ちゃんちゃら

三旨加泉

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「ちゃんちゃら」番外編14話

「ちゃんちゃら」番外編14話


「それで?今日もおデートなわけね、ソラちゃん。」
 マスターがテーブルに肘をつけながらニヤついている。空島は口を尖らせながら奢ってもらったノンアルコールドリンクを口にする。
「空島、髪伸びてきたね。」と隣に座っている海斗もドリンクを口にしている。空島は髪をいじりながらはにかむ。
「やっぱり、その方が落ち着くっす。」
「ねー!言ったでしょっ。ソラちゃんはその方がいいって!」
 空島が苦笑していると、海斗の隣に座っている大地が海斗の腕を掴む。
「おいおい。空島の惚気はその辺にして、式場の下見にそろそろ向かうぞ。」
「料理の試食もするんすよね?良いなぁ。」と羨ましそうに大地たちを空島は眺めた。
「空島は鳥舟さんと結婚するの?」
 さり気ない海斗の質問に空島はドリンクを吹き出した。マスターは「あたしが作ったドリンク、大事にしてよー」と笑っている。空島は飲み物にガムシロップを追加し、マドラーで掻き混ぜながら唸り声をあげる。
「どうっすかねぇ。式を上げる感じはしないっすねぇ。二人で静かに過ごしてそうっすね。」
「あらあら。もう一緒に暮らす準備してるの?」と口に手を当てながらマスターがニヤつかせている。すると、空島は俯きながら顔を真っ赤にさせ、気まずそうに飲み物を掻き混ぜる。
「実は、会いに行くの面倒だから引っ越したっす。」
「あら!」
「空島は燃え上がると展開が早いなぁ」と海斗は感心している。
 それを横目で見遣りながら、大地は全く自分の方を見ない、空島の話に夢中な海斗の腕を抱きしめた。
「だーかーらー!もう下見行くぞ!!」

 慌ただしく海斗たちが去って行ったのを見届けてから数十分後、鳥舟がBARの扉を開けた。
「あら、来たわよ。あんたのダーリン。」とマスターが空島を軽く小突く。空島のすぐ隣に彼は来たが、席には座らなかった。代わりに白い紙袋を掲げる。
「本当に子どもの頃のやつなんだけど、使えるかな?」
「どれどれ」
 そう言って空島は紙袋から一つの球体を取り出す。
「あら、野球でもするの?」と野球ボールを物珍しそうにマスターは見てくる。
「えぇ、ちょっと、久しぶりに。」
 ボールはほつれもなく、硬さも問題無さそうだった。
「キャッチボールするくらいなら全然いけますよ。」
「はー、さすが元野球部だねぇ」と鳥舟は感心している。
「あらあら。ソラちゃん、キャッチするのは鳥舟ちゃんだけじゃ物足りないのね。」と悪戯っ子の笑いをマスターが浮かべているので、空島は呆れながらも「何言ってんすか。」と笑った。


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