不死身の魔女との妖しい契り～そして俺は魔女の剣となる～

闘いの始まり

　この時、この光景を遠見の能力で水晶玉を通してカイラニは見ていたのだ。


「オルガ様！ 今から黒髪の魔女と銀髪の魔女が戦います！」

「そう……。2人と会って問い掛けをしたら、黒髪の魔女が異端の魔女だったのが判明した。2人の決着を待つのがいいのか、頃合いを見て銀髪の魔女に止めを刺すのがいいのか？」

「私は……銀髪の魔女の守護者が死んだ時を狙うのが良いかと……」


　すると、オルガは顎に手を当てて考えるのであった。


「そうか……。そうと決まれば配下共々、奴等の場所に向かうぞ……」


　オルガはそう言うと、配下と共にランシーヌ達の場所に向かっていったのである。



　カサンドラとランシーヌはお互い距離を取り対峙していた。そして、それを周りから見ていた者達も緊張で一杯であったのだ。

　すると、カサンドラがゆっくりとランシーヌに近付き話し掛けたのである。


「ランシーヌ……私達がそのまま戦っても不死身だから決着はつかないわ……」


　すると、ランシーヌは不適な笑みを浮かべて言ったのだ。


「ええ……そうよ。守護者が生きていればね……」


　カサンドラはランシーヌの目を見据えて言ったのである。


「そう……なら、守護者同士で戦わせる……？」

「ええ……いいわ……。でも、私の守護者は絶対負けないわ」


　カサンドラは不敵な笑みを浮かべて言ったのだ。


「果たして、貴女の守護者が私の守護者に勝てるかしら……？」


　ランシーヌも自信に満ちた笑みを浮かべて言ったのである。


「ええ……勝てるわ……」


　カサンドラはサロメに近付き彼女の耳元で囁いてランシーヌに答えたのだ。


「あの魔女の守護者と戦って頂戴。どちらが強いか……勝負しましょう」


　すると、彼女は頷いて答えたのだ。


「分かりました……」


　そして、ランシーヌはラドリックに向かって話していた。


「ラドリック、あの女を倒して実力を私に見せて頂戴」

「ああ……分かった」


　ラドリックは頷くと、サロメに視線を向けて彼女に言ったのだ。


「俺の剣でお前を倒す！」


　すると、サロメは彼を見下しながら笑みを浮かべて答えたのである。


「返り討ちにしてやるよ……！」


　2人はお互い距離を取り、サロメとラドリックは武器を構えた。そして、戦いの火蓋が切って落とされたのである。

　ラドリックとサロメの戦いが始まるとランシーヌは、それぞれの仲間達に命令したのである。


「シャイラ……貴女は修道士をお願い。ミラ、ニア、ベス、昨日話した相手と戦って……」


　彼女達は頷くと自分の相手に向かっていったのだ。ベスもロシェルに近付き話し掛けたのだ。


「貴女からは精霊の力を感じます……」


　ロシェルも頷き答えだしたのだ。


「ええ……貴方もね……」


　2人はそう言うと、ベスはロシェル、双子はマチルダ、ベルに向かって行ったのである。そして、カサンドラとランシーヌはお互い距離を取って対峙したのだ。

　そして、2人は不敵な笑みを浮かべていたのだった。


「ランシーヌ……貴女の守護者が死ねば私が勝ったも同然よ」

「そうね……。じゃあ始めましょうか……」


　2人は暫くの間お互い見つめ合うと彼女達の戦いが始まったのだ。



　俺はカサンドラの守護者である大柄で筋肉質の女と戦っていたのである。

　彼女は両手に三日月斧を持ち、それを軽々と振り回して俺を攻め立ててきたのだ。

　俺は攻撃を剣で受け流し、隙を見ては攻撃をしていたのだ。だが、俺の攻撃は殆ど防がれていたのである。

　そして、彼女は俺に向かって言ったのだ。


「お前……中々強いな……。でも、私は負けない……」


　俺は彼女の攻撃を受け止めながら答えたのである。


「ああ……俺も負けるつもりはないさ」


　すると、彼女はニヤリと笑みを浮かべて攻撃の速度を上げてきたのである。俺は彼女の攻撃を防ぐのに精一杯で反撃する余裕がなくなっていたのだった。


（くそっ！ このままではまずいな……）


　俺がそう考えていると、彼女は俺の腕を狙い攻撃を繰り出してきたのだ。俺はその攻撃を何とか防いだが、少し遅れていたら腕を切断されていただろう。

　それからも、彼女は休む暇なく攻撃してきたのである。俺は防ぐだけで精一杯で反撃する余裕すらなかったのだ。

　そして、暫くすると彼女の攻撃の速度と威力は更に上がっていき、俺の体は徐々に傷付き始めたのだ。


「はぁ……はぁ……」


　俺は息を荒げながら彼女の攻撃に耐えていたのだ。すると、彼女は攻撃を止めて話し掛けてきたのである。


「どうした……？ もう終わりか……？」

「まだ……終わってないさ……」


　俺はそう言うと剣を構えて彼女に言ったのだ。


「今度はこっちから行くぜ！」


　俺はそう言うと彼女に向かって行ったのだ……。

　彼は彼女の攻撃を防ぐのに精一杯であったが、何とか攻撃に転じていたのである。

　彼はサロメに技を繰り出し剣で斬りつけると、彼女の体にも傷が増え始めたのである。そして、2人の戦いはしばらくの間続くのであった。

　暫くするとサロメはラドリックに話し掛けたのだ。


「しぶといな……」

「お前もな……」


　2人はお互い見合うとニヤリと笑みを浮かべていたのだった……。



　ミラとニアはマチルダ、ベルとお互いに睨み合っていたのだ。そして、マチルダがミラに話し掛けたのである。


「貴女達は強いの……？」


　ミラは微笑みながら答えだしたのだ。


「そうね……貴女達が私達に勝つのは無理よ……」


　彼女達はお互いに距離を取って対峙していたのである。そして、暫くの間お互い見つめ合うと彼女達の戦いが始まったのだ。

　まず、距離がある場所からマチルダが手から緑色の霧をミラとニアに向かって吹き付けたのである。そして、マチルダは更に霧を生み出して彼女達に吹き付け続けたのだ。

　ミラとニアは何とか緑色の霧を避けたりしていたのだが、徐々に彼女達の逃げ場がなくなり追い詰められていったのである。

　マチルダは2人を見て笑みを浮かべて言ったのである。


「もう終わりかしら……？」


　ニアは悔しげな表情を浮かべてマチルダに言ったのだ。


「まだまだよ！」


　彼女はマチルダに攻撃を仕掛けようとするが、彼女はその攻撃を読んで逆に彼女に向かって吹き付けたのだ。そして、ニアはもろに受けると苦しみながら地面に倒れたのである。


「うぐぅぅぅ……」


　彼女は苦しみの声を上げてマチルダを睨み付けた。


「あははっ！ 弱いわね！」


　マチルダは高笑いしてミラに視線を向けて話し掛けたのだ。


「貴女はどうかしら……？」


　すると、ミラはニヤリと笑みを浮かべて言ったのである。


「いいえ……これからよ……」


　そして、彼女はニアと同じようにマチルダに向かって攻撃したのである。だが、マチルダはその攻撃を躱すと逆に彼女に向かって霧を吹き付け攻撃したのだ。

　そして、その攻撃を受けて苦しむ彼女の姿を見て笑っていたのである。


「口ほどにもないわね！」


　すると、ニアは怒りを露にしてふらつきながらもマチルダに近付いていった。


「くっ！」


　マチルダはニアの攻撃を避けようと後ろに下がるが彼女はそれを許さず距離を詰めて攻撃をしたのである。ニアの爪の攻撃がマチルダの右腕を裂いたのである。

　そして、痛がるマチルダの姿を見て彼女は笑みを浮かべて呟いたのだ……。


「私に毒は長く効かないわ……」


　そう呟くと、ニアはマチルダに近寄っていくと彼女に止めを刺そうとしたのである。しかしその時である……。

　ニアの上空から何か鳥の様な物が飛んできて彼女に目掛けて攻撃してきたのだ。その攻撃をニアは寸前で避けると距離を取ったのである。そして、上空を見ると無数のカラスが飛んでいたのだ。


「あれは……」


　彼女は驚きの表情で見上げていたのだ……。すると、ベルが離れた所から話し掛けてきたのである。


「私は動物を操ることが出来るのよ……。鳥であろうが何であろうがね……」


　ニアは悔しさでベルを睨み付けていた。そして、マチルダは右腕を押さえながらニアを睨むと怒りの表情で話しかけたのである。


「ベル！ 2人で連携して攻撃よ！」


　ベルは頷くとマチルダと一緒にニアに向かっていったのだ。そして、彼女は手を天に向けて上げ目を閉じて念じていると彼女達の周りに色々な動物達が集まって来たのであった。