛けた。

ア「………」
　「………」
ア「……ところで、
　　貴方の名は？」
　「………アフロディーテと申します。」
ア「アフロディーテ、
　　美の女神という意味ですね。」
ア「あくまでも仮名ですがね。」

どうやら彼女は
アダムをあまり好いていないらしい。
それは、
先程からの彼女の言葉の返しで読み取れる。

ア「今日はよく来て下さりました。
　　で、何か用ですか？」

すると、
アフロディーテはアダムをじっと見つめ
彼に言った。

ア「日記は読みましたか？」
ア「いえ、まだ…」
ア「読みなさい」
ア「え」
ア「今すぐ読みなさい。
　　マリア様の全てはそこに書かれています。
　　貴方が読み終わるまで、
　　私は貴方に付き合います。
　　読み終わったら……
　　渡すものがあります。」