婚約者をNTRた公爵令嬢が悪役だと誰が決めた?!!

月夜の庭

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乱立するイベント

お茶会が秘密のまま終わる時

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エドの後ろにはランスロット様も立っていました。


オースティン様と婚約が決まり、初めて顔を合わせました。


私が剣術を教わる事は無いので、学校でも会う機会がありませんでした。


「あぁ……ワタシ、カエラナキャ」


マルガリータは演技が恐ろしく下手ね。



「なら、ランスロットが送ってあげなよ」


「…………かしこまりました」


立ち上がったマルガリータをエスコートしながら、ランスロット様が私を凝視している。


「本当に愛する人と結ばれたと伺いました。おめでとうございます。もう二度と2人で過ごす事もございません。リリアーヌ様の幸せをお祈り申し上げております」


秘密のお茶会が、秘密のまま終わった瞬間でした。


「ありがとうございます」



私は満面の笑みで応えた。


オースティン様と結婚すると決めたから。


マルガリータとランスロット様が部屋を出て行くと、微妙な空気が流れていました。


私は慌てて立ち上がった。


「私も、おいとましますわ」


オースティン様との婚約が決まってから、ランスロット様とは、まともに会話すらしていませんでした。


お互いに避けていたからなのかも知れません。


「待ってくれ」


振り返るとランスロット様がたっていました。


マルガリータは、どこに行ったのよ?


まさか、また覗き見しているの?!


「警戒しないでくれ。俺はリリアーヌに対する気持ちが愛情だと思っていたんだ。だが叔父貴の真剣さに敬愛だと気が付いたんだ。マルガリータに目移りした訳じゃない。叔父貴にならリリアーヌを任せられるからな」


ポリポリと鼻を掻きながら、優しく微笑んでくれている。


「叔父貴に説得………いや、説教された。俺との婚約にリリアーヌの意思は存在せず、一方的に押し付けたモノだと力説された。リリアーヌが断れない立場だと知りながら…………俺が嫌いな貴族そのものの行動だったと気が付き、嫌悪感がして吐き気がした」


ランスロット様がオースティン様に、親近感を抱いているのかも知れません。


王宮や貴族を嫌ったオースティン様。


私との出会いを好機と判断し、早々に王位を手放したランスロット様。


価値観が似てるのかも知れません。


「あんなに真剣で必死な叔父貴は、初めて見た。一度は諦めた女を本気で取りに行くと言われて、俺は敵わないと思った」


「オースティン様が………嬉しい」


今すぐにでもオースティン様に会いたくなった。


「本当に愛し合っているんだな。俺と話していても、そんな幸せそうな笑顔を引き出す事は出来なかったが、叔父貴の話をしただけで笑うとは………男として自信を失う」


「あの!ランスロット様は格好良いですわ。ただ、婚約が決まる前にオースティン様を好きになっていただけで」


「タイミングか」


「申し訳ございません」


「いい………リリアーヌが幸せなら、それでいい」


「ありがとうございます」


「あぁ」


静かに笑うランスロット様に、マルガリータと一緒に屋敷まで、送ってもらいましたが、オースティン様に会いたくなって、その足で学校へ戻ると、なぜか教室にはエドがいました。


「帰らなかったの?」


「エドこそ、アメリア様と一緒だったのでは?」


「僕は屋敷でのランスロット兄上とのやり取りを見て、1人になりたくなって、思い付いたのが学校だった。リリアーヌは?」


「私は……………会いたくなって」


「叔父さん?」


「はい」


「そっか」


「「………」」


お互いに次の言葉が出でこず、会話が続かない。


耳が痛くなるようなシーンとした沈黙が、夕日が見える教室を支配していました。


「なぜかな?叔父さんには敵わないって、僕も思うんだよね。あの人は色々な物を諦めて来たんだ。どうしても欲しいってハッキリ言ったのは、父上にリリアーヌとの婚約を認めて欲しいと言い出した時だけだった。王の品格と才能を持ちながら、産まれてくるのが遅すぎたと言われた 叔父さんが初めて見せた、本気になった姿は格好良かった」


赤く染まる教室から外を見ながら、エドが無表情で話す姿を黙って見ていた。


「叔父さんは、ランスロット兄上にとって理解者で、セシル兄上にとっては何でも相談できる友人で、僕にとっては憧れなんだ。父上にとって王位継承権から遠のいても、その存在を最も恐れ嫉妬させた唯一の人物。そんな嫉妬を嘲笑う様に、あっさり王位継承権を放棄し城から出ていった 」


そしてブルームフォンテーン公爵家に来て、一緒に過ごした。


「僕が物心がついた時には、既に城から出ていった後だったのに、叔父さんは凄かったと聞かされ、時々だけど会えた時は、あの人の様になりたいと思った」


夕日に赤く染ったエドの顔が、私を見詰めて顔を歪ませる。


「いつの間にかアスラン公爵も味方にして、国王陛下とランスロット兄上を説き伏せる姿は圧巻だった」


今にも泣きそうな表情で、再びエドが窓の外に目を向けた。


「あんなの見せられたら、諦めるしかないじゃないか。でも”おめでとう”だなんて、今は言えない。それでも、もう気持ちを押し付けたり、無理矢理キスをする様なことは、もう絶対にしない」


それだけ言うと、エドは帰って行きました。


入れ替るようにオースティン様が教室に入っ来ると、何も言わずに私を抱きしめた。


しばらく抱きしめ合っていました。
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