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第168話:難攻不落!! 姫路城攻略戦 後編
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それは7月7日の夜であった。
雨が降りしきる中、攻城戦の準備に余念がない山田軍。
強い雨音に紛れながら闇の中で動く影たち。
その視線の先には山田軍の本陣があった。
「ゆくぞォォォ!!」
姫路城の城門が開き、赤松軍が討って出る。
「なるほど・・・予想通りだ。雨ならば火薬を思うように使えない。そこを突いての夜襲か。」
岳人には雨の日の夜襲は予測済みであった。
「火縄銃とは違うんだよ・・・」
盾隊の陰から鉄砲隊が次々と狙いを定めて赤松軍の兵たちを撃ち抜いていく。
更にカタパルトから投擲された網が次々と赤松軍を頭上から覆っていき自由を奪っていく。
さすがだな・・・山田岳人・・・
だが、容赦はせんぞ!! 官兵衛に手柄は渡さん!!
そんな岳人たちがいる本陣に奇襲を仕掛けてくる兵の一団。
小寺家家臣江田善兵衛率いる二百の兵である。
「・・・」
岳人は動じることなく采配を続けている。
「なッ・・・読まれていただと・・・」
すぐさま兵が展開していき赤松軍の奇襲を遮る。
「雨音に乗じての夜襲は学習済みだよ。」
そんな岳人であったが・・・
「あそこにいるのは山田岳人だ!! 首を獲れ!!」
更に別の方角から赤松軍の兵の一団が押し寄せてきた。
「囮にしやがったァァァ!! 官兵衛ェェェ!!」
それを見た江田善兵衛が怒声を上げる。
決死隊の如く百人程の兵を率いて黒田官兵衛考高が突撃をかけてきたのだ。
「山田岳人・・・地獄に道連れじゃァァァ!!」
考高が岳人めがけて槍を振るう。
「半兵衛・・・」
「ははッ!!」
物音も立てずに現れた竹中半兵衛重治がその槍を二刀流で防ぐ。
「十助!!」
「お任せを!!」
押し寄せてくる考高配下の兵を食い止めるのは喜多村十助直吉ら重治子飼いの家臣たち。
凄まじい手並みで赤松軍の兵たちを斬り倒していく。
「やっと出番というところか・・・」
竹中家家臣沢右京が鋭い太刀筋を見せながら重治を見る。
「ずっと留守番ばかりも腕が鈍るだけだ。」
鮮やかな槍捌きで赤松軍の兵たちを打ちのめす杉山内蔵助。
その他の者も合わせて十六人だが、百の兵をものともしない。
「竹中殿・・・ここまでの猛者を控えさせておりましたか・・・」
考高は槍を突きながら重治に言う。
「この者どもは竹中十六騎。美濃が元主君の斎藤龍興が居城稲葉山城を私はこの者たちだけで奪い取っております。それぞれが一騎当千だと考えていただきたい。」
重治は槍の攻撃を防ぎきるとまるで舞うかのように華麗なる剣技を見せる。
「だが・・・私は退かぬぞ!!」
考高もは槍を投げ捨てると刀を抜いて重治の剣技を捌ききった。
互角の激しい打ち合いが続く。
「だが我が家臣たちよりも山田家の家臣団は遥かに強い・・・この戦いは勝てぬことがわからぬか?」
「勝ち負けではない・・・播磨の為にこの命を捧げるのだ!!」
その黒田官兵衛考高の言葉に反応した岳人は槍を手にすると考高に襲い掛かった。
「なッ!?」
そのあまりに鋭い突きの速さに大きく飛びのく考高。
「黒田官兵衛・・・それだけの才と腕を持ちながらここで朽ち果てるのか!!」
岳人は槍の穂先を考高に向けると大声で叫ぶ。
「なにッ!!」
「日ノ本がこれからどうなっていくか見届けたいと思わないのか?そしてその先に何があるかを・・・それを成し遂げたいと思わないのか?」
若君の野望は逆効果になる・・・しからば・・・
そこに重治も加わる。
「我が殿は日ノ本から争いを終わらせることだけを考えておられる。その後には武力ではない・・・統一された決まり事・・・法によって帝から下々の民まで治められる世の中の実現が待っている!!」
余計なことを・・・半兵衛・・・
岳人は苦み走った表情を見せる。
「統一された・・・決まり事・・・武力ではなく法によって全てが決まり、全てが裁かれるということか・・・」
考高は思わず刀を地面に落としてしまった。
戦乱の世に想像さえできなかった考え。位も何も関係のない世の中・・・理想ではないか・・・
「うおおッ・・・無念!!」
江田善兵衛は竹中十六騎の一人阿波彦六に敗れて捕縛された。
夜襲をかけた兵たちは次々と倒れていくか命乞いをするか・・・
そんな中で黒田官兵衛考高は立ち尽くすだけであった。
翌7月8日朝、晴れ渡る空の下で山田軍は姫路城を包囲していた。
「官兵衛帰らずか・・・使えぬ奴め。」
赤松義祐は苦虫を嚙み潰したような顔でつぶやく。
「・・・この姫路の城は官兵衛が手塩にかけたもの。そう簡単には落としませぬ。」
小寺政職は怒りを堪えながら義祐に言うのだが、
「ならばここで堪えよ・・・いずれは政秀のヤツめが助けにこよう。」
「・・・ははッ。」
生死不明となった考高を邪険に扱う義祐への忠義が完全に揺らいでいた。
「破裏数多・・・撃て!!」
重治の指揮の下で発射された巨大な矢は姫路城の城壁を打ち破る。
しかし、今回は火薬を使用していない。
それには理由があった。
「僕はここに残って宇喜多や浦上、三村と戦うつもりだ。そのためにもこの姫路城を出来るだけ無傷で奪い取りたい。」
そんな岳人の言葉の意図は重治には理解できていた。
確かに・・・この城は侵入口も限られており攻めづらい・・・そして入り組んだ郭は守りに適している。
搦手口を攻めている芳野殿、高井殿が気がかりだ。
その不安は的中していた。
「くそッ・・・攻め手がない・・・」
「ああ・・・この道しかなければ上から狙い撃ちし放題だ。」
搦手門を確保した一馬と義成だがそこから上へは進むことが出来なかった。
急勾配の斜面には幾多の柵、登城への道は九十九折りになっており、その途中の門には兵たちが待ち構えているのがよくわかった。
このまま五日間が過ぎた。
姫路城を取り囲む山田軍に動きはなく、赤松義祐はあてにしていた龍野城からの援軍もないまま、焦りばかり募っていた。
そんな中で朗報が訪れる。
「嬉しい知らせでございます!!」
兵が大広間に駆け込んできた。
「なんだ?」
「龍野より内海範秀、島津蔵人殿が援軍、搦手口の山田軍を打ち破りました!!」
「でかした!! 政秀め・・・やっと赤松の宗主がワシじゃとわかったか!!」
喜びの声をあげる赤松義祐。
しかしその、喜びは束の間のことであった。
搦手口から入城してきた赤松政秀からの援軍が一斉に蜂起したのだ。
更に打ち破ったはずの一馬や義成たちも城内へと侵入してきた。
城内の混乱は岳人や重治にも見えていた。
「八滝殿・・・さすがですな・・・さあ・・・我らも行きますぞ!!」
重治は兵を率いて表門から突入していった。
勝手なことを・・・源之進め・・・
岳人も後から続くがその表情は怒りに満ちていた。
「政職・・・どうすれば良いのじゃ!!」
本丸で取り乱す赤松義祐。
「さあ・・・?」
小寺政職は冷たい顔で突き放すように答えた。
「貴様・・・この期に及んで・・・」
「どうやら赤松政秀は山田家に降ったのでございましょう。どうもしようがないでしょうが!!」
姫路城に侵入した赤松政秀の軍は既に山田家に降っていたのだ。
攻城戦で圧倒的強さを見せつけられた赤松政秀は源之進からの勧めもあり降伏。
そのまま虚報を流し、姫路城城内へと兵を侵入させたのだ。
その兵を率いているのも源之進。見事な知将ぶりを見せることとなる。
こうして姫路城を内部から崩した山田軍の勝利となった。
小寺政職は赤松義祐を伴い降伏。
「どこへでも行ってください・・・もはやあなたの首など望みません。」
岳人の言葉で放逐された赤松義祐は何処かへと逃げ去っていった。
「源之進さん、助けてくれたのは嬉しいのですが・・・何故、赤松政秀を攻め落とさなかったのですか?」
岳人は源之進に冷たい顔で問いかける。
「・・・なんてお顔をされますか・・・?」
源之進は驚きを通り越して思わず聞き返した。
「赤松政秀が残っていれば播磨の制圧ができないじゃないですか。」
「お・・・お待ちください。播磨の制圧が目的の出兵ではないでしょう。」
「僕は・・・山田大輔の息子の山田岳人。今回の播磨への出兵の全ては僕に指揮権がある。」
呆然とする源之進と冷酷な表情の岳人。
その光景を前に重治と降伏した考高は顔を見合わせた。
お願いいたす・・・
分かり申した・・・
お互いの目での会話が意味することは何なのかまだ定かではない。
「若君・・・無礼を承知で言わせていただきますが・・・殿のお気持ちはあくまで播磨の制圧でも平定でもなく争いの仲裁でございます。結果的に赤松家に攻められて止む無く反撃しただけ。赤松政秀はすぐに降伏したのですからそれをどうこう言われても・・・」
義成がそこに割って入る。
「義成・・・。お前はお父さんやアネキのお気に入りだから好き勝手言いたい放題か・・・」
「な・・・」
岳人の返答に義成の表情が青ざめる。
「若君・・・違いますぞ・・・義成は殿のお気持ちを・・・」
「生温い・・・僕にはそうとしか思えない。一人にしてくれ!!」
一馬の諫言も届かないままに岳人は一人で大広間を出ていった。
「官兵衛殿・・・今です。」
「承知。」
黒田官兵衛考高が岳人の後を追いかけていった。
それを見た一馬や義成、源之進は重治を見る。
「・・・」
笑顔でうなずく重治。
果たして岳人と黒田官兵衛考高の間に何が起こるのだろうか?
雨が降りしきる中、攻城戦の準備に余念がない山田軍。
強い雨音に紛れながら闇の中で動く影たち。
その視線の先には山田軍の本陣があった。
「ゆくぞォォォ!!」
姫路城の城門が開き、赤松軍が討って出る。
「なるほど・・・予想通りだ。雨ならば火薬を思うように使えない。そこを突いての夜襲か。」
岳人には雨の日の夜襲は予測済みであった。
「火縄銃とは違うんだよ・・・」
盾隊の陰から鉄砲隊が次々と狙いを定めて赤松軍の兵たちを撃ち抜いていく。
更にカタパルトから投擲された網が次々と赤松軍を頭上から覆っていき自由を奪っていく。
さすがだな・・・山田岳人・・・
だが、容赦はせんぞ!! 官兵衛に手柄は渡さん!!
そんな岳人たちがいる本陣に奇襲を仕掛けてくる兵の一団。
小寺家家臣江田善兵衛率いる二百の兵である。
「・・・」
岳人は動じることなく采配を続けている。
「なッ・・・読まれていただと・・・」
すぐさま兵が展開していき赤松軍の奇襲を遮る。
「雨音に乗じての夜襲は学習済みだよ。」
そんな岳人であったが・・・
「あそこにいるのは山田岳人だ!! 首を獲れ!!」
更に別の方角から赤松軍の兵の一団が押し寄せてきた。
「囮にしやがったァァァ!! 官兵衛ェェェ!!」
それを見た江田善兵衛が怒声を上げる。
決死隊の如く百人程の兵を率いて黒田官兵衛考高が突撃をかけてきたのだ。
「山田岳人・・・地獄に道連れじゃァァァ!!」
考高が岳人めがけて槍を振るう。
「半兵衛・・・」
「ははッ!!」
物音も立てずに現れた竹中半兵衛重治がその槍を二刀流で防ぐ。
「十助!!」
「お任せを!!」
押し寄せてくる考高配下の兵を食い止めるのは喜多村十助直吉ら重治子飼いの家臣たち。
凄まじい手並みで赤松軍の兵たちを斬り倒していく。
「やっと出番というところか・・・」
竹中家家臣沢右京が鋭い太刀筋を見せながら重治を見る。
「ずっと留守番ばかりも腕が鈍るだけだ。」
鮮やかな槍捌きで赤松軍の兵たちを打ちのめす杉山内蔵助。
その他の者も合わせて十六人だが、百の兵をものともしない。
「竹中殿・・・ここまでの猛者を控えさせておりましたか・・・」
考高は槍を突きながら重治に言う。
「この者どもは竹中十六騎。美濃が元主君の斎藤龍興が居城稲葉山城を私はこの者たちだけで奪い取っております。それぞれが一騎当千だと考えていただきたい。」
重治は槍の攻撃を防ぎきるとまるで舞うかのように華麗なる剣技を見せる。
「だが・・・私は退かぬぞ!!」
考高もは槍を投げ捨てると刀を抜いて重治の剣技を捌ききった。
互角の激しい打ち合いが続く。
「だが我が家臣たちよりも山田家の家臣団は遥かに強い・・・この戦いは勝てぬことがわからぬか?」
「勝ち負けではない・・・播磨の為にこの命を捧げるのだ!!」
その黒田官兵衛考高の言葉に反応した岳人は槍を手にすると考高に襲い掛かった。
「なッ!?」
そのあまりに鋭い突きの速さに大きく飛びのく考高。
「黒田官兵衛・・・それだけの才と腕を持ちながらここで朽ち果てるのか!!」
岳人は槍の穂先を考高に向けると大声で叫ぶ。
「なにッ!!」
「日ノ本がこれからどうなっていくか見届けたいと思わないのか?そしてその先に何があるかを・・・それを成し遂げたいと思わないのか?」
若君の野望は逆効果になる・・・しからば・・・
そこに重治も加わる。
「我が殿は日ノ本から争いを終わらせることだけを考えておられる。その後には武力ではない・・・統一された決まり事・・・法によって帝から下々の民まで治められる世の中の実現が待っている!!」
余計なことを・・・半兵衛・・・
岳人は苦み走った表情を見せる。
「統一された・・・決まり事・・・武力ではなく法によって全てが決まり、全てが裁かれるということか・・・」
考高は思わず刀を地面に落としてしまった。
戦乱の世に想像さえできなかった考え。位も何も関係のない世の中・・・理想ではないか・・・
「うおおッ・・・無念!!」
江田善兵衛は竹中十六騎の一人阿波彦六に敗れて捕縛された。
夜襲をかけた兵たちは次々と倒れていくか命乞いをするか・・・
そんな中で黒田官兵衛考高は立ち尽くすだけであった。
翌7月8日朝、晴れ渡る空の下で山田軍は姫路城を包囲していた。
「官兵衛帰らずか・・・使えぬ奴め。」
赤松義祐は苦虫を嚙み潰したような顔でつぶやく。
「・・・この姫路の城は官兵衛が手塩にかけたもの。そう簡単には落としませぬ。」
小寺政職は怒りを堪えながら義祐に言うのだが、
「ならばここで堪えよ・・・いずれは政秀のヤツめが助けにこよう。」
「・・・ははッ。」
生死不明となった考高を邪険に扱う義祐への忠義が完全に揺らいでいた。
「破裏数多・・・撃て!!」
重治の指揮の下で発射された巨大な矢は姫路城の城壁を打ち破る。
しかし、今回は火薬を使用していない。
それには理由があった。
「僕はここに残って宇喜多や浦上、三村と戦うつもりだ。そのためにもこの姫路城を出来るだけ無傷で奪い取りたい。」
そんな岳人の言葉の意図は重治には理解できていた。
確かに・・・この城は侵入口も限られており攻めづらい・・・そして入り組んだ郭は守りに適している。
搦手口を攻めている芳野殿、高井殿が気がかりだ。
その不安は的中していた。
「くそッ・・・攻め手がない・・・」
「ああ・・・この道しかなければ上から狙い撃ちし放題だ。」
搦手門を確保した一馬と義成だがそこから上へは進むことが出来なかった。
急勾配の斜面には幾多の柵、登城への道は九十九折りになっており、その途中の門には兵たちが待ち構えているのがよくわかった。
このまま五日間が過ぎた。
姫路城を取り囲む山田軍に動きはなく、赤松義祐はあてにしていた龍野城からの援軍もないまま、焦りばかり募っていた。
そんな中で朗報が訪れる。
「嬉しい知らせでございます!!」
兵が大広間に駆け込んできた。
「なんだ?」
「龍野より内海範秀、島津蔵人殿が援軍、搦手口の山田軍を打ち破りました!!」
「でかした!! 政秀め・・・やっと赤松の宗主がワシじゃとわかったか!!」
喜びの声をあげる赤松義祐。
しかしその、喜びは束の間のことであった。
搦手口から入城してきた赤松政秀からの援軍が一斉に蜂起したのだ。
更に打ち破ったはずの一馬や義成たちも城内へと侵入してきた。
城内の混乱は岳人や重治にも見えていた。
「八滝殿・・・さすがですな・・・さあ・・・我らも行きますぞ!!」
重治は兵を率いて表門から突入していった。
勝手なことを・・・源之進め・・・
岳人も後から続くがその表情は怒りに満ちていた。
「政職・・・どうすれば良いのじゃ!!」
本丸で取り乱す赤松義祐。
「さあ・・・?」
小寺政職は冷たい顔で突き放すように答えた。
「貴様・・・この期に及んで・・・」
「どうやら赤松政秀は山田家に降ったのでございましょう。どうもしようがないでしょうが!!」
姫路城に侵入した赤松政秀の軍は既に山田家に降っていたのだ。
攻城戦で圧倒的強さを見せつけられた赤松政秀は源之進からの勧めもあり降伏。
そのまま虚報を流し、姫路城城内へと兵を侵入させたのだ。
その兵を率いているのも源之進。見事な知将ぶりを見せることとなる。
こうして姫路城を内部から崩した山田軍の勝利となった。
小寺政職は赤松義祐を伴い降伏。
「どこへでも行ってください・・・もはやあなたの首など望みません。」
岳人の言葉で放逐された赤松義祐は何処かへと逃げ去っていった。
「源之進さん、助けてくれたのは嬉しいのですが・・・何故、赤松政秀を攻め落とさなかったのですか?」
岳人は源之進に冷たい顔で問いかける。
「・・・なんてお顔をされますか・・・?」
源之進は驚きを通り越して思わず聞き返した。
「赤松政秀が残っていれば播磨の制圧ができないじゃないですか。」
「お・・・お待ちください。播磨の制圧が目的の出兵ではないでしょう。」
「僕は・・・山田大輔の息子の山田岳人。今回の播磨への出兵の全ては僕に指揮権がある。」
呆然とする源之進と冷酷な表情の岳人。
その光景を前に重治と降伏した考高は顔を見合わせた。
お願いいたす・・・
分かり申した・・・
お互いの目での会話が意味することは何なのかまだ定かではない。
「若君・・・無礼を承知で言わせていただきますが・・・殿のお気持ちはあくまで播磨の制圧でも平定でもなく争いの仲裁でございます。結果的に赤松家に攻められて止む無く反撃しただけ。赤松政秀はすぐに降伏したのですからそれをどうこう言われても・・・」
義成がそこに割って入る。
「義成・・・。お前はお父さんやアネキのお気に入りだから好き勝手言いたい放題か・・・」
「な・・・」
岳人の返答に義成の表情が青ざめる。
「若君・・・違いますぞ・・・義成は殿のお気持ちを・・・」
「生温い・・・僕にはそうとしか思えない。一人にしてくれ!!」
一馬の諫言も届かないままに岳人は一人で大広間を出ていった。
「官兵衛殿・・・今です。」
「承知。」
黒田官兵衛考高が岳人の後を追いかけていった。
それを見た一馬や義成、源之進は重治を見る。
「・・・」
笑顔でうなずく重治。
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