ETに出会えるアパートはここですか?

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オレのいる場所(考紀視点)

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 考紀は不思議だった。
 この数か月で事態が急変して、考紀は望んだとおりにセイラ――星來と暮らせるようになったのだから。

 
 
 考紀の母親はどちらかというと子供より自分を優先する人だった。
 若いせいか、かなり子供っぽいし感情的で、考紀は母の事を、どちらかと言うと姉のように思っていた。
 しかし、感情に任せて好きになった男に付いて行ってしまうのは流石に参ってしまった。
 小さい子供が誰もいない家で夜通し留守番なんて、とても恐ろしい事だったから。

 以来、考紀は無理やり母親の仕事場へ付いて行くようになった。
 近くにいられるなら放っておかれようが、帰りがどんなに遅くなっても構わなかった。
 
 そんなある日、母は仕事場で女性同士のいざこざに巻き込まれて、勢いで辞めてしまった。
 しかし、借金もあり、世話になっている黒服から再び紹介されたのが、星來の勤めていた店だ。
 子供ながらに、その店は以前の仕事場以上に怪しいと感じたが、母は時間が自由になるからと、即日で働き始めた。
 

 星來と言う人は不思議な人で、何時その店へ行っても働いていた。
 考紀がおしゃべり好きな女の子から聞いたところ、他人の借金を必死に返しているようで、それを聞いた時は少し変なのかもと思ったものだ。
 その上、店では何故か女の人の恰好をしているし、そのまま接客もしている。
 得にもならないのに預かっている考紀のような子供の相手もしているので、考紀は最初、かなり警戒していた。
 でも、本当に変な人から、母を含めたお店の女の子をそれとなく守っているのに気付いてからは、少しづつ平気になっていった。
 関わってみれば、事なかれ主義なところがあり、できるだけ目立たず平和に暮らそうとしているのも分かる。
 別に子供が好きな訳ではなく、常識的に子供が放置されているのを見て見ぬ振りが出来ないお節介な人だった。
 こう言う人は今まで周りには学校の先生くらいしかいなくて、考紀は興味を惹かれる。

 同じように星來の意外とお節介な性格に気付いたのが、借金取りの黒永だ。
 でも、身体は大きくても小学校のいじめっ子にしか見えない黒永が、星來へ甘えているのが考紀は気に食わなかった。
 この時はこれがどんな感情か良く分からなかったが、母が結婚して新しい父親が出来た時に気付いた事がある。
 
 考紀はいくらしっかりしていてもまだ子供で、星來のような無償で甘えさせてくれる家族が欲しかったのだと。
 黒永もこんな気持ちだったのだろうか……。
 残念ながら義父も、母も、それには該当しない性格をしていたので、星來に会えなくなると考紀はとたんに参ってしまった。
 
 義父と母が仲良くしていても、それは二人の世界で、考紀はその輪の中に入れない。
 もし側に行くと躾の事で義父が考紀を注意するし、時には母もやり玉に挙げるので辛い。
 
 ここでは息が出来ないと思った。
 でも、まだ母がいるので考紀は留まる事ができた……のに、母は一度見限った両親にどうにか頼み込んで、考紀をそちらへ行かせようとした。
 
 そうして、ついに捨てられるのかと愕然とした考紀は家を飛び出して星來の所へ向かう。
 何度も行った事のある、あのオンボロアパートへ。
 

 
 星來は突然来た考紀を何も言わずに受け入れてくれた。
 そこでやっと息が出来るようになって、久しぶりによく眠る事ができた。
 しかも星來は、いつの間にか義父と母を説得して、考紀をあの、息苦しい場所から連れ出してくれたのだ。
 星來は考紀が思っていた様な、ただ優しいだけの人ではなかった。
 
 
 

 それからは今までの暗い生活が嘘のように明るくなった。
 星來の実家へ引っ越したと言っても、アパート暮らしには変わりなかったが、星來は実家の一軒家へ住むことに抵抗感があるらしいので、仕方がない。
 考紀には反対する理由などなく、一緒に暮らせるだけで嬉しかった。

 それにアパートには不思議な人々が住んでいて、毎日会うのが楽しみで仕方ない。
 その人たちも地球人の子供と関わるのは初めてらしく、考紀に興味深々で、暇さえあればお喋りしてくれるのだ。
 自分の住んでいた星の話や、人々の間で伝わる話、特に彼らが子供だった頃の話はとても面白い。
 
 そのうち同じ年の友達も引っ越してきて仲良くなり、毎日が楽しくて、昔の寂しかった事なんて全部忘れてしまった。
 子供なのに、子供になれたと思った。


 もう母が迎えに来ても、考紀は絶対にここを離れたくない。

 どんな時も、あの部屋で、星來は考紀が帰ってくるのを待っていてくれるから。

「おかえりなさい」と言って、笑顔を見せてくれるから。
 

 ・・・・・・・

 
 考紀が星來に恋人の事を聞く時は、反応を見ている時。
 殊勝な事を言っていても、星來が否定するのを見て安心しています。
 だから実際に星來に好きな人が出来たらどうするんだろうか……。
 その辺も書いてみたいですね。

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