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幸せだと知って
しおりを挟む「ごめんね、やっぱ怖い? やめておこうか」
「ううん、大丈夫」
「ありがとう、痛かったらすぐ言ってね」
瀧川くんは私の頭を撫でながら額に優しくキスを落とした。
「篠宮さん、愛してるよ」
「……んっ!!」
処女ではないけどもう8年以上シてないし、こんなに大きいのは初めてだから、じんわり拡げられてる感覚がして痛い。でも、我慢できないほどの痛さではないし、ちゃんと瀧川くんを受け入れなくちゃ、上手くやらなくちゃってほうの気持ちが先行して焦っちゃう。お願いだから、早く全部入って──。
「篠宮さん、痛いよね」
「大丈夫だからっ、はやく……っ」
痛みで全身に力が入っちゃってガチガチになってるし、顔なんてきっと歪んでる。瀧川くんは優しいから何も言わないし表情にも出さないけど、瀧川くんだってこんな狭いの痛いと思う。
「瀧川くんごめん……っ、痛い?」
「俺は大丈夫だよ、篠宮さんこっちに集中して?」
唇を重ねて絡め合って、優しく撫でながら丁寧に触れてくる瀧川くん。
「……っ、篠宮さん大丈夫?」
触れる手も気遣いも何もかも怠らない瀧川くんはどこまでも優しくて、私を丁重に扱ってくれるから胸の高鳴りが止まらない。
そんな瀧川くんを早く受け入れたい──。
「……っ、大丈夫だから……お願い」
「分かった。無理だったら遠慮なく殴って」
── 瀧川くんとひとつになれた。
なんでか分かんないけど、涙が溢れて止まらない。誰かと繋がるってこんなにも幸せな気持ちになるだなんて、私は知らなかった。
「全部入ったよ、ありがとう篠宮さん……って、えっ、ちょ、どうしたの? なんで泣いてるの!? 痛い!? 痛いよね、ごめん! そんなに痛い!? ごめんね、抜く? 抜こうか!? 抜くよ!?」
瀧川くんがこんなふうにテンパるのも私を想ってのことだと思うと、それがとても嬉しい。
「いや、違う、抜かないで! ごめんね? なんだろう。気持ちが溢れ出したっていうか……あの、瀧川くん。恥ずかしいからそんなまじまじ見ないで?」
恥ずかしくなって両手で顔を隠すと、その手を取ってニコッと微笑む瀧川くんと目が合った。
「可愛すぎ。ごめん篠宮さん、もういい? 痛かったり、どうしても止めてほしかったら殺す勢いで止めてね。じゃないと俺、止まんないから」
「……!!」
少し痛いし苦しい、圧迫感もすごい。それでも瀧川くんと繋がれたことが嬉しくて、心も体もたくさん満たされていく。軋むベッドの上で乱れる私たち、そして痛みは徐々に快感へと変わっていく──。
「……っ、篠宮さん……痛くない?」
「んっ、痛くないっ……」
── 私たちは何度も何度も体を重ねた。
「……っ、篠宮さんまだイける?」
「もうっ、無理!」
「ええ? 篠宮さん可愛いんだもん、興奮が収まんないや。ごめん、まだ足んない。悪いけど、もう少し付き合って?」
少し目を細めて私を見下ろしてる瀧川くんの瞳は、艶っぽくてギラギラしていた。これは完っっ全に肉食系男子の瞳だ。結局、そんな瀧川くんから逃げれるはずもなく──。
「もうっ、無理……おかしくっ、だめっ」
「っ、おかしくなっちゃいそう? いいよ、なりなよ。俺を見て、俺を感じて、俺に溺れればいい。俺がもっと篠宮さんに気持ちいいこと教えてあげるからね」
── 瀧川くんにたくさん愛されて意識が朦朧としてきた。セックスがこんなにも幸せな気持ちにさせてくれるんだなんて…… ゆっくり目を閉じると、私を呼ぶ瀧川くんの声が聞こえてきた。けど、目蓋を上げる力さえもう残ってない。ここで私の意識はプツリと切れた。
と目が覚めると、瀧川くんに後ろから抱き包まれているように寝ていた私。少し開いたカーテンの隙間から差し込む光が朝っぽい、今何時だろう。
ていうか私、全裸だし。
本当に瀧川くんとシちゃったんだ……そう思ったらボンッと顔が熱くなって火照る。後ろにいる瀧川くんを起こさないようにそーっと抜け出して、ベッドから立ち上がろうとした時──。グッと後ろへ引っ張られて、そのまま布団の中へ引きずり込まれた。
「ひゃあっ!?」
「おはよう、篠宮さん」
なぜか私の上に跨がって、ニコッと爽やかな笑みを浮かべている瀧川くん。
「お、おはよう。瀧川くん」
「どこへ行くの?」
「どこへって……服着ようかなって」
「うーん、まだ着る必要はないよ?」
「え?」
「この意味、篠宮さんに分かるかな?」
ニコニコっていうかニヤニヤっていうか、とにかく色っぽい瞳で見下ろしてくるのはやめて。こんなの、嫌でも分かっちゃうから!
「た、瀧川くん? あの、もうシないから……ね?」
「ん?」
とぼけた顔をして聞こえてないふりをする瀧川くんは、私の頭を撫でながら『シよ?』って目で訴えかけてくる。瀧川くんってもしかしなくてもタフだよね? 間違えなく。というか、絶倫……? だったら物足りなかったかな? 私とのセックス。瀧川くんは普段どんな人とシてるんだろう……きっと、たくさん経験してきたんだろうな、私とは違って。
なんか、少しだけモヤモヤする。
「ごめん、瀧川くん。満足できなかった?」
「え? いや、そういうことじゃないよ。なんて言えばいいのかな、説明が難しいけど……まあ、うん。俺、篠宮さんに関してはヤバいかもしれない。欲しくて欲しくてたまらないんだ」
『篠宮さんに関しては』ってことは、私“だけ”ってことかな? そうだと嬉しいな、なんて思ってる私もどうかしてる。瀧川くんが欲してくれるのなら、私はこの身を捧げていいと思ってしまう。本当にどうかしてるよ、私。大丈夫かな?
「ごめん、篠宮さんの嫌がることはしないって言ったくせにがっつきすぎだよね。一度でもいいからって願ってたはずなのに、一度味わっちゃうと何度も何度も欲しくなっちゃうな、篠宮さんのこと。欲張りすぎかな、俺。本当にかっこ悪いね」
「瀧川くんはかっこ悪くなんかないよ? 私も何度も何度も瀧川くんのぬくもりを求めちゃったし、そこはお互い様なんじゃないかな」
恥ずかしい、なに言ってるの私は。
「……篠宮さん、君って本当に可愛すぎ」
今にも食らいついて来そうな瀧川くんからシュルッと抜け出して服を着ようとした……ら、瀧川くんに変なスイッチが入っちゃったみたいで──。
「離れないで、俺の傍にいてよ」
んーっと、離れないし傍にもいるけど、まずは全裸の私を何とかさせてくれないかな?
「……いや、あの、とりあえず服を着たいだけなんだけどぉ……?」
「ほら、しっかり俺を見て? 一生忘れないようにその綺麗な瞳に焼き付けてよ」
あーうん、しっかり見てるし瀧川くんを忘れることはおそらくないと思うけど?
「うん、大丈夫だから……ね? 服着させっ」
「俺がいなきゃ生きられないように溺れさせたい」
えーっと、なんでこんな大袈裟なことになってるのかな? 瀧川くんって結構甘え坊さんだったりする? ちょっとヤンデレ気質っぽいなーとは思ってたけど、わりと重症?
「……いや、あのだから、服を着たいだけなのっ!?」
私を逃がさないよう、ベッドに押し倒して上に跨がってきた瀧川くん。そのまま私の頬を優しく掴んで、チュッと音を立てながら角度を何度も変えて、触れるだけのキスを落としてくる。
「ごめん、篠宮さん。愛してる」
そう言うと瀧川くんが私の頭に手を回して、唇を深く重ねてきた。瀧川くんとこんなえっちなキスしちゃったら、体の芯が疼いて我慢できなくなっちゃう……!
「ん、瀧川くん……だめっ」
「そんな蕩けた顔して俺を誘ってる? イケナイ子だなぁ……本当に可愛いね、篠宮さんは。たっぷり可愛がってあげるよ」
結局、朝から何度も体を重ね合ってしまった。この“幸せ”を知ってしまったら当分……いや、一生抜け出せないのかもしれない──。
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