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「ちゃんちゃら」83話
「ちゃんちゃら」83話
「それで?子どもの名前は何にしたの?」
南雲先生がエコー写真を眺めながら訊ねてくる。
「ずっと空で待ってくれてるって、俺が勝手に思ってるんですけど」
「良いじゃない。」
「待て待て。俺もそう思ってるって」
海斗と南雲先生の会話に大地が割り込む。
「だから、二人で想空(そら)って名前に決定したんだろっ」
「それで、お寺にはもう行ってきたの?」
二人は顔を見合わせてから微笑んだ。南雲先生はまたエコー写真を見ながら悪戯っぽく笑う。
「ひょっとして、もうこの子の名前も決めたの?」
「いえ、まだです。」
海斗が堪えきれなかったのかクスクス笑い出す。
「大地、こだわり強いから時間掛かると思うんですよね。」
「そりゃ悩むだろう!画数とか計算して」
「分かった、分かったってば。」
興奮気味の大地の両肩を押さえる海斗。そんな二人の様子を南雲先生はニコニコと眺める。
「じゃあ、妊娠届、ちゃんと提出して、夫子手帳もらうんだよ。それで、次の健診のスケジュールなんだけど」
南雲先生の説明を海斗たちは前を向いて聞いている。そこに後悔の念など微塵にも感じられなかった。
南雲先生は窓から覗いて手を繋ぎながら歩く二人の夫夫の様子を頬杖をつきながら眺めていた。近くで咲き乱れる桜がまるで二人の門出を祝っているようだった。
「この間、色々あった二人ですよね、あの夫夫。」
南雲先生が後ろを振り返ると、一人の看護師が診察室に顔を出してこちらを伺っていた。
「あんなことがあったのに、もう妊娠するなんてねぇ」
顎に手を当てている看護師はまるで自分には真似できないと言わんばかりの表情をしていた。
すぐ隣の待合室にあるテレビから、聞き覚えのある音楽が流れてくる。去年流行ったドラマの音楽だった。春に人気があったドラマの特別編を放送するのはよくあることだ。
南雲先生は笑いながら次の患者の診察の準備を始める。
「良いじゃないか。恋愛も結婚も妊娠、出産も。ちゃんちゃらおかしいことばっかりだよ。だからこそ」
窓の外に桜の花びらがゆっくり舞った。
「自分たちが幸せだと思う道を一生懸命考えて選ぶんじゃないか。」
外では小雨が降り始める。一人の男はすぐに折り畳み傘を取り出し、隣に歩く男の上に差し出す。それを見て男は笑みを浮かべる。また微妙に緩んでいるチャックからあの水色のテディベアが笑いながら顔を出していた。
「それで?子どもの名前は何にしたの?」
南雲先生がエコー写真を眺めながら訊ねてくる。
「ずっと空で待ってくれてるって、俺が勝手に思ってるんですけど」
「良いじゃない。」
「待て待て。俺もそう思ってるって」
海斗と南雲先生の会話に大地が割り込む。
「だから、二人で想空(そら)って名前に決定したんだろっ」
「それで、お寺にはもう行ってきたの?」
二人は顔を見合わせてから微笑んだ。南雲先生はまたエコー写真を見ながら悪戯っぽく笑う。
「ひょっとして、もうこの子の名前も決めたの?」
「いえ、まだです。」
海斗が堪えきれなかったのかクスクス笑い出す。
「大地、こだわり強いから時間掛かると思うんですよね。」
「そりゃ悩むだろう!画数とか計算して」
「分かった、分かったってば。」
興奮気味の大地の両肩を押さえる海斗。そんな二人の様子を南雲先生はニコニコと眺める。
「じゃあ、妊娠届、ちゃんと提出して、夫子手帳もらうんだよ。それで、次の健診のスケジュールなんだけど」
南雲先生の説明を海斗たちは前を向いて聞いている。そこに後悔の念など微塵にも感じられなかった。
南雲先生は窓から覗いて手を繋ぎながら歩く二人の夫夫の様子を頬杖をつきながら眺めていた。近くで咲き乱れる桜がまるで二人の門出を祝っているようだった。
「この間、色々あった二人ですよね、あの夫夫。」
南雲先生が後ろを振り返ると、一人の看護師が診察室に顔を出してこちらを伺っていた。
「あんなことがあったのに、もう妊娠するなんてねぇ」
顎に手を当てている看護師はまるで自分には真似できないと言わんばかりの表情をしていた。
すぐ隣の待合室にあるテレビから、聞き覚えのある音楽が流れてくる。去年流行ったドラマの音楽だった。春に人気があったドラマの特別編を放送するのはよくあることだ。
南雲先生は笑いながら次の患者の診察の準備を始める。
「良いじゃないか。恋愛も結婚も妊娠、出産も。ちゃんちゃらおかしいことばっかりだよ。だからこそ」
窓の外に桜の花びらがゆっくり舞った。
「自分たちが幸せだと思う道を一生懸命考えて選ぶんじゃないか。」
外では小雨が降り始める。一人の男はすぐに折り畳み傘を取り出し、隣に歩く男の上に差し出す。それを見て男は笑みを浮かべる。また微妙に緩んでいるチャックからあの水色のテディベアが笑いながら顔を出していた。
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