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「ちゃんちゃら」番外編8話
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「ちゃんちゃら」番外編8話
「すみません。待ったっすか?」
空島の言葉に鳥舟は首を振る。
「いいや。今日は付き合ってくれてありがとう。」
鳥舟は薄手のジャケットを羽織ってカジュアルな服装をしていた。遠くから見てもスポーツマンのように引き締まった体なのは分かった。
「本当に良かったんすか?お詫びの内容がただの散歩の付き添いで。」
鳥舟は柔らかく笑いながら頷く。
「うん。いつも一人でブラブラしてるからね。たまには人と関わって刺激が欲しいんだよ。書くネタになるからね。」
「ネタ?」
鳥舟が歩き出したので、空島はそれに続く。
「うん。小説書いてるんだ、僕。」
「へー!」
確かに、眼鏡をかけている姿は知的なイメージを感じさせる。しかし、マスター程ではないが図体の大きいその姿には想像できない職業だった。目を輝かせた空島を見ながら鳥舟は淡白に付け加えた。
「まあ、小説が売れたことはないんだけどねぇ」
「なんだ。」
空島が両手を頭の後ろに持ってくると、ある一つの疑問が頭を過った。
「え、じゃあ、どうやって生活してるんすか?」
「親が都市部に土地持ってるんだよね。」
「うわぁ、脛齧りまくりっすね。」
鳥舟は腕を組みながら「ハッキリ言うなぁ」とケラケラ笑っていた。空島はハッとする。あまりにも鳥舟が友好的過ぎてつい生意気な態度を取ってしまった。つい最近、会ったばかりで助けて貰った身だというのに。どうやら鳥舟には会った人間をすぐに友人にしてしまう能力を持っているみたいだった。
普段、αが相手だと警戒しがちになる。実際、木待先輩が相手の時は緊張と高揚感を覚えながら会っていた。例え大地のような見知った相手だとしても、空島の気が緩むことはなかった。しかし、鳥舟はαのフェロモンが薄いからか気がつけば、すぐ隣で並んで歩けてしまうくらいには自然に接することができる相手だった。
すぐに空島は心の中で被りを振った。それは自分がΩだからであり、本能でαに惹かれているだけだと自分に言い聞かせた。
「あ、珍しい。人がいる。」
鳥舟の言葉に顔を上げると近くの公園まで歩いていた。鳥舟は公園のベンチで話をしている青年と小学生くらいの少年が並んで座っているのを見ていた。
「いつも人がいなくて寂れてるんだけど、今日は二人もいるね。」
鳥舟はいつもと違う光景に恐らく興味を持ったのだろう。公園の中に足を踏み入れていく。正直、空島は気が進まなかった。理由は単純で、ベンチに座っている二人が知り合いだったからだ。二人は夢中で何やら話をしている。頼むから気がつかないでくれと願ったが、聡明そうな顔つきの少年がこちらに逸早く気がつく。
「あ、空島のお兄さん!」
「のってなんすか。のって」
鳥舟は目を丸くして空島を凝視する。
「知り合いなの?」
「あ、はい。知り合いの弟の大知くんっす。」
鳥舟が関心を持った様子で大知を眺めている。そして視線を大知のすぐ横で一人で慌てて帰り支度を始めている男へと移した。
「この方は?」
「知り合いの同僚の流川くんっす。」
「わー紹介しないで下さい!」
流川は顔を隠しながら叫ぶ。まるで面が割れたらマズイ犯罪者のような反応に空島も鳥舟も笑ってしまった。
「すみません。待ったっすか?」
空島の言葉に鳥舟は首を振る。
「いいや。今日は付き合ってくれてありがとう。」
鳥舟は薄手のジャケットを羽織ってカジュアルな服装をしていた。遠くから見てもスポーツマンのように引き締まった体なのは分かった。
「本当に良かったんすか?お詫びの内容がただの散歩の付き添いで。」
鳥舟は柔らかく笑いながら頷く。
「うん。いつも一人でブラブラしてるからね。たまには人と関わって刺激が欲しいんだよ。書くネタになるからね。」
「ネタ?」
鳥舟が歩き出したので、空島はそれに続く。
「うん。小説書いてるんだ、僕。」
「へー!」
確かに、眼鏡をかけている姿は知的なイメージを感じさせる。しかし、マスター程ではないが図体の大きいその姿には想像できない職業だった。目を輝かせた空島を見ながら鳥舟は淡白に付け加えた。
「まあ、小説が売れたことはないんだけどねぇ」
「なんだ。」
空島が両手を頭の後ろに持ってくると、ある一つの疑問が頭を過った。
「え、じゃあ、どうやって生活してるんすか?」
「親が都市部に土地持ってるんだよね。」
「うわぁ、脛齧りまくりっすね。」
鳥舟は腕を組みながら「ハッキリ言うなぁ」とケラケラ笑っていた。空島はハッとする。あまりにも鳥舟が友好的過ぎてつい生意気な態度を取ってしまった。つい最近、会ったばかりで助けて貰った身だというのに。どうやら鳥舟には会った人間をすぐに友人にしてしまう能力を持っているみたいだった。
普段、αが相手だと警戒しがちになる。実際、木待先輩が相手の時は緊張と高揚感を覚えながら会っていた。例え大地のような見知った相手だとしても、空島の気が緩むことはなかった。しかし、鳥舟はαのフェロモンが薄いからか気がつけば、すぐ隣で並んで歩けてしまうくらいには自然に接することができる相手だった。
すぐに空島は心の中で被りを振った。それは自分がΩだからであり、本能でαに惹かれているだけだと自分に言い聞かせた。
「あ、珍しい。人がいる。」
鳥舟の言葉に顔を上げると近くの公園まで歩いていた。鳥舟は公園のベンチで話をしている青年と小学生くらいの少年が並んで座っているのを見ていた。
「いつも人がいなくて寂れてるんだけど、今日は二人もいるね。」
鳥舟はいつもと違う光景に恐らく興味を持ったのだろう。公園の中に足を踏み入れていく。正直、空島は気が進まなかった。理由は単純で、ベンチに座っている二人が知り合いだったからだ。二人は夢中で何やら話をしている。頼むから気がつかないでくれと願ったが、聡明そうな顔つきの少年がこちらに逸早く気がつく。
「あ、空島のお兄さん!」
「のってなんすか。のって」
鳥舟は目を丸くして空島を凝視する。
「知り合いなの?」
「あ、はい。知り合いの弟の大知くんっす。」
鳥舟が関心を持った様子で大知を眺めている。そして視線を大知のすぐ横で一人で慌てて帰り支度を始めている男へと移した。
「この方は?」
「知り合いの同僚の流川くんっす。」
「わー紹介しないで下さい!」
流川は顔を隠しながら叫ぶ。まるで面が割れたらマズイ犯罪者のような反応に空島も鳥舟も笑ってしまった。
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