上 下
12 / 59
第二章

初クエスト

しおりを挟む
第二章 中編

 私は依頼者が貼り付けてある掲示板を見ている。遠くから見るとただの紙切れに文字を書いた物を貼り付けてある、ただの木の板のように見えた物も近くで見ると案外暇つぶしになる。どうやら全てのクエストには【ランク付け】がされているようだ。下から

Eランク 
ペットを探す、家のゴミ掃除、子供達に冒険者とは何かを教える

Fランク
下級モンスターの討伐or捕獲、地図のマーキング

Gランク
下級モンスターの巣の駆除or捕獲、モンスターの解体、鉱山での魔石最終

Dランク
中級モンスターの討伐or捕獲、魔法研究の素材集め

Cランク
中級モンスターの巣の駆除or殲滅、貴族の護衛

Bランク
上級モンスターの討伐、素材を剥ぎ取る、魔法試薬の研究

Aランク
上級モンスターの巣の発見および部隊を編成、王族の護衛

中々の種類の多さだ。見ているだけで、日が暮れそうになる。だが高いランクになればなるほど、金が貰えるが死ぬ危険性が高くなる。私的にはランクが高くなるものにメリットが低いと感じるのだが、他の人間はきっとほとんどが高ランクと答えるのだろうな。【転生者】はぜっっったいに高ランクしか行かない。間違いない。

「ダルいし、犬の散歩の代理にしよう」

そう思い依頼者に手を伸ばそうとすると、後ろから「おい、お前新人か?」と声をかけらる。後ろを振り向くと3人組が立っていた。

「お前さっき、冒険者になったばっかりだろ?見てたぜ?」
と金髪の勇者被れのような男が聞いてくる。

その次に「返事しなさいよ!その口はなに?飾りなの?」といきなりあった相手に暴言よりの発言をする魔法使い。

最後に「きっと~二人が怖いんだって~ほら~君も笑って~せっかくのイケメンフェイスが台無し~」と人の顔に勝手に触ってくる聖職者

明らかに【噛ませ臭がする】3人組が私に話かけてきた。会話をするのも面倒臭い‥と無視を続けていると聖職者が「感じわる~ないわ~、あんた、それはないわ~」と私の肩を馴れ馴れしく触る。

「あの?一つお聞きしても宜しいでしょうか?」

そう言って私は話しかけて来た理由を3人に問いかける別に理由なんてどうでもいいただ何故話かけて来たのかが知りたいのだ。それを聞いた3人は私にある討伐書を見せる。

ランク G

スコルパイオンとゴブリンの巣を始末せよ
⚠︎ただし必ず4人以上パーティで   報酬は14万7600エルカ

という依頼者を私に見せてくる。殆どのGランクは9~10万程度の低賃金だ。これでは、命をかけるのも馬鹿らしいほどの値段である。しかしこれは、通常より高い値段で依頼されているようだ。そんな風に依頼者を見つめていると

「ね?これ一緒やんね?」と勇者気取りの男が切り出した。







         ※※※※※※※※※※※※※※


 「いいですよ?ただ私めちゃくちゃ弱いので"戦えませんが"」

と私がゆうと「そんなの知ってるてば!!」と魔法使いの女が笑う。
続けて馴れ馴れしい聖職者が話を続ける。

「君の~オルターなんか?てやつレアなんでしょ~それを知りたくて~誘っただけ?みたいな?」

なんだそんなことか、大体理解出来た。だから話しかけてきたのか、人間は【珍しい物】には目がないからな。

「だから、別にお前と組みたくて組むわけじゃねぇよ?誰がクソ雑魚ステータスの冒険者なんか組むかよ」と勇者気取りの男が吐き捨てる。

実に的を得ている。私もこんなステータスしているやつとは組まないというか避ける。これは自然な反応だ、それでも興味が勝ってしまう辺憐れだと感じる。損な性格をしているなぁ

「んで?お前の返答は?YES、それともNO?」と答えを急がせる。そんなの決まっている、答えは

「では、護衛してくださるのならYESで」この世界の冒険者の戦闘がどれほどのものか見てみたい。

その後は流れに任せて「うん、うん」と頷いているだけだった、その後はそのまま解散した。私は帰り覚えている内容だけをメモに残した。

『勇者崩れ名前 カウテラ、生意気な魔法使い コーリー
馴れ馴れしい聖職者 アディ 明日の集合時間8時、遅れたら賞金から天引き』

私はこのメモを取って【黒猫】の姿に変身し、体を丸め眠りにつく。別に寝る必要はないのだが今から約束の時間まで起きているのは面倒臭い。

朝目が覚めると白い鳥達が私の前で首を左右に動かしながら、私を【観察】していた。どうやらあの【女神】の差金らしい私は影から触手を伸ばし一匹の白い鳥を丸呑みにした。


鳥独特の生臭さは気になるが胸肉はかなり分厚く食べ応えがあり、もも肉はしっかりと脂が付いている。いまの今まで生きていたので、肉がブルブルと痙攣する。それを噛み砕くたびに【鳥がいま生き絶えた】感覚を体で感じる。あぁ‥久しぶりに肉を食べた満足だ。

━━━━━━━━━━━周りには喰われたであろう白い鳥の羽と少し赤みがかった羽がふわりと飛んでいた。







           ※※※※※※※※※※※
 
 待ち合わせ場所に行くとまだ誰も来ていなかった。私は時計を確認する。現在の時刻は7時52分だ、食後の余韻に浸っていたらこんな時間になっていた。さて、彼らは来るのだろうか?そんなことを考えていたら
「あーーーーー!」と朝から鼓膜が破れると思うほどの声量でボーとしていた、頭が覚醒する。声の方に顔を向けるとそこにいたのは

「お、お前昨日の!!やべーにぃちゃんじゃねぇか!!」

あ~見たことあるぅ、クソガキ様が走って近寄ってきたと思ったら質問攻めをする。

「なぁなあ、何でここにいるんだ?、眠れなかったのか?どんなジョブになったんだ?、クエスト受けたか?あ、あと昨日は悪かった!!でもお前も俺を蹴飛ばしたからおあいこな!」

‥本当に五月蝿い、すぐにでもその口を塞ぎたいだがここは我慢だ。何故なら【私は、大人】だからそんな風に自分の殺意を抑え、フゥの質問に一つ一つ答えていると

「お、はえーじゃん」「ちゃーんと分かってるじゃない」「みんな~おはっよ~」

と3人が8時30分にやってきた。まあ来たのでよしとしましょうかね‥ではこのクソガキ様とはここでお別れ「あ、俺も一緒にいくぞ!!昨日誘ってくれたんだ!」‥はぁ長い1日なりそうだ。

馬車に乗ること3時間あの後もクソガキ様は私に大量の質問したあと、答えを全て聞かずに疲れたのか私の腕を枕代わりにして眠っている。それを見てアディは「可愛いい~萌ー」と言って喜んでいる。

「まーたアディが意味わからない造語作ってる‥」と呆れるカウテラそれに「いいじゃん可愛いんだから!!」と言って喧嘩しているのをよそに魔導書を読み込んでいるコーリー。そんなことをよそに私の指にかぶりつくクソガキ様。冒険者とはこんなにも面倒くさいものなのか。

「ねぇ、あんた?」とコーリーが私に声をかけてくる。私はそれに対して「なんですか?」と答える。

「スコルパイオンて分かるわよね?」

どうやら今回討伐するモンスターについて知っているか聞きたかったらしいそんなもの知らない。

「さあ?でっかい昆虫ですかね?」

「あんた‥まじ?いや誘ったの私らだから文句なんかないけどさ‥せめて討伐するモンスターくらい調べなさいよ」

おや手厳しい、モンスターに興味がないから犬の散歩を引き受けようとしていたのにそちらが無理矢理連れて来たのではないでしょか?と言いそうになったが【命を賭ける戦いで確かに知らない】はおかしのでしょうね。

「申し訳ございません。私はそう言ったことに気が回らないので。」そう答えるとコーリーは「ん!」と言って私に本を渡す。それは【手書きで作られた魔物図鑑】だった。

その魔物図鑑はとても分かりやすくまとめられており、まるで子供に教えるために作ったような‥

「コーちゃんはね~まーじで!子供が好きなの!本当は保育士になりたかったんだけど~ほら!コーちゃんてさ?顔むっちゃ怖いじゃん?だから」と言ってきたアディをポカポカと殴る。

「い、いうなて言ったでしょ?!馬鹿、アホ!ヘンテコ造語製造機~」そんなことを言いながら、喧嘩をする二人を見てカウテラはフッと笑う。

何がおかしいのでしょうか?君だけキャラが薄すぎて水に浮きますよ?



            




            ※※※※※※※※※※※※

 目的の場所につく、ここからでも血生臭さが分かる。『‥これ本当にGランクでいいのでしょうか?』そんな風に考えているとカウテラが松明に炎つける

「炎よ小さき枝に止り我らの行く道を照らさん」

そうゆうと炎がまるで生き物のように枝に止まると、周りを照らし始める。それを確認したカウテラは「よし、行くぞ」と言って先頭を歩き始める。その後からアディ、フゥ、コーリー、私の順番ですすんでいく。

洞窟は小さな音でさえ何重にも広がり、敵に場所を教えているかのようにも錯覚するほど静かだった。コツコツと歩くたびになる足音にも周りから緊張が伝わるほどです。

「っ!し!静かに」そうカウテラが呟くとゴブリンがスコルパイオンと呼ばれる虫で遊んでいる所を確認出来る。胴体を引きちぎり、体内の臓物を両手いっぱいに持ちながら、子供が砂場遊びをするような感覚で遊んでいたり、小さなゴブリン達が虫を生きたまま解体し遊んでいる。

「‥なんつぅ場所だよ」「キモすぎて吐きそう」「これまじでやばくない?」

と3人から焦りが見え始める。逆にフゥは「素材があんなにぃ」と目を輝かせている。‥あれ?この娘もしかして?

カウテラが私達に後ろに下がれとジェスチャーを出す。それに頷く2人と不服そうに頷く子供と、それに合わせるように頷く私。そのままカウテラが後退しようとした時、

《ギリリリリリリリ》

と一匹の死んだかと思っていた虫の声が洞窟中に響きそれに驚いたコーリーが小さく「きゃ!」と声を上げてしまった。すると同時にゴブリン達が我々を一斉にに見る。あーこれは‥

今にも飛び出しそうな眼球をぐるりと回しこちらに気がついた。口からはぼたぼたと涎を垂らしながら、小さな棍棒を持って緑色をした化物達が一斉に飛びかかる!

「「逃げろぉぉぉぉお!!!!!」」その言葉と共に私達も出口へ向かう。隣を見ると今にも泣き出しそうなアディと涙をポロポロ流しながら小さく「ごめないぃ!ごめんないぃ!」と泣きじゃくるコーリー。そして私の隣には「素材が!!素材が!!!」と言って目をぎらつかせているフゥそして先頭には誰よりも先に逃げようとするカウテラ

入口の光が見えて来た、「出口だ!!」そう言っていままでよりも早く走ったカウテラは








━━━━━━━━━上半身が綺麗に飛んだ



地面にたっているのは体の上半分と分たれた、下半身。吹き飛んだであろう場所からは大腸が風に揺れてカウテラだった下半身の周りに血液で小さな円を書いている。

そんな光景を見たら【正常な人間】ならば「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ」」と泣き叫ぶのが"普通"だろう












            ※※※※※※※※※※※※※


 「あ、ァァァァっぁ」
「うそ?うそでしょねぇ!嘘だよねぇ!!」

と発狂する二人それもそうだろう、今まで親しくしていた友人がいきなり、上半身と下半身をさよならした挙句、目の前にはその"友人"だったものの上半身は美味しそうに食べている。大きなゴブリンがいるのだから。

後ろからは小さなゴブリンとスコルパイオンが迫って来ている。さてここから、どうなるのやら‥と横に目を配ると【発狂していない】フゥがいた。あ、やっぱりこの娘は【正常な反応】が取れないのだ。普通ならこんな状況で12歳程度の娘が堂々とナイフ片手に「素材!素材!そざいぃぃぃぃいい!!」となる筈がない。すると私の目の前を真っ赤な光の球が飛んでいったと思えば、後ろのゴブリンとスコルパイオン達を燃やしている人物がいる。それは、

「‥す‥殺す殺すコロスコロスコロス!全部まとめて燃やしてやるぅぅぅぅ!!!」

狂って殺人衝動にでも目覚めたのか?そこには馬車で見せた年頃の少女の愛らしさ等どこにもない、コーリーがいた。唇を強く噛み締めすぎたのか、切れており血が顎にまで垂れている。
だか数が多すぎるのだろう、数が全く減らない。

私は出口に注目する"さっきから巨大なゴブリンが動いていないのだ"それもその筈、出口を塞ぐように座りまるで見せ物でも見ているかのように"喜んでいる"のだ。獣ほどの知性しかないと馬鹿にしていたが、案外【娯楽】を分かっているのかもしれない

そんな中コーリーの魔力が尽きたのか、もう火の玉は出なくなっており泣きながら「ででよぉ‥お、お願いぃぃぃ、お願いだからァァァァ」と苦しげな声を上げる。‥アディは何をしているのだろうか?と見るとうずくまりながら「こんなの嫌、惨めに死ぬのはいや、せっかく、せっかく転生したのに」と頭を抱え唸っている。

やっぱり【転生者】か、まるで現代の若者が使っていそうな【造語】を使っている辺りからおかしいと思っていたが‥じゃあこいつは放っておいても死なないな。

「あんた達も戦いなさいよぉぉぉ!!!」そう言ってコーリーが私達に怒鳴りつける。それを見て《ガハハハっハ》と先程食べていた【肉塊】がまだ口の中に残っていたのだろうその【食べ粕】を飛ばす。ぼとぼと落ちてくるそれは、ミンチした牛肉に近い色をしている。コーリーの頭の上に"人だった"目玉が落ちてくる。それを見て精神が悲鳴を上げたのか、その場に倒れてしまう。

「降伏です~白旗をあげます。殺すなり犯すなりお好きにどうぞ~」

と私は白旗を上げる。だって?戦闘なんて出来ませんもん

私とフゥは虫の腸で作られた手錠をつけられて簡素な檻の中に入れられる。後の二人はゴブリン達が運んで行く。アディだけは「嫌だぁぁぁあ!はな、離せよ!!!こんの!!」といって抵抗したが頭を壁に叩きつけられ沈黙する。

フゥを見るとジッとなにかを見ている。私はフゥに話かけてみた

「フゥはさっき戦いませんでしたね?どうしてですか?私みたいな雑魚ではないでしょうに?」
すると先程までの狂ったようなフゥの顔はどこにもなく今朝からいたクソガキ様に戻った。

「勝てるわけねーじゃん?ウチら4人だぜ?にぃちゃん」

しれっと私を数に入れてないあたり、出来た子だ認識する。そんな中フゥは自分のポケットの中に手を突っ込み何かを探す。すると足元からコロコロと小さな芽の生えた白いボールが2つ転がり落ちた。

これは?そうフゥに尋ねると「俺様特製!!ワンニャン爆弾!!」と言って見せびらかしてくる要するには爆弾だ。威力はどのくらいか知らないがないよりましだ。

「フゥ、一人で逃げなさい。君は聡い子だ一人でなら逃げられるだろう?」と私がいうとフゥは「はぁ?」と言って私の頭に爆弾を投げつけた。ゴテと鈍い音がする。

「俺はにいちゃんと逃げたいんだよ!!」

そう言ってわんなんとか爆弾を私の手に握らせる。
フゥはそれをしっかりと持った私の手を見て「ニッ」と笑い。

「ここからが!楽しい楽しい【素材狩りだ!!】」と言って爆弾に火をつけ檻の外に投げつけた。

しおりを挟む

処理中です...