アオゾラノムコウ

嘘月

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気まずくなったバレンタイン

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千聖(おいおい…待てよ…)

愛花(嘘でしょ…?!)


「おーい!千聖ー!愛花ー!」

そう、噂をすれば…ってやつだ。

あの輝く笑顔でこちらに
走ってきたのは
正真正銘の花鈴だった。

(あ、あれ…これって 
       来ちゃ駄目な雰囲気ー?)

「あ、えっと…なんか…
ご、ごめんね」

「別に。」と千聖。

「うん…全然いいよ。」
それに続き、愛花もだ。

「も、もしかして…愛花、
告白…とかしてた…?…よね!
ごめんね~お邪魔だから…
帰るね…」

「告白なんて…してないよっ…」
愛花に手を引っ張られた。

(じゃあなんでこんな気まずい雰囲気なのよ!?)

「へ、へー…でも気まずいからやっぱ帰るよ~…」

「愛花、あれは告白だろ?」

「そー言えばそうだけど…仕方ないじゃん…千聖…応援してくれるよね…?」

「今…かよ…。
まーいいや。がんばれよ愛花」

(…は?!どゆこと?!意味わかんないよー!!)

「え、えっと~…
帰っちゃ…だ…め…なのかな?」

千聖が頷く。

(え?!なんで千聖が
頷くんだ?!)

「花鈴ちゃん!!」

「ま、愛花…?」

「私…実は……」

(え?待ってよ普通千聖の方向いて言うよね?なんでこっち向いてんの愛花…)

「………が好きです」

「…え?」







「花鈴ちゃんが……す…きです…」













(………。)

「え…?」

「……」

「……」

(え?!二人とも沈黙?なにかドッキリかなにかだよね?ねえ、何か言ってよ千聖!愛花!何か言ってよ!!ねえ!!!)

花鈴「え…えーっと…」

千聖「……」

愛花「……」

花鈴「…ごめん…。」

愛花「!!」

千聖「…まなk」
俺が言い終わる前に愛花は
言い訳をした。

愛花「…びっくりしたー?
バレンタインドッキリだよー!
…千聖協力してくれてありがとう!!…あはは…」

「愛花…?そんなに…嬉しかった……の…?」

愛花の目からは大粒の涙が零れ落ちていた。

「あ、あれー?おっかしーな…最近なんか…涙もろいんだよね~…あはは…っ…」

「まな…か…っ」
俺は我慢出来なかった。
座り込む愛花を抱きしめた。

(愛花…これ以上無理すんなよ!!愛花の思いは花鈴にしっかり届いてないからもっとさらけ出して花鈴に伝わるように愛花の愛を…!!)

(分かってる…!
でも…花鈴ちゃんには…どーやっても届かないよ……。ありがとう千聖…叶わないって分かってても…応援してくれて…ありがとう…)

「愛花…大丈夫…?
貧血…?」

花鈴が座り込んで
愛花の顔をのぞく。

「…っ…」

愛花は頬を少し赤らめて

「…熱が出てきたみたい」

と涙をこらえながら笑顔で答えた。
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