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「幻を追い求めて2」26話
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「幻を追い求めて2」26話
大瑠璃と共に再び白い引き戸の前に立ち、一壱はゆっくり引いた。
「やあ。嬉しいなぁ。また来てくれたのかい?イッチー。」
「やめろよ、その呼び方。」
いつもは七三に分けられた髪型も、今は崩され、どこか若く感じられる。
「大瑠璃が裏でこっそり呼ぶのはおかしいって言われたから、堂々と呼ぶことに決めたんだ。」
「私のせいみたいに言わないで下さい。」
大瑠璃が大きなため息をつくと花束を花瓶に綺麗に入れ始めた。
「父さんと母さんは?」とコートを脱ぎながら一壱は大瑠璃に尋ねる。
「奥様はもう少しで来られるかと。会長は仕事がひと段落つけば、またお見舞いに来るそうですよ。」
「そっか。」
ベッドから上半身起こしている男は微笑んでこちらを見ていた。
「それにしたって、なんで俺を社長補佐にするって話、俺より先に両親が知ってるわけ?順番おかしいと思うんだけど。」
男は罰が悪そうに首を掻いた。
「実を言うと、父さんと母さんもお前の様子を心配していたし、反省もしていたんだ。あの時の自分たちの対応は大人気なかった、とか。」
一壱は目を丸くした。
「それで、一度両親と腹を割って話したところ、今回の俺の提案も快く受け入れてくれたんだ。」
「なんか、俺別に反抗期とかじゃないのに仲間外れにされてる気がするんだけど。」と態と頬を膨らませた一壱を見て慌てて男は否定した。
「仲間外れにする気は無かったんだ!ただ、両親に会社のことを話すよりも、一壱を説得する方が、」と途端に先程まで勢い良く話していた男の口は歯切れが悪くなり、次第にボソボソと話し始めた。
「難易度が、高い、かなぁって思って。」
「だから言ったじゃありませんか。早く伝えておいた方がいいと。」と大瑠璃はため息をつく。
だが一壱にとって男の言葉はどうも的を射ているようで、一壱はそれ以上話を広げられなかった。今までのことを振り返ると、一壱が男の提案に簡単に頷かなかったのは自分が一番自覚していたからだ。
結論を述べると、竹田長は生きていた。正直、泣き損だと一壱は思っている。
「それにしても、」と言って長はベッド横にあるキャビネットの上を指差す。
「まさか、これが助けてくれるとはね」
肝心の顔の部分には穴が出来ていて判別出来ないのに、なぜか鳥は笑っているように見えた。一壱は片眉を上げて聞く。
「なんで、こんなのが内ポケットに入ってたんだよ。」
「あの日、どうしても直接お前に渡したかったし、謝りたかったんだ。」
長はドリルを手に持ち、懐かしそうにそれを眺めた。本来なら、一壱に嫌がらせをしたという意味では良い代物では無いはずなのだが、長は微笑んでいた。
「この鳥、結構好きだったんだけどなあ。」とぽっかり空いた穴の部分を長は撫でる。
「新しく買い替えた方がいいかい?」
「いや、いいよ。俺は、そのドリルを返して欲しかったんだ。」
一壱はそっとドリルに手を触れ、長からドリルを受け取った。
「おかえり。」と一壱は優しく鳥の顔を撫でた。
大瑠璃と共に再び白い引き戸の前に立ち、一壱はゆっくり引いた。
「やあ。嬉しいなぁ。また来てくれたのかい?イッチー。」
「やめろよ、その呼び方。」
いつもは七三に分けられた髪型も、今は崩され、どこか若く感じられる。
「大瑠璃が裏でこっそり呼ぶのはおかしいって言われたから、堂々と呼ぶことに決めたんだ。」
「私のせいみたいに言わないで下さい。」
大瑠璃が大きなため息をつくと花束を花瓶に綺麗に入れ始めた。
「父さんと母さんは?」とコートを脱ぎながら一壱は大瑠璃に尋ねる。
「奥様はもう少しで来られるかと。会長は仕事がひと段落つけば、またお見舞いに来るそうですよ。」
「そっか。」
ベッドから上半身起こしている男は微笑んでこちらを見ていた。
「それにしたって、なんで俺を社長補佐にするって話、俺より先に両親が知ってるわけ?順番おかしいと思うんだけど。」
男は罰が悪そうに首を掻いた。
「実を言うと、父さんと母さんもお前の様子を心配していたし、反省もしていたんだ。あの時の自分たちの対応は大人気なかった、とか。」
一壱は目を丸くした。
「それで、一度両親と腹を割って話したところ、今回の俺の提案も快く受け入れてくれたんだ。」
「なんか、俺別に反抗期とかじゃないのに仲間外れにされてる気がするんだけど。」と態と頬を膨らませた一壱を見て慌てて男は否定した。
「仲間外れにする気は無かったんだ!ただ、両親に会社のことを話すよりも、一壱を説得する方が、」と途端に先程まで勢い良く話していた男の口は歯切れが悪くなり、次第にボソボソと話し始めた。
「難易度が、高い、かなぁって思って。」
「だから言ったじゃありませんか。早く伝えておいた方がいいと。」と大瑠璃はため息をつく。
だが一壱にとって男の言葉はどうも的を射ているようで、一壱はそれ以上話を広げられなかった。今までのことを振り返ると、一壱が男の提案に簡単に頷かなかったのは自分が一番自覚していたからだ。
結論を述べると、竹田長は生きていた。正直、泣き損だと一壱は思っている。
「それにしても、」と言って長はベッド横にあるキャビネットの上を指差す。
「まさか、これが助けてくれるとはね」
肝心の顔の部分には穴が出来ていて判別出来ないのに、なぜか鳥は笑っているように見えた。一壱は片眉を上げて聞く。
「なんで、こんなのが内ポケットに入ってたんだよ。」
「あの日、どうしても直接お前に渡したかったし、謝りたかったんだ。」
長はドリルを手に持ち、懐かしそうにそれを眺めた。本来なら、一壱に嫌がらせをしたという意味では良い代物では無いはずなのだが、長は微笑んでいた。
「この鳥、結構好きだったんだけどなあ。」とぽっかり空いた穴の部分を長は撫でる。
「新しく買い替えた方がいいかい?」
「いや、いいよ。俺は、そのドリルを返して欲しかったんだ。」
一壱はそっとドリルに手を触れ、長からドリルを受け取った。
「おかえり。」と一壱は優しく鳥の顔を撫でた。
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