婚約者をNTRた公爵令嬢が悪役だと誰が決めた?!!

月夜の庭

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弓弦と結婚しない場合も書いてみた

理事長の義弟編***ここから糖度少なめ

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オースティンと再会すること無く高校生になった私は、養護教諭の大杉先生とすれ違った時に彼だと分かった。


でも薬指の指輪が見え、私は忘れる事を決心した。


大杉先生も私に気が付いたけど、私は泣きながら「全て夢だったんです」と追いすがりそうな彼を制して、私達の恋を終わらせた。


「私はオースティンを、ずーっと探していました。でも貴方は違った。今の貴方に触れられたくありません」


「待ってくれ。リリー違うんだ」


「何も違いません。貴方は会いに………迎えに来てはくれなかった。それが私の想いに対する答えなのだと受け止めます。もう気安くリリーと呼ばないで下さい………大杉先生」


私の腕を掴んだ手を振り払い、大好きだった人の頬を張り倒した。


バチンと音が響いて、ビックリした顔で大杉先生が私を見ていた。


「私に触らないで」


「リリアーヌ」


「今はリリアーヌじゃないのにね。既婚者の教師がみっともない。まさか生徒を愛人にしないよね?女子高で生徒に手を出すなんて、浮気なら許されるなんて思って無いよね?」


男の子の声が聞こえてきて振り向くと、同じ女子高の黒いセーラー服を身に付けた、ショートカットの美少女が立っていました。


初対面なのに、彼女が誰だか分かったけど、私の頭の中はパニック状態でした。


ジャスパーやお母さんみたいに性別が違った人が、もう一人いたのかと思っていました。


「義兄の悪ノリに付き合わさせてる時に、学校で養護教諭が女子生徒に張り倒される場面に遭遇するなんて思って無かったよ」


「ゼロは女の子だったの?」


ニッコリ微笑みながら無言で私の腕を引き寄せ、背中に庇ってくれる。


「浮気なら他を当たりなよ………変態教師」


「違う!この指輪は「お前が3年も彼女を放置した事実は変わらない。心変わりする彼女を引き留めて非難する資格は、お前には無い!」」


私はゼロの後ろ姿を見ながら、これが女装だと気が付いた。


可愛くて似合っていたけど、小さな喉仏と大きな手が男だと教えてくれる。


「3年も放置しておいて、目の前のに可愛い彼女が現れたからって手を出すなんて、都合良すぎだろ。男として最低だし、女子高の養護教諭としては最悪だな。もしかして他の女子生徒にも”前世で恋人同士だった”とか言って愛人にしてるんじゃないか?って疑われても不思議じゃない状況だよな」


私はゼロに手を引かれ、その場を去りました。


リリアーヌを呼ぶ声がしたけど、私は聞こえない振りをして無視した。


だって、私はもうリリアーヌじゃないから。


「なんで女装してるの?えっと………ゼロ?」


「今は聡だよ。花柳聡」


「あれ?花柳って理事長先生と同じ名字」


「母が前花柳理事長の息子と再婚して、昨日から就任した花柳真琴の義弟になったんだ。学校に呼びたされたと思ったら”似合いそうだから”とか言ってセーラー服を渡されたんだ」


廊下を手を繋ぎながら歩いている。


誰も居ない廊下は静かで、声がよく聞こえる。


「女子高を教師でも無い男が闊歩する訳にはいかないって無理矢理に女装させられたんだ。服を奪われ理事長室から追い出されて、途方に暮れながら廊下を歩いていたらリリアーヌがオースティンと揉めてたんだ」


「今は百合よ」


立ち止まって振り返る聡くんが、優しく微笑んだ。


「知ってる」


「あの」


「ずーっと百合を見ていたから知ってる」


「ずっと?」


「可愛いなぁ~って見ていた」




真っ直ぐ見詰める聡くんが、ゆっくり近づき額にキスをした。


「僕と違って恋人同士記憶が有るのに百合を3年も放置する怠慢男なんか止めて、僕と付き合って下さい」


「今………失恋したばかりなのに」


「ならフリーだよね?」


「うん」


「卑怯だと言われるかもだけど、大杉先生を振り切るなら彼氏の存在は必要だよ。僕にしなよ。大好きなんだ。他の男には譲れない」


「………はい」


「やっぱ…………ん?………はい?今”はい”って言った?!」


興奮気味に聞き返されたので、赤くなる顔を隠しながらコクリと頷いてみた。


「良いの?百合は僕の彼女になってくれるの?」


「うん」


「………………ヤッタ」


ギューって抱き締められた。


「前言撤回させないから」


「しないわ」


「やっぱり嘘とか」


「言わない」


「………チューしていい?」


「ダメ」


「なんで?セーラー服着た男だから?まだ大杉先生が好きなのか?」


フルフルと首を横に振る。


「こんな廊下の真ん中じゃダメ」


「廊下じゃ無ければしていいの?」


「………うん」


私の手を引いて早足で歩き出した後ろ姿を見ながら、顔が火照るのを感じていました。


まだ入学式まで日にちがあるので、他の学年の生徒達は春休み中の静かな学校の校長室に来ていました。


8畳ほどのスペースに机と応接セットのみの簡単に作りの部屋で、校長先生の椅子に座るセーラー服姿の聡くんの膝の上に座らされながら、何度もキスをしていました。


「この校長室は使われてないんだ」


前の理事長先生が病院に入院した時に、一時的に校長先生が赴任したらしく、この校長室はその名残だそうです。


「鍵は僕しか持ってないんだ」


そして、またキスをする。


「今更だけど大杉先生はいいの?本当に僕と恋人になってくれるの?」


「本当は聡くんが、私を好きなのは、なんとなく知ってたの。何度か花菜と話していたでしょう?その後に1度だけ”もうオースティンなんて忘れなよ。いつまでも会いにこない不甲斐ない男よりも、自分を好きになってくれる人と幸せになるのも選択肢の1つだよ”って聡くんを指さしたの。それからは………聡くんの事が気になっていたの。まだ名前も知らなかったし、百合として話したことも無いけど………聡くんが私を見ている視線にドキドキしていたの」


「百合」


「私も好きだったと思う」


「今は?」


「嫌ならキスしないし、抵抗もするわ」


「あぁエドが目撃したランスロット・グーパンチ事件なんてあったね」


「なんで知って…………え?エドが目撃したの?」


「リリアーヌの婚約者から外されて納得していなかったエドが、公爵家の屋敷に忍び込んで、セクハラにグーパンチして抵抗するリリアーヌの姿を目撃したって興奮気味に聞かされたから。ゼロの時も口では嫌がるのに抵抗しないから、調子に乗ってキスしていたんだ」


「嫌じゃ無かったから、余計に困っていたの」


「好きだ」


「私も好き………多分」


「可愛い」


吸い寄せられる様に唇を合わせる。


恋人同士の時間は始まったばかりです。
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