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「こっんにっちはぁ~!みんな大好き、ユキリンでっす♡」
この口上だけは譲らなかったので仕方なく許可を出したのだが、八尾と田主は複雑な、犬飼は苦々しい顔をしている。
ユキリンはカメラに向かって今日起こった魔物の襲撃や今現在魔物は結界で閉じ込められている事、それが長くは持たない事やそれを行ったのがミコトら異世界から来た人達である事などを話している。
時折後ろに見える魔物に目線が向くよう、身体の向きを変えながら巧みに伝えている様子は熟練のリポーターのようだ。
「ねぇ、これってテレビにも中継されてるの?」
カメラの画角の横で待っているツバサがミコトに小声で聞くと
「動画配信サイト経由でリアルタイムに繋いで、テレビ局、ラジオ、大手メディアやその他配信サービスや街中の大きい広告ビジョンなんかでも今流れてるみたいよ」
と返ってきた。
途端に緊張が背筋を走る。
ユキリンが質問してミコトが答える形式だから殆ど後ろに立ってるだけだけど、学校の友達にも見られるのかな。
あ、そうか、今は姿が違うや。
じゃあ大丈夫か。
一人で緊張して一人で安心した所でカメラが四人の方を向き、ユキリンが質問を始めた。
用意された質疑応答を数個繰り返した所で、ミコトだけがカメラに向かって話し始める。
「という訳で、この世界の皆さんの力をお貸しいただきたいのです。
私達の世界を食い尽くした魔物は、間違いなくこの世界をも食べるつもりでしょう。ご協力と言っても皆さまにはこの世界を守りたいと強く願っていただけるだけで大丈夫です。
その強い気持ちがエネルギーになります。現在、この放送に私の魔術を電波信号に乗せて皆さまの元へ送っております。
もちろん怖いという方は無理にとは申しません。ですが、皆さまどうかよろしくお願いします」
と言うと深々と頭を下げる。
ユウトとアキラも同時に下げ、ツバサも慌てて腰を折った。
「ハイ!ありがとうございますぅ~!」
ユキリンの声で撮影の終わりが告げられる。
「よく喋りながらあんなややこしい魔術発動出来るよね」
「まぁ曲がりなりにもアンタの師匠だからね」
そう言うミコトの額には脂汗が浮かんでいる。
「じゃ、ここからは弟子の仕事だね」
海を背に立ったアキラが両手で持った杖を前に出し目を瞑る。
が、数秒経ってすぐに目を開いた。
「…ダメだ。少な過ぎる」
「どういう事?」
精神エネルギーになるほどの強い気持ちが足りないという事だろうか。
ユキリンが恐る恐る口を開く。
「今ネットの反応見てるんですけど…炎上してますね。「政府がフェイクニュースを作成」「流行りの異世界モノに乗っかって人気を取ろうとしてる」「合成技術も下手くそ」とか・・・ボロクソです」
目の前で起こっている事だからやっと信じられるけれど、画面越しでこんな異常な状況を信じろという方が難しいのだろうか。
「もう一回あたしから呼びかけてみ」
「ぎゃあぁぁぁ」
「ましょ・・・うか・・・?」
十数メートル離れたミサイル類が設置されている場所から悲鳴が上がり、自衛隊員が二、三人海へと引きずられている。
すぐに犬飼が走りだし叫ぶ。
「何事だ!?」
「攻撃です!敵がぁぁぁ」
大声で答えようとした隊員も砂の上に倒れ、そのまま波打ち際へと引っ張られていく。
アキラが
「結界はまだ張られてる!」
と確認しながら走り出し、一同も後を追う。
ユキリンだけはカメラ係の自衛隊員に何か話しかけ、先に隊員を走らせると後ろの方から小走りで付いてきているようだ。
近くまで来て気が付く。
この触手、これまでの触手よりも遥かに細い、
まるで幼児の腕ほどの太さしかない。
その細さで、アキラの作った網目状の結界の隙間から伸ばしているようだ。
それらが隊員達を捕まえ、海の中へと引きずり込もうとしているのだ。
だが細くなったからかあまりパワーは無いようで、その動きは遅い。
捕まった隊員達の手足や腰を残りの隊員達が持ち、陸の方へと引っ張り抵抗しているおかげで、波打ち際で状況は膠着していた。
「大きなカブみたい…」
ツバサが思わず口にしてしまったが、ホンワカ出来る状況ではない。
すぐに動き、ミコトとアキラは海上を飛びながらさらに近づこうとしてくる触手を。
ユウトとツバサは自衛隊員を捕まえている触手を切っていく。
切って、逃し、また駆けつけて、切る。
十数本は切っただろうか、最後の一人を助けようと顔を向けたところでアキラの声が響いた。
「結界が壊れる!」
同時にパキン!と金属音が鳴りわたり、さらにパリン!というガラスが割れるような音。
全員の目が、壊れていく結界を見ていた。
この口上だけは譲らなかったので仕方なく許可を出したのだが、八尾と田主は複雑な、犬飼は苦々しい顔をしている。
ユキリンはカメラに向かって今日起こった魔物の襲撃や今現在魔物は結界で閉じ込められている事、それが長くは持たない事やそれを行ったのがミコトら異世界から来た人達である事などを話している。
時折後ろに見える魔物に目線が向くよう、身体の向きを変えながら巧みに伝えている様子は熟練のリポーターのようだ。
「ねぇ、これってテレビにも中継されてるの?」
カメラの画角の横で待っているツバサがミコトに小声で聞くと
「動画配信サイト経由でリアルタイムに繋いで、テレビ局、ラジオ、大手メディアやその他配信サービスや街中の大きい広告ビジョンなんかでも今流れてるみたいよ」
と返ってきた。
途端に緊張が背筋を走る。
ユキリンが質問してミコトが答える形式だから殆ど後ろに立ってるだけだけど、学校の友達にも見られるのかな。
あ、そうか、今は姿が違うや。
じゃあ大丈夫か。
一人で緊張して一人で安心した所でカメラが四人の方を向き、ユキリンが質問を始めた。
用意された質疑応答を数個繰り返した所で、ミコトだけがカメラに向かって話し始める。
「という訳で、この世界の皆さんの力をお貸しいただきたいのです。
私達の世界を食い尽くした魔物は、間違いなくこの世界をも食べるつもりでしょう。ご協力と言っても皆さまにはこの世界を守りたいと強く願っていただけるだけで大丈夫です。
その強い気持ちがエネルギーになります。現在、この放送に私の魔術を電波信号に乗せて皆さまの元へ送っております。
もちろん怖いという方は無理にとは申しません。ですが、皆さまどうかよろしくお願いします」
と言うと深々と頭を下げる。
ユウトとアキラも同時に下げ、ツバサも慌てて腰を折った。
「ハイ!ありがとうございますぅ~!」
ユキリンの声で撮影の終わりが告げられる。
「よく喋りながらあんなややこしい魔術発動出来るよね」
「まぁ曲がりなりにもアンタの師匠だからね」
そう言うミコトの額には脂汗が浮かんでいる。
「じゃ、ここからは弟子の仕事だね」
海を背に立ったアキラが両手で持った杖を前に出し目を瞑る。
が、数秒経ってすぐに目を開いた。
「…ダメだ。少な過ぎる」
「どういう事?」
精神エネルギーになるほどの強い気持ちが足りないという事だろうか。
ユキリンが恐る恐る口を開く。
「今ネットの反応見てるんですけど…炎上してますね。「政府がフェイクニュースを作成」「流行りの異世界モノに乗っかって人気を取ろうとしてる」「合成技術も下手くそ」とか・・・ボロクソです」
目の前で起こっている事だからやっと信じられるけれど、画面越しでこんな異常な状況を信じろという方が難しいのだろうか。
「もう一回あたしから呼びかけてみ」
「ぎゃあぁぁぁ」
「ましょ・・・うか・・・?」
十数メートル離れたミサイル類が設置されている場所から悲鳴が上がり、自衛隊員が二、三人海へと引きずられている。
すぐに犬飼が走りだし叫ぶ。
「何事だ!?」
「攻撃です!敵がぁぁぁ」
大声で答えようとした隊員も砂の上に倒れ、そのまま波打ち際へと引っ張られていく。
アキラが
「結界はまだ張られてる!」
と確認しながら走り出し、一同も後を追う。
ユキリンだけはカメラ係の自衛隊員に何か話しかけ、先に隊員を走らせると後ろの方から小走りで付いてきているようだ。
近くまで来て気が付く。
この触手、これまでの触手よりも遥かに細い、
まるで幼児の腕ほどの太さしかない。
その細さで、アキラの作った網目状の結界の隙間から伸ばしているようだ。
それらが隊員達を捕まえ、海の中へと引きずり込もうとしているのだ。
だが細くなったからかあまりパワーは無いようで、その動きは遅い。
捕まった隊員達の手足や腰を残りの隊員達が持ち、陸の方へと引っ張り抵抗しているおかげで、波打ち際で状況は膠着していた。
「大きなカブみたい…」
ツバサが思わず口にしてしまったが、ホンワカ出来る状況ではない。
すぐに動き、ミコトとアキラは海上を飛びながらさらに近づこうとしてくる触手を。
ユウトとツバサは自衛隊員を捕まえている触手を切っていく。
切って、逃し、また駆けつけて、切る。
十数本は切っただろうか、最後の一人を助けようと顔を向けたところでアキラの声が響いた。
「結界が壊れる!」
同時にパキン!と金属音が鳴りわたり、さらにパリン!というガラスが割れるような音。
全員の目が、壊れていく結界を見ていた。
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