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狂女と聖女
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カタリーナが召喚した悪魔の姿は全身が赤茶色で、目は黄色く光っていた。そして、頭には角が生え口からは牙が飛び出しており背中には翼が生えいて空を浮遊していたのである。
「どう? 私の呼び出した悪魔は?」
彼女は勝ち誇った様子でそう聞くと、カサンドラはその悪魔を見て答えたのだった。
「中々、面白い悪魔ね……」
カタリーナはカサンドラの言葉を聞いて、苛立った表情を浮かべて叫んだのだ。
「余裕ぶっているのも今の内よ!」
彼女はそう言うと、悪魔に命令したのである。
「殺して!!」
すると、悪魔はその命令を聞くとカサンドラに向かって突進したのだ。悪魔はその鋭い爪を振りかざしながら彼女に襲い掛かったのである。
「くっ!」
カサンドラはその悪魔の攻撃を躱しながら、呪文を唱えたのだった。
「天界の神の使いである天使よ! 我の求めに応じて邪悪なる悪魔を滅し給え!」
すると、彼女の頭上に光の塊が出現しその中から天使が姿を現したのだった。天使の姿は白い翼に白い衣を纏い、右手に剣を持ち左手に盾を持っていたのである。
その顔は芒洋とした表情をしており無表情であった。狂人が悪魔を召喚し、元聖職者が天使を召喚していたのだ。
「悪魔を倒しなさい!!」
カサンドラは天使に命令すると、天使は悪魔に向かって剣を振りかざしたのだ。だが、その攻撃は躱されて悪魔はその鋭い爪で天使を攻撃したのである。
しかし、天使も素早い動きで悪魔の攻撃を躱していたのだ。そして、両者は激しい攻防を繰り広げていたのである。
「やるね~!」
カタリーナは悪魔と天使の戦いを見てそう呟いたのだ。すると、彼女は何かを思い出した様子であった。そして、笑みを浮かべながら口を開いたのである。
「修道女の貴女が魔女として復活しても天使を召喚するのは未だにエルミス教への信仰に対して未練が断ち切れないのね……」
彼女はそう言うと、天使と悪魔の戦いを見ながらさらに言葉を発したのだ。
「でも、今の貴女の信仰心はどれ程なのかな~?」
「私が魔女として復活したのも神の試練なのよ! 私の信仰心は揺るがないわ!!」
カサンドラがそう言うと、カタリーナは苛立った表情を浮かべて叫んだのである。
「私を狂人として告発し魔女裁判で拷問した挙句、処刑したエルミス教の神なんて偽物の神よ!」
カタリーナはそう言うと、エルミス教への悪態をつき侮蔑したのだ。そして、彼女はさらに続けたのである。
「私を魔女として復活させたのはエルミス教の神なんかじゃない!! 人智を超えた神の如き存在よ!!」
彼女はそう言うと、恍惚の表情を浮かべていた。それを見たカサンドラは冷静に口を開いたのである。
「狂人として魔女に成り果てた貴女が神を語るなんて……笑止千万!」
カタリーナはカサンドラの言葉を聞くと、怒りで体を震わせていた。
「お前は本当の神を知らないくせに! 私は幼少の頃から神の如き存在から語り掛けられていたの! いつか、この世界を作り変えると!!」
カタリーナはそう言うと、興奮した様子で叫び続けたのである。
「私は選ばれた人間なの! 本物の神から神託を受けたのよ!」
それを聞いたカサンドラは眉を顰めて彼女に尋ねたのだ。
「神から神託……?」
カタリーナはカサンドラが発した言葉に頷くと、狂気に満ちた笑みを浮かべて答えたのである。
「そうよ! 私に語り掛けていたのは、宗教の神ではなく本物の神なのよ!!」
彼女のその言葉にカサンドラは更に怪訝そうな表情を浮かべた。そして、彼女はカタリーナに質問したのである。
「狂人の戯言? 貴女は本当に神の声を聞いたの……?」
そのカサンドラの言葉を聞いて、カタリーナは目を見開き狂気に満ちた笑みを浮かべていたのである。
「愚問ね! 神は私に語り掛けていたわ!」
彼女はそう言うと、目を爛々と輝かせながら言葉を続けた。
「私を魔女として復活させたのも、その神よ!! 貴女も、その神から復活させられたのよ!!」
カタリーナがそう言うと、カサンドラは眉間に皺を寄せて彼女に質問したのだ。
「神から復活させられた? 私が?」
彼女は頷くと、興奮しながら答えたのである。
「そうよ! 貴女も私と同じ様に真の神が作り出した魔女よ!」
そんなカタリーナの言葉を聞いて、カサンドラは少し混乱していた。
「神が作り出した魔女? 私も……?」
彼女はカサンドラが困惑している様子を見て、笑い出したのである。その笑い声は次第に大きくなっていき狂人のような笑い声に変わっていったのだ。
そして、嘲笑いながら言葉を続けたのだった。
「うふふっ! あははははははははっ!! 貴女も、もうすぐ分かるわ!!」
カタリーナの笑い声は次第に大きくなっていき狂人のような笑い声に変わっていったのだ。
そんな中、空中で召喚された悪魔と天使は激しい戦いを繰り広げていた。
悪魔の鋭い爪と天使の光の盾が激しくぶつかり合い、火花が飛び散っていたのである。
やがて、天使は悪魔の心臓に向けて剣で突き刺し悪魔は長くて鋭い爪で天使の首を掻っ切っていたのだ。
両者とも相打ちになった様である。どちらも力尽きると消滅していたのだ。
その様子を見ていたカタリーナは興奮して叫んだのである。
「あぁ! 勝負がつかなかったな~!!」
彼女はそう言って、嬉しそうに微笑んだのだ。そして、彼女はカサンドラに視線を向けて口を開いた。
「ねぇ……貴女もそろそろ本気を出しなさいよ……」
カタリーナがそう言うと、カサンドラも頷きながら言葉を返したのである。
「そうね……、貴女の言う通り本気を出しましょう……」
カサンドラはそう言って、彼女に問い掛けたのである。
「貴女は、その神を信じているのかしら?」
カタリーナはカサンドラの質問に対して、ニヤリと笑って答えたのだった。
「えぇ……、私は語り掛けた神を信じるわ」
それを聞いたカサンドラは笑みを浮かべていたのである。
「なら、その神の信仰を打ち砕いてあげるわ!」
彼女はカサンドラの言葉を聞いて苛立った表情を浮かべていた。そして、彼女は叫んだのである。
「うるさい!! なら、お前の本気を見せろ――!!」
カタリーナのその叫び声が合図になったのか、彼女は詠唱を始めたのだ。
「異界の深淵に住まう地獄の獣よ……召喚に応じ我が命に従え!!」
彼女が詠唱を始めると、彼女の前に円状の暗黒の空間が現われたのだった。そして、闇の中から異形の姿をした魔獣が現れたのだ。
その魔獣は首が双頭になっている黒い巨大な犬であるが、尾が蛇になっており口からは鋭い牙が剥き出しになっていた。それは神話上の魔物オルトロスであったのだ。
そして、その獰猛な双頭犬の目は赤く光り涎を垂らしながらカタリーナの命令を待っていたのである。
「さぁ! あの修道女を食い殺しなさい!!」
カタリーナが魔獣に命令すると、その魔物はカサンドラに向かって襲い掛かった。そして、鋭い牙で彼女の体を噛み千切ろうと飛び掛かったのである。
そんな状況の中でもカサンドラは冷静に呪文を唱えていたのだった。
「天界から追放された堕天使よ! 我が命に応じて地獄の魔物と戦い破り給え!!」
カサンドラが呪文を唱えると、彼女の頭上に灰色の塊が出現しその中から堕天使が姿を現したのである。
そして、その天使の姿は黒い翼に黒い衣を纏い手に剣を持っていた。堕天使は怒りの表情で目を光らせていたのであった。
「どう? 私の呼び出した悪魔は?」
彼女は勝ち誇った様子でそう聞くと、カサンドラはその悪魔を見て答えたのだった。
「中々、面白い悪魔ね……」
カタリーナはカサンドラの言葉を聞いて、苛立った表情を浮かべて叫んだのだ。
「余裕ぶっているのも今の内よ!」
彼女はそう言うと、悪魔に命令したのである。
「殺して!!」
すると、悪魔はその命令を聞くとカサンドラに向かって突進したのだ。悪魔はその鋭い爪を振りかざしながら彼女に襲い掛かったのである。
「くっ!」
カサンドラはその悪魔の攻撃を躱しながら、呪文を唱えたのだった。
「天界の神の使いである天使よ! 我の求めに応じて邪悪なる悪魔を滅し給え!」
すると、彼女の頭上に光の塊が出現しその中から天使が姿を現したのだった。天使の姿は白い翼に白い衣を纏い、右手に剣を持ち左手に盾を持っていたのである。
その顔は芒洋とした表情をしており無表情であった。狂人が悪魔を召喚し、元聖職者が天使を召喚していたのだ。
「悪魔を倒しなさい!!」
カサンドラは天使に命令すると、天使は悪魔に向かって剣を振りかざしたのだ。だが、その攻撃は躱されて悪魔はその鋭い爪で天使を攻撃したのである。
しかし、天使も素早い動きで悪魔の攻撃を躱していたのだ。そして、両者は激しい攻防を繰り広げていたのである。
「やるね~!」
カタリーナは悪魔と天使の戦いを見てそう呟いたのだ。すると、彼女は何かを思い出した様子であった。そして、笑みを浮かべながら口を開いたのである。
「修道女の貴女が魔女として復活しても天使を召喚するのは未だにエルミス教への信仰に対して未練が断ち切れないのね……」
彼女はそう言うと、天使と悪魔の戦いを見ながらさらに言葉を発したのだ。
「でも、今の貴女の信仰心はどれ程なのかな~?」
「私が魔女として復活したのも神の試練なのよ! 私の信仰心は揺るがないわ!!」
カサンドラがそう言うと、カタリーナは苛立った表情を浮かべて叫んだのである。
「私を狂人として告発し魔女裁判で拷問した挙句、処刑したエルミス教の神なんて偽物の神よ!」
カタリーナはそう言うと、エルミス教への悪態をつき侮蔑したのだ。そして、彼女はさらに続けたのである。
「私を魔女として復活させたのはエルミス教の神なんかじゃない!! 人智を超えた神の如き存在よ!!」
彼女はそう言うと、恍惚の表情を浮かべていた。それを見たカサンドラは冷静に口を開いたのである。
「狂人として魔女に成り果てた貴女が神を語るなんて……笑止千万!」
カタリーナはカサンドラの言葉を聞くと、怒りで体を震わせていた。
「お前は本当の神を知らないくせに! 私は幼少の頃から神の如き存在から語り掛けられていたの! いつか、この世界を作り変えると!!」
カタリーナはそう言うと、興奮した様子で叫び続けたのである。
「私は選ばれた人間なの! 本物の神から神託を受けたのよ!」
それを聞いたカサンドラは眉を顰めて彼女に尋ねたのだ。
「神から神託……?」
カタリーナはカサンドラが発した言葉に頷くと、狂気に満ちた笑みを浮かべて答えたのである。
「そうよ! 私に語り掛けていたのは、宗教の神ではなく本物の神なのよ!!」
彼女のその言葉にカサンドラは更に怪訝そうな表情を浮かべた。そして、彼女はカタリーナに質問したのである。
「狂人の戯言? 貴女は本当に神の声を聞いたの……?」
そのカサンドラの言葉を聞いて、カタリーナは目を見開き狂気に満ちた笑みを浮かべていたのである。
「愚問ね! 神は私に語り掛けていたわ!」
彼女はそう言うと、目を爛々と輝かせながら言葉を続けた。
「私を魔女として復活させたのも、その神よ!! 貴女も、その神から復活させられたのよ!!」
カタリーナがそう言うと、カサンドラは眉間に皺を寄せて彼女に質問したのだ。
「神から復活させられた? 私が?」
彼女は頷くと、興奮しながら答えたのである。
「そうよ! 貴女も私と同じ様に真の神が作り出した魔女よ!」
そんなカタリーナの言葉を聞いて、カサンドラは少し混乱していた。
「神が作り出した魔女? 私も……?」
彼女はカサンドラが困惑している様子を見て、笑い出したのである。その笑い声は次第に大きくなっていき狂人のような笑い声に変わっていったのだ。
そして、嘲笑いながら言葉を続けたのだった。
「うふふっ! あははははははははっ!! 貴女も、もうすぐ分かるわ!!」
カタリーナの笑い声は次第に大きくなっていき狂人のような笑い声に変わっていったのだ。
そんな中、空中で召喚された悪魔と天使は激しい戦いを繰り広げていた。
悪魔の鋭い爪と天使の光の盾が激しくぶつかり合い、火花が飛び散っていたのである。
やがて、天使は悪魔の心臓に向けて剣で突き刺し悪魔は長くて鋭い爪で天使の首を掻っ切っていたのだ。
両者とも相打ちになった様である。どちらも力尽きると消滅していたのだ。
その様子を見ていたカタリーナは興奮して叫んだのである。
「あぁ! 勝負がつかなかったな~!!」
彼女はそう言って、嬉しそうに微笑んだのだ。そして、彼女はカサンドラに視線を向けて口を開いた。
「ねぇ……貴女もそろそろ本気を出しなさいよ……」
カタリーナがそう言うと、カサンドラも頷きながら言葉を返したのである。
「そうね……、貴女の言う通り本気を出しましょう……」
カサンドラはそう言って、彼女に問い掛けたのである。
「貴女は、その神を信じているのかしら?」
カタリーナはカサンドラの質問に対して、ニヤリと笑って答えたのだった。
「えぇ……、私は語り掛けた神を信じるわ」
それを聞いたカサンドラは笑みを浮かべていたのである。
「なら、その神の信仰を打ち砕いてあげるわ!」
彼女はカサンドラの言葉を聞いて苛立った表情を浮かべていた。そして、彼女は叫んだのである。
「うるさい!! なら、お前の本気を見せろ――!!」
カタリーナのその叫び声が合図になったのか、彼女は詠唱を始めたのだ。
「異界の深淵に住まう地獄の獣よ……召喚に応じ我が命に従え!!」
彼女が詠唱を始めると、彼女の前に円状の暗黒の空間が現われたのだった。そして、闇の中から異形の姿をした魔獣が現れたのだ。
その魔獣は首が双頭になっている黒い巨大な犬であるが、尾が蛇になっており口からは鋭い牙が剥き出しになっていた。それは神話上の魔物オルトロスであったのだ。
そして、その獰猛な双頭犬の目は赤く光り涎を垂らしながらカタリーナの命令を待っていたのである。
「さぁ! あの修道女を食い殺しなさい!!」
カタリーナが魔獣に命令すると、その魔物はカサンドラに向かって襲い掛かった。そして、鋭い牙で彼女の体を噛み千切ろうと飛び掛かったのである。
そんな状況の中でもカサンドラは冷静に呪文を唱えていたのだった。
「天界から追放された堕天使よ! 我が命に応じて地獄の魔物と戦い破り給え!!」
カサンドラが呪文を唱えると、彼女の頭上に灰色の塊が出現しその中から堕天使が姿を現したのである。
そして、その天使の姿は黒い翼に黒い衣を纏い手に剣を持っていた。堕天使は怒りの表情で目を光らせていたのであった。
応援ありがとうございます!
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