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第8話:私が領主になっている(4)
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我が家のリビングに北畠の使者がやってきた。
もうリビングではなく、時代に合わせて板敷の広間にリフォームしている。
私と岳人、義輝、六兵衛で使者を迎えた。
「お初にお目にかかります。拙者は大宮吉守と申します。」
北畠の使者は頭を下げる。
「どうもどうもご丁寧に私は山田大輔です。」
私は名刺を取り出すと大宮吉守に渡した。
「・・・なんですかこれは?」
「名刺です。」
「単刀直入に申し上げます。」
「はい。」
「山田大輔殿・・・。赤埴信安殿と共にこの宇陀の地を任せるとのお達しです。」
「えっ?」
「我が主君、伊勢の国司である北畠具房様は山田様を高く買っておられます。」
大宮吉守は書状を渡してきた。
私は広げてみた。
よ・・・読めない、達筆すぎて読めないんですけど。
「なるほど、ここを山田城として・・・義兄上を山田城城主としてこの辺りを領地として任せるとのことですか。」
義輝が書状を私から取り上げると内容を伝えてくれた。
「滝谷六兵衛、九兵衛の両人は山田殿にお仕えして良く盛り立てろとのことだ。」
義輝の言葉に六兵衛は笑顔になる。
「赤埴信安殿からのたっての願いだそうだ、六兵衛。」
「ハハッ!!」
六兵衛は頭を下げた。
北畠の使者を麓まで見送った私は義輝に問いかけた。
「どうなると思う?」
既に義輝には全てを話している。
我が家族が未来から来たということを・・・。
我が家の造り、服装、アクセラなどを見てすぐに納得してくれた。
「いずれは戦だろうな・・・。」
義輝は岳人の頭をポンと叩いた。
「そうだね・・・北畠には尾張の織田信長の脅威があるしね、こちらに構ってられないと思う。」
「織田信長、桶狭間で今川義元を討ったヤツだな。」
岳人の言葉に義輝は拳を握りしめる。
「だから僕たちで松永をどうにかしろってことだろうね。」
岳人は私を見る。
「これって歴史が変わっている・・・変えているんだよな。」
「歴史を変えても生き残らないと・・・僕はやるよ!!」
岳人がここまで男らしいとは思わなかった。
歴史オタクで日本史、西洋史を小学生の頃に極めたと豪語はしていたが、学校の成績は社会以外は普通であった。
運動も小学生の頃はサッカークラブに所属しておりベンチ入りはしていたがレギュラーではなかった。
あまり感情を表に出さない岳人が成長している。
それだけでも私は戦国時代にタイムスリップして良かったのではないかと思ってしまった。
この日を境に近隣の農民たちから体力の優れた者の徴兵を始めた。
義輝の指導の下で槍隊、弓隊に分けられた。
更にその中でも才能のある者は岳人率いる特殊部隊に回された。
ハルバードや鈎鎌槍、団牌といった西洋、中国の武具を使用する部隊である。
残念ながら騎馬隊は農民中心であるために編成できなかった。
義輝、六兵衛、九兵衛の3人のみである。
私はというと、私は戦車に乗ることになった。
もちろん戦車といっても現代の戦車ではなく馬が引く戦車である。
ただの馬車にしか思えないので、戦場に出た時のことを考えると一抹の不安は拭えない。
それにしても刀鍛冶の唐次郎が近隣から腕利きを集めてくれたおかげで岳人のアイディアが具現化されていく。
この日本の戦国時代に在りえない戦術がとれると岳人が言っていた。
そして私はこの我が家である山田城と我が領地を守る為に旅に出ることにした。
目指すは堺の町である。
岳人曰くはこの時代を生き抜くには鉄砲が必需。
火縄銃を手に入れてそれを元に近代兵器に改造したいらしい。
私が火縄銃の購入とそれを生産できる鉄砲鍛冶をスカウトするのだ。
自らが赴くことで誠意を伝えることができるだろう。
元商社マンの・・・営業職の実力を発揮したい。
私の護衛として六兵衛が同行することになった。
義輝曰くは、このわずかの間に恐ろしい程に強くなったということだ。
元から強かった六兵衛が義輝の指導で・・・
剣豪将軍に恐ろしい程強くなったと言わしめたのなら安心だ。
更に一緒に付いてきたいということで美佳も同行する。
六兵衛がいるなら安心だろう。
みんなに見送られて私と美佳、六兵衛は旅立った。
さあ・・・目指すは堺だ。
もうリビングではなく、時代に合わせて板敷の広間にリフォームしている。
私と岳人、義輝、六兵衛で使者を迎えた。
「お初にお目にかかります。拙者は大宮吉守と申します。」
北畠の使者は頭を下げる。
「どうもどうもご丁寧に私は山田大輔です。」
私は名刺を取り出すと大宮吉守に渡した。
「・・・なんですかこれは?」
「名刺です。」
「単刀直入に申し上げます。」
「はい。」
「山田大輔殿・・・。赤埴信安殿と共にこの宇陀の地を任せるとのお達しです。」
「えっ?」
「我が主君、伊勢の国司である北畠具房様は山田様を高く買っておられます。」
大宮吉守は書状を渡してきた。
私は広げてみた。
よ・・・読めない、達筆すぎて読めないんですけど。
「なるほど、ここを山田城として・・・義兄上を山田城城主としてこの辺りを領地として任せるとのことですか。」
義輝が書状を私から取り上げると内容を伝えてくれた。
「滝谷六兵衛、九兵衛の両人は山田殿にお仕えして良く盛り立てろとのことだ。」
義輝の言葉に六兵衛は笑顔になる。
「赤埴信安殿からのたっての願いだそうだ、六兵衛。」
「ハハッ!!」
六兵衛は頭を下げた。
北畠の使者を麓まで見送った私は義輝に問いかけた。
「どうなると思う?」
既に義輝には全てを話している。
我が家族が未来から来たということを・・・。
我が家の造り、服装、アクセラなどを見てすぐに納得してくれた。
「いずれは戦だろうな・・・。」
義輝は岳人の頭をポンと叩いた。
「そうだね・・・北畠には尾張の織田信長の脅威があるしね、こちらに構ってられないと思う。」
「織田信長、桶狭間で今川義元を討ったヤツだな。」
岳人の言葉に義輝は拳を握りしめる。
「だから僕たちで松永をどうにかしろってことだろうね。」
岳人は私を見る。
「これって歴史が変わっている・・・変えているんだよな。」
「歴史を変えても生き残らないと・・・僕はやるよ!!」
岳人がここまで男らしいとは思わなかった。
歴史オタクで日本史、西洋史を小学生の頃に極めたと豪語はしていたが、学校の成績は社会以外は普通であった。
運動も小学生の頃はサッカークラブに所属しておりベンチ入りはしていたがレギュラーではなかった。
あまり感情を表に出さない岳人が成長している。
それだけでも私は戦国時代にタイムスリップして良かったのではないかと思ってしまった。
この日を境に近隣の農民たちから体力の優れた者の徴兵を始めた。
義輝の指導の下で槍隊、弓隊に分けられた。
更にその中でも才能のある者は岳人率いる特殊部隊に回された。
ハルバードや鈎鎌槍、団牌といった西洋、中国の武具を使用する部隊である。
残念ながら騎馬隊は農民中心であるために編成できなかった。
義輝、六兵衛、九兵衛の3人のみである。
私はというと、私は戦車に乗ることになった。
もちろん戦車といっても現代の戦車ではなく馬が引く戦車である。
ただの馬車にしか思えないので、戦場に出た時のことを考えると一抹の不安は拭えない。
それにしても刀鍛冶の唐次郎が近隣から腕利きを集めてくれたおかげで岳人のアイディアが具現化されていく。
この日本の戦国時代に在りえない戦術がとれると岳人が言っていた。
そして私はこの我が家である山田城と我が領地を守る為に旅に出ることにした。
目指すは堺の町である。
岳人曰くはこの時代を生き抜くには鉄砲が必需。
火縄銃を手に入れてそれを元に近代兵器に改造したいらしい。
私が火縄銃の購入とそれを生産できる鉄砲鍛冶をスカウトするのだ。
自らが赴くことで誠意を伝えることができるだろう。
元商社マンの・・・営業職の実力を発揮したい。
私の護衛として六兵衛が同行することになった。
義輝曰くは、このわずかの間に恐ろしい程に強くなったということだ。
元から強かった六兵衛が義輝の指導で・・・
剣豪将軍に恐ろしい程強くなったと言わしめたのなら安心だ。
更に一緒に付いてきたいということで美佳も同行する。
六兵衛がいるなら安心だろう。
みんなに見送られて私と美佳、六兵衛は旅立った。
さあ・・・目指すは堺だ。
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