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「ちゃんちゃら」34話
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「ちゃんちゃら」34話
雫と大知は家には泊まらず、実家に帰ることにしたようだ。大原が実家に車で送ることになったので、大原がガレージへ向かい、海斗たちは玄関の前で待機していた。
数時間前に雨が降ったからか、地面はまだ柔らかく、コンクリートも湿っていた。その代わり、星がはっきり見え、天体観測に向いた空になっていた。
「ねぇ、大地お兄ちゃんは、海斗お兄ちゃんと付き合ってるの?」
突然、大知が大地の裾を引っ張り訊ねる。思わず咽せそうになったが、いつもの冷静な顔を急いで取り繕って答えた。
「いや、これからだ。」
「ふーん。頑張りなよ。」
小学生に上から目線のアドバイスをされ、眉が吊り上がりそうになったが、我慢した。すると、今度は大地を小突き、悪戯っ子の表情をしていた。
「大原が送る間に告白しなよ。」
ーまた何を言っているんだ、この子どもは。告白は既にしているんだ。みっともないやり方になったけどな。ただ、今は恋愛している場合じゃなくて。
ここまで考えて、大地は海斗との関係性に発展はなにも見当たらないことに気づいた。海斗は自分をどう思っているのだろう。考えれば、海斗は周りの人間と仲が良くなっていくばかりで、自分は全く良いところを見せれていなかった。
客室にある黒い金庫が頭を過る。そんな大地の気持ちなど知りもしない大知は大地の顔を見て何やらニヤニヤしていた。
大地がなにか大知と話をしているのを見て海斗は微笑ましく思っていた。大地からあまり大知の話を聞いたことがなかったので仲が悪いのかと思っていたが、そうではないのかもしれない、と考えていると、雫が海斗に声を掛けてきた。
「ねぇ、二人は番になったんでしょ?海斗くんは大丈夫なの?」
海斗は茫然と聞き返す。
「大丈夫なのって?」
「え?番になると相手の匂いとかスキンシップがないとΩは落ち着かなくなることもあるでしょ。大地くん、これから本格的に働くからちょっと心配にならない?」
海斗はそういえば似たような話を南雲先生にされたことを思い出した。しかし、自分の身体に全くそんな気配がなかったので小首を傾げるしかなかった。その様子を見て雫は仰天する。
「えー!まあ、自分がΩだって気づかないくらいだもんね。ヒートの経験も無いだろうし。本当に海斗くんってフェロモン薄いんだね。」とまじまじと海斗を見ている。そう言われるとなんだか不安になってきている海斗を見て雫は慌てて肩に手を置いた。
「でも、Ωだとそれが煩わしいことが多いから俺は羨ましいよ。でも、もしものことも考えて、なにか大地くんの持ち物とか部屋に置いておくといいよ。」
海斗は唸った。大地に態々それを頼むのもなんだか気恥ずかしいという気持ちと、どこか遠い、今までと全く違うカタチになってしまったような、そんな不安感を覚えた。
雫と大知は大原が家の前に停めた車へこちらへ手を振りながら乗車していった。二人の笑顔を見て、今まで感じていた孤独感のようなものが小さくなっていくのを海斗は感じていた。横を見ると、どこか大地も安心した様子で見送っているのを見て、海斗自身も安心していた。
二人が横に並んで立つのは久しぶりのはずなのに、どこか初々しく感じた。
雫と大知は家には泊まらず、実家に帰ることにしたようだ。大原が実家に車で送ることになったので、大原がガレージへ向かい、海斗たちは玄関の前で待機していた。
数時間前に雨が降ったからか、地面はまだ柔らかく、コンクリートも湿っていた。その代わり、星がはっきり見え、天体観測に向いた空になっていた。
「ねぇ、大地お兄ちゃんは、海斗お兄ちゃんと付き合ってるの?」
突然、大知が大地の裾を引っ張り訊ねる。思わず咽せそうになったが、いつもの冷静な顔を急いで取り繕って答えた。
「いや、これからだ。」
「ふーん。頑張りなよ。」
小学生に上から目線のアドバイスをされ、眉が吊り上がりそうになったが、我慢した。すると、今度は大地を小突き、悪戯っ子の表情をしていた。
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ーまた何を言っているんだ、この子どもは。告白は既にしているんだ。みっともないやり方になったけどな。ただ、今は恋愛している場合じゃなくて。
ここまで考えて、大地は海斗との関係性に発展はなにも見当たらないことに気づいた。海斗は自分をどう思っているのだろう。考えれば、海斗は周りの人間と仲が良くなっていくばかりで、自分は全く良いところを見せれていなかった。
客室にある黒い金庫が頭を過る。そんな大地の気持ちなど知りもしない大知は大地の顔を見て何やらニヤニヤしていた。
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「ねぇ、二人は番になったんでしょ?海斗くんは大丈夫なの?」
海斗は茫然と聞き返す。
「大丈夫なのって?」
「え?番になると相手の匂いとかスキンシップがないとΩは落ち着かなくなることもあるでしょ。大地くん、これから本格的に働くからちょっと心配にならない?」
海斗はそういえば似たような話を南雲先生にされたことを思い出した。しかし、自分の身体に全くそんな気配がなかったので小首を傾げるしかなかった。その様子を見て雫は仰天する。
「えー!まあ、自分がΩだって気づかないくらいだもんね。ヒートの経験も無いだろうし。本当に海斗くんってフェロモン薄いんだね。」とまじまじと海斗を見ている。そう言われるとなんだか不安になってきている海斗を見て雫は慌てて肩に手を置いた。
「でも、Ωだとそれが煩わしいことが多いから俺は羨ましいよ。でも、もしものことも考えて、なにか大地くんの持ち物とか部屋に置いておくといいよ。」
海斗は唸った。大地に態々それを頼むのもなんだか気恥ずかしいという気持ちと、どこか遠い、今までと全く違うカタチになってしまったような、そんな不安感を覚えた。
雫と大知は大原が家の前に停めた車へこちらへ手を振りながら乗車していった。二人の笑顔を見て、今まで感じていた孤独感のようなものが小さくなっていくのを海斗は感じていた。横を見ると、どこか大地も安心した様子で見送っているのを見て、海斗自身も安心していた。
二人が横に並んで立つのは久しぶりのはずなのに、どこか初々しく感じた。
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