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断章

理想の"自分"に

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断章  ⚠︎男の罪を読んでいると分かる内容となっております。









 冒険者をしていて、感じたのは【自分の考えていた理想】とは全く違うものになっていた事だ。俺は"賢者"になるのが夢だった。でも冒険者ギルドで俺は適正ではないと診断された。でも、それでも子どもの頃の夢を諦めるなんて、出来なかった!だから俺はこの"夢"を無理矢理貫いた。‥結果は俺の予想以上に最悪となった。俺はもう‥胸を張って冒険者とは名乗れないほど弱くなっていた。

 そんな俺を仲間達は見捨てなかった、むしろ
"暖かく迎え入れてくれた"
泣きそうだった足手纏い確定の俺をまだ"仲間"だと言ってくれる。他のチームだったら捨てられているのに‥そんな俺は皆んなと一緒に強くなると決めたのだ。






















━━━━━━━無理だった、強くなどなれなかった

むしろ、チームに対する嫉妬心だけが積もっていく。

アルスは俺の幼馴染だ。そんな彼はチームで一番強くどんな絶望的な状況もひっくり返してくれる。剣技や魔法の"才能"もあり、俺には絶対に届かない世界にいた。俺のレベルアップのために練習に付き合ってくれることもあったが、才能を見せつけられているようで不愉快だった。その才能が妬ましい。

レグはチームのまとめ役だった。正義感で突っ走りやすいアルスをよく止めてくれた。彼には"力"があった。様々な武闘大会で優勝と準優勝を常に勝ち取る力があった。ミーニャが好きだと話す彼に絶対に失敗するアドバイスをしたのに、それをチャンスに変える力がある。その力が羨ましい。

ミーニャはチームの柱だった。貴重な回復魔法と女神に愛されていた。彼女は"努力家"だった。チームに迷惑をかけたくないと沢山練習し必ず魔法を習得してしまう。洞窟に閉じ込められた際、彼女の頑張りで俺は助かった。でも、俺の努力は報われない

ロータスはチームの頭脳だった。的確に相手の弱点を見抜き仕留める。彼は"天才"だった。一人で上級クエストを受けてすぐに帰ってくる。たまに俺にくっついたり、後ろについてきたり、俺より身長が高いのに抱きついてきたり、としていたが誰よりも賢かった。
その知能が欲しい

だからあの魔導書を手に入れた時は最高だった!やっと足手纏いから卒業出来ると思ったのに‥アルスに止められる。なんで?どうして?やっと【皆んなと足並みを揃えることが出来るのに】

あ、そっか━━━━━━━━━俺は弱いままの方が都合がいいのか

そんな風に考えた彼は自分の"理想のため"仲間に暗示をかけ、殺害し魔導書の力を借りて強くなりました。



















 
 
アルスは彼の才能を知っていた。いつも『自分には才能なんて無い』と言っているがそんなことはない。"夢を追いかけることは才能だ"、何故なら自分は夢を諦めたから。だけど彼は夢を追いかけ続けた、だから【叶えてあげたかった】どんなに挫折しても、苦しい思いをしても諦めなかった彼の夢をそばで応援したいと思ったのだ。それが綺麗事だと言われても、彼はきっと夢を追いかけている友人の足が止まるまで寄り添い続けるのだ。

レグは彼の力を知っていた。いつも、チームの力になろうと全力で戦う姿は自分達に力をくれる。悩んでいる時も必ず『力になると』言ってくれる。そんな彼にだから自分の悩みを打ち明けた。その悩みに全力で取り組む彼の姿を見て、自分も頑張らなければという力が湧いてくる。【必ず誰かの力になれる】素晴らしい仲間だと思っている。

ミーニャは彼の努力を知っている。夜中皆が寝静まった時、一人で練習しているのをミーニャだけは知っていた。だから彼が戦いで新たな力を使った時は誰よりも喜んだ。ある日ダンジョンに閉じ込められた時『ミーニャだけは助ける』そう言って自分の手の爪が剥がれていることにも気づかず、自分を助けてくれようとする彼の努力に惹かれていった。【彼の努力を支える存在】になりたい。しかしミーニャはこの気持ちを抑えた。何故なら彼が自分達に嫉妬しているのに気づいていたから。

ロータスは彼の突飛な発想が好きだった。自分は最適解だけを見出し行動するため、少しでも予想外の動きをされることにめっぽう弱い。【しかし彼の出す突飛な発想は色んな動き対応している】そこに憧れた。ロータスは彼を一人の"男性として愛している"この恋心がおかしいものだとは理解はしている。何故なら自分も男だからだ。他人から見ればきっと良くは思われないし、からかわれるかもしれない。それでもロータスは彼を愛していたのだ。報われないとしても


もし、これを今の彼が知ったらどんな反応をするのだろうか?



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