THE IMMORTAL ~転生したら不死身になった~

ヘタノヨコズキ

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【第一章】

【第3話】Sな女神様による、教官ごっこ

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 突然だけど、チュートリアルには個人指導という意味もあるらしい。
 如何やら女神様が言ってたチュートリアルってのはそっちの意味だったみたいだ。
 敢えて、勘違いする様に言ったのかどうかは本人にしかわからないだろうけど。

 彼此かれこれ訓練を始めてから五十時間以上が経っていた。
 最初の五時間は、刀に付いているスキル『質量変化』を使って、翠が全力で振れるギリギリの重さにして、只管ひたすら振らされていた。





「あ~~もう!何で疲れないんだよ!」

 刀を振り始めてから二時間。幾ら体が疲れないとはいえ、頭も疲れないからずっと集中できるとはいえ、流石にキツイものがある。

「文句を言っている暇があったら一回でも多く振れ! 戦場での教訓は?!」

「敵! 即! 殺!」

「そうだ! その一振りが生死を左右すると思え!」

 それに鬼教官と化した女神様がずっと見張って、叱責してくるのだ。そりゃ弱音でも文句でも吐きたくなるわ。
 前世のとある業界ではご褒美らしいけど一一生憎あいにく俺はMじゃないのでね。
 まあでも、女神様が言っている事には共感できる気がしないでもない。
 俺は死なないが一一此処は日本の様に平和ではないのだ。
 SSSランクの魔物を倒せる様になるのは……過剰だとは思うが、力を着けておくことは悪い事ではない。
 力を乱用しない様に理性の枷を付けておく必要もあるが。
 折角の第二の人生だ。守ると誓ったものは守れる位には強くなりたい一一

 物凄く真面目な事を考えている翠だが、実際は只の現実逃避であった。





 更に3時間。
 翠は現実逃避のネタが尽きたのでひたすら無心に刀を振り続けた。

「……」

 一一ヒュッ

「む。今のは良かったぞ!あと100回!」

「はい! 教官殿!」

 翠は、ビシッと敬礼を取る。
 翠は既に思考を停止していたので、このやり取りにも疑問を感じなくなっていた。
 だが、女神が教官に成り切っているので教官殿と呼んでそれらしい事をすれば機嫌が良くなる。
 女神も女神長と同じでチョロかった。





「振り終わりました! 教官殿!」

「良し! 振り切ったご褒美だ! 何かしたい特訓はあるか?!」

(1対9の割合の飴と鞭の、飴の方が出た! 特訓だけれども!)

「やれるのならば居合斬りができる様にしたいであります!」

 普通ならば此処で魔法と言うだろう。
 だが、翠は只管ひたすら刀を振り続けていた。何か途中から楽しくなってきていたのである。
 であるからして、翠の思考が導き出したのが居合斬りなのであった。

「許可しよう! 手始めに自分で試してみるがいい!」

「はい! では……」

 翠は前世での記憶をフル活用して、居合斬りの仕方を思い出す。

 妹は中学校の頃、結構本格的な剣道道場に通っていて、才能を認められた妹はたまに真剣で居合斬りの練習をしていた。
 そして、翠もそれの見学に行きその練習に参加していた一一







「やぁっ!」

一一バサッ

 居合斬りを放った翠の妹一一八神葵やがみあおいは三つの藁を一閃に切り落とす。

「うむ、この歳でこれだけとは。恐ろしい才能だ。そうは思わんか、翠一一」

 この剣道道場の師範、狩屋玄三かりやげんぞうは葵の才能に感服し、翠に同意を求める一一が、

「……クー、クー」

 翠は胡座あぐらをかいて、寝息を立てて寝ていた。

「一一よ? ……寝るな!」

 玄三は翠に拳骨を喰らわす。

「がっ!?」

「葵が頑張っているというのに、何で貴様は寝とるのだ?! あ"ぁ"?」

いったぁ!? ……睡魔が真剣持って襲ってきまして」

「何を言っとるのだ貴様は?」

 一一相変わらずジョークが通じねえなこのおっさん一一と翠は心の中で悪態をついてから、立ち上がって葵に腰を折る。

「ごめん、葵」

「可愛い妹が頑張ってる時に寝てたクズ野郎に言われても許さない」

「ごふっ!? ……心が痛い」

 翠の心に100のダメージ!

「黙れ屑」

「げふっ!? ……ごめんなさい……」

 屑野郎から屑に格下げされたことで、更に200のダメージ!

「誠意は現金ゲンナマで示せ」

「うぅ……千円で」

「後で渡せ」

「はい……」

(葵も相変わらず毒舌で現金だな……)





「……翠よ」

 何処か呆れた様な声で玄三が翠に声をかける。

「ん? 何ですか?」

 翠は聞き返して、玄三が向いている方向を見る。

「先輩……」

 一一翠の後輩一一月野美夜つきのみやは塀の上からヒョッコリと顔を出して、ウットリとした表情で翠を見ている。

「……あ~~」

「誰だあの子は? お前のことをウットリとした目で見とるぞ? 黒魔術でもかけたのか?」

「何でだよ……(自殺を引き止めただけですよ)」

 翠は、美夜に聞こえないようにボソボソと言う。

「ふんふん、そうか。可哀想に……心に余裕が無くて騙されたのだな……」

「可哀想……」

「いや、違うから! て言うか葵、事情知ってるだろ?!」

「押し倒してから、自分の家に連れ込んだ……」

「翠……其処まで腐っていたとは……」

 玄三は腰に差していた刀を抜く。

「誤解だ! 確かに合ってるけど違う! だからその真剣を仕舞え!」

「むぅ……流石のお前でも其処まではしないだろうな」

 玄三は渋々と言った様子で刀を仕舞う。

「ふぅ……月野! こっち来いよ!」

 翠は、手を振り美夜を呼ぶ。

「はーいっ!」

 美夜は塀を乗り越えて、翠に抱きつきに走る。

「へぶっ!?」

 だが、寸前のところで翠に避けられ、木の床にヘッドスライディングしてしまった。

「あぁっ!? ごめん月野!」

「先輩……何で……」

 美夜は避けられたことに涙目になっている。

「ごめん! 何か……殺気がして……」

(あの殺気は何だったんだ…… 背筋が一瞬で凍る様な……)

「……」





 美夜はさっきのお詫びにと、翠に名前で呼ぶことを要求した。
 ついでとばかりに、翠の首元に手を回して抱きついている。
 翠は、背中にある感触で顔が赤くなっていた。

(それにしても……この五日ですっかり明るくなったな。
 いつの間にか虐めグループを一蹴して、その後に来た告白の嵐も「翠先輩が好きなので!」って言って一蹴したって噂だし……マジでどうするかな……)

 後、色々危ないよなこの子……引き止めた次の日から俺の教室に来るわ、俺の家に毎日泊まりに来て同棲みたいな事になってるわ……後、色んなところに突撃してきたり……と、心の中で付け足して翠は葵の方を見る。

 さっきの殺気は、葵が出してたみたいだ。
 アレか? お前みたいな屑にはその子は勿体無い。だから離れろ的な?

「……」

 葵は静かに翠の方を睨んでいる。

「……」

 翠は美夜の腕を優しく振りほどいてから立ち上がる。

「玄三さん! 刀!」

「はいよ」

 玄三は翠に刀を手渡す。

「良し、じゃあやるか」

 翠は玄三が用意していた藁の前に行く。
 そして腰を大きく落とし、体を捻り力を溜めてから腰の刀に手をかける一一







「はぁっ!!」

一一ヒュッ!

 溜めた力を一気に解放し、翠は文字通り空気を切る。

 何か思い出さなくても良い事まで思い出したな。
 彼奴あいつらどうしてるんだろ。
 凄く心配だ。主に月野が。

「むぅ、なかなか良いではないか。良し! 後一万回!」

「ふぁっ!?」

 翠の精神こころに平穏は訪れない。





 そして場面は冒頭に戻る。

「終わり……ま、し、た」

「後16回残っているぞ」

「げ~~」

 翠は、まだしなければならないのかと、項垂うなだれる。

「これが終わったら遂に魔法だ! 早くしろ!」

「はい!」

 翠は一瞬で姿勢を正して返事する。

(遂に魔法か~ どんなものなんだろうか? 俺、気になります)





「さて、貴様には魔法を覚えてもらう!」

「はい! 教官殿!」

 すっかり元気を取り戻した翠、その体は最初と比べて中々に逞しくなっている。
 傷は一瞬で治るので、筋肉や細胞が傷つくたび、一瞬でさらに強靭になるのだ。
 その上、ずっと全力で刀を振っている。
 そりゃ筋肉も付くわな……と、翠は思う。

「貴様が最初に覚える魔法は……」

 勿体振る女神に、翠は待ちきれず聞き返す。

「魔法は?」

「ズバリ! 身体強化だ!」

 女神はビシッと指を指す。

「無難ですね?!」

「当たり前だろう。先ずは魔力の使い方を覚えてもらわなければいけないからな」

「と言うと?」

「全身に力を入れてみろ」

「はい、こうですか?!」

 翠は仁王立ちになり、言われた通り全身に力を入れる。

「そうだ! 私が良いというまでずっとそうしていろ!」

「マジ!?」

 (精神的に)地獄の修行は未だ未だ続く。





一一バシッ!

「痛い! 痛くないけど、精神的に痛い!」

 女神様が何処かから取り出してきた木の板で俺の肩を叩く。
 いや、座禅じゃねえんだからさ。

「黙れ! 貴様は其れでもウジ虫か?! もう貴様はゴミ虫だ!」

 ついでに言葉責めも取り入れてきた。
 心が痛いぜ。
 もう、30時間以上は経っているんじゃないだろうか。キツイ。動いていないのが辛い。
 途中から力が溢れてくるのが分かってきていたから、早く試したいのだが……





 更に20時間一一

「良し! そこら辺で良いだろう。そのまま走るが良い!」

「は…い…教官殿…って速っ!? 速ぁっ!」

 翠は走り出すと同時に、その速さに驚く。
 木にぶつかりそうになったが、反射神経も強化されているらしく……避けれた。

(マジかよ!?)

「うむ、真面目にやっていたようだな。魔法は、誰でも最初はちょびっとしか使えない。
 だが、使うにつれ出力が上がっていくのだ!」

「わ~か~り~ま~し~た~!」

 大分離れてしまっているが、ハッキリと聞こえる。聴覚も強化されているのだろうか。

「貴様の場合、魔力を無駄遣いしても良いから、全て強化しているが……普通は部分強化なのだぞ」

「そ~う~な~ん~で~す~か~!」

「戻ってこい」

 森の中を走っていた、翠の目に映っていた景色が一瞬で変わる。
 翠は、一瞬で女神の目の前に移動していた。

「ふぁっ!? な、何今の?!」

「転移、空間魔法の一種だ」

「何それ!? 小生しょうせいはそれを覚えたいであります!」

「貴様テンションおかしくなってるぞ!?」

「……ふぅ。深夜テンションになってた」

「何だそれは……兎も角、次は実践だ。貴様には魔物と戦って貰う」

「……大丈夫なんですか?」

「何がだ?」

「いや、まだ素振りしたのと、身体強化の魔法を覚えただけなんですけど……」

「安心しろ! 最終、ボコられた後、因果応報のスキル使えば良いから!」

 女神は、ウインクしてサムズアップする。

「え~~!?」

 いや、それダメじゃん。



================================

 すいません! 遅れました!

 言い訳をすると……案の検討……帰ってきたら直ぐに寝た……他の小説を読んでた……の三つです。
 言い逃れのしようがありませんね。ハイ。
 頑張ります。
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