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「幻を追い求めて2」13話
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「幻を追い求めて2」13話
「あれは何だ?まさか付き合ったのか?」
「いえ、違うと思います。」
車のフロントドアガラスから目を凝らしながら竹田長は訝しげに黒いショートパンツの女性を見ていた。
「会食の時間が近いので、もう切り上げますよ。」
「ちょっと待ってくれ。もう少しイッチーの顔を拝ませてくれ。」
「駄目です。」
長は運転席に座る眼鏡をかけた男を徐に睨んだ。
「最近、厳しいんじゃないか、大瑠璃。」
眼鏡の男は構わずエンジンをかける。
「私はあなたと遊んでるんじゃありません。秘書の仕事をしているだけです。」
長はわざとらしく膨れっ面をした。
「さっきの女性ならまだしも、良い歳をした大人がやめてください。全く可愛くありません。」
長はため息をついてフロントドアガラスから景色を眺めた。街路樹が勢いよく通り過ぎて行く為、ぼやけてはっきりと形を認識できない。
それくらい、竹田一壱との関係性は形のないものだった。
長は幼い頃、一壱が苦手だった。一壱が生まれた時点で長はただでさえ焦りを感じていたが、それに加えて一壱は長より五歳年下にも関わらず、幼子とは思えない程のどこか貫禄のある風情を持っていたのだ。
長は困った。ここで長が一壱を突き放そうものなら、しっぺ返しを受けるのは自分だということを長は察していた。自分が得することは一切無いだろう。
その為、仕方なく長は自分に人懐っこくついてくる一壱の遊び相手をした。
仕方なくと言っても長も年端もいかない子ども。一壱の遊び相手をするのは楽しかった。
しかし、そんなある日、事件が起きた。一壱とバドミントンをした際に木に引っかかったシャトルを長が取ろうとした際、誤って落ちてしまったのだ。
盛大に尻餅をついた為、お尻と腰が痛かったが、顔を上げると皆、一壱を囲んでいた。
一壱だけこちらを心配そうに目を潤ませて見ていた。
長は居た堪れなくなり、縁側の方へ歩いて行った。
正直言うと、長はこの状況を恨めしく思った。
どうにかして親からの視線を集めなければと焦燥感に駆られた。
ただでさえ、この家に来た時から長の立場は微妙だった。両親に歓迎されてはいるが、どこか余所余所しい態度だったのはよく覚えている。
そんな中、自分より優秀な、しかも実子が現れればそりゃ長の立場はより悪くなる。焦った長はたくさん勉強した。一壱より良く目立たなければ、とあの時は必死だった。
信号が赤になったので車は一度停止する。先ほどまで原型を留めていなかった街路樹がハッキリ見えた。
すると、街路樹の枝と枝の間からヒヨドリが顔を出してきた。クリクリした丸い瞳のすぐ下の茶色い頬が目立つ。
「可愛いな。」
長は小さく呟いた。
俺はそう思う相手に酷いことをした。
長はポケットからスマホを取り出して電源をつける。そこにはチャットの通知が一つ届いていることに気づいた。
「あれは何だ?まさか付き合ったのか?」
「いえ、違うと思います。」
車のフロントドアガラスから目を凝らしながら竹田長は訝しげに黒いショートパンツの女性を見ていた。
「会食の時間が近いので、もう切り上げますよ。」
「ちょっと待ってくれ。もう少しイッチーの顔を拝ませてくれ。」
「駄目です。」
長は運転席に座る眼鏡をかけた男を徐に睨んだ。
「最近、厳しいんじゃないか、大瑠璃。」
眼鏡の男は構わずエンジンをかける。
「私はあなたと遊んでるんじゃありません。秘書の仕事をしているだけです。」
長はわざとらしく膨れっ面をした。
「さっきの女性ならまだしも、良い歳をした大人がやめてください。全く可愛くありません。」
長はため息をついてフロントドアガラスから景色を眺めた。街路樹が勢いよく通り過ぎて行く為、ぼやけてはっきりと形を認識できない。
それくらい、竹田一壱との関係性は形のないものだった。
長は幼い頃、一壱が苦手だった。一壱が生まれた時点で長はただでさえ焦りを感じていたが、それに加えて一壱は長より五歳年下にも関わらず、幼子とは思えない程のどこか貫禄のある風情を持っていたのだ。
長は困った。ここで長が一壱を突き放そうものなら、しっぺ返しを受けるのは自分だということを長は察していた。自分が得することは一切無いだろう。
その為、仕方なく長は自分に人懐っこくついてくる一壱の遊び相手をした。
仕方なくと言っても長も年端もいかない子ども。一壱の遊び相手をするのは楽しかった。
しかし、そんなある日、事件が起きた。一壱とバドミントンをした際に木に引っかかったシャトルを長が取ろうとした際、誤って落ちてしまったのだ。
盛大に尻餅をついた為、お尻と腰が痛かったが、顔を上げると皆、一壱を囲んでいた。
一壱だけこちらを心配そうに目を潤ませて見ていた。
長は居た堪れなくなり、縁側の方へ歩いて行った。
正直言うと、長はこの状況を恨めしく思った。
どうにかして親からの視線を集めなければと焦燥感に駆られた。
ただでさえ、この家に来た時から長の立場は微妙だった。両親に歓迎されてはいるが、どこか余所余所しい態度だったのはよく覚えている。
そんな中、自分より優秀な、しかも実子が現れればそりゃ長の立場はより悪くなる。焦った長はたくさん勉強した。一壱より良く目立たなければ、とあの時は必死だった。
信号が赤になったので車は一度停止する。先ほどまで原型を留めていなかった街路樹がハッキリ見えた。
すると、街路樹の枝と枝の間からヒヨドリが顔を出してきた。クリクリした丸い瞳のすぐ下の茶色い頬が目立つ。
「可愛いな。」
長は小さく呟いた。
俺はそう思う相手に酷いことをした。
長はポケットからスマホを取り出して電源をつける。そこにはチャットの通知が一つ届いていることに気づいた。
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