【本編完結】僕は魔王になりたくない、好きな人と仲良く暮らしたいだけ。

ume-gummy

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君を探して

助言

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「魔力供給施設? 」
 聞きなれない言葉に僕は首を傾げる。

「そうよ。ここでわたしたちはこの国の『本当の王』に魔力を供給するのが務め。わたし、こう見えても王の娘ですからね。魔力量は多い方よ。この国王が子沢山なのは、余った子供をここに送り込む為でもあるの」
 リトス姫の話だと、ここにいる首輪を付けられた者たちは魔力が多い者ばかりで、中には王族の血を引く庶子や、平民魔族との間に産まれた者もいるらしい。
 そうすると、魔力量の多い僕やガリエナなんかは良い鴨だったんだな。
 ここまで来ると、頻繁に開かれる宴も魔力量の多い者を集める為だったのではないだろうかなどと思ってしまう。
 違う宴では、身分を問わずに参加できるものもあったのだ。
 
 それより一番気になるのが、彼女の言う『本当の王』だ。
 彼は、こんな施設を国に運営させる事ができる程、この国にとって重要な人物なのだろうか?
 もしかしたら国王は傀儡で、裏から実行支配している人物がいるとか?

「その『本当の王』って何なのですか? 」
「さぁ? 魔力供給の時に会っているみたいだけれど、魔力供給の間ではいつも目隠しされてしまうし、記憶も曖昧になってしまうから良く分かないわ。只、この国の王は代々その王に魔力を供給し続ける義務があるのよ」
 姫は急に真顔になり、じっと僕を見た。
 薄絹を被っているので角は見えていない筈。
 僕は平静を装って、姫へと視線を向けた。
 
「心配しなくても、そのうちあなたも呼ばれるわよ。そうそう、薬は飲んでおいた方が良いわよ。覚えてないだけで、実際には何されてるか分からないし……なんて、これは個人的な事で、わたしのおせっかいね」
 何を言い出すのかと一瞬目が泳いでしまった僕を見て、姫は面白そうに口の端を吊り上げる。
 目は笑っていないれど。
 
 そこで扉が軽くノックされる音が聞こえた。
 どうやら10分経ったらしい。

「お迎え? 良かったらまた遊びに来て。わたし暇で暇で仕方ないの」
「はい、ご助言ありがとうございました。また機会があったらぜひ」
 僕は頭を下げると、その場を後にした。
 
 
 部屋を出ると、そこには妙にイキイキしたガリエナがいた。
 この間言っていた話は嘘だろう。
 いや、この場合、趣味と実益を兼ねていると言うのか?

「ジルヴァーノの方はどうだった? こっちは話が聞けたよ」
「僕も聞けたさ。早く部屋に帰って話したい」
 僕は薄絹で再び顔を隠し、ガリエナを引っ張って部屋へ急いだ。

 
 
「いやぁ、ここの女の子たち、すごく積極的だったよ♡」
「お前さぁ……いつも通り過ぎて何か、もういいや」

 僕たちは人払いをして二人きりにしてもらった。
 ガリエナがせっせとお茶を用意してくれるのを見て、相変わらずマメな男だなと思う。

「で、何が聞けた? 」
「大した事は聞けなかったけれど……」
 僕が小声で話し始めると、ガリエナも小声で侍女たちから聞いた話を教えてくれる。
 まぁ、侍女の噂話程度なので、誰と仲良くしておくと得だとか、誰と誰が仲が良いとか、逢引するにはどこが良いとか、そんな話ばかりだった。
 そして僕の番になり、リトス姫に聞いた話をすると、流石のガリエナも眉を顰めた。

「魔力供給……。そんな事をしてどうするんだろう」
「魔力を何かの動力源にしているとかだと思うんだが 」
 僕が知っている限りでは、この国には砂漠地帯があり、化石燃料のようなものが採れる。
 それに海も近く、鉱山からの魔石の産出も豊富で、魔力に困っているとは思えない。
 そもそも魔族や妖精にまで魔力供給させても、増幅器を通さなければ一度に中魔石1つ分にもならないだろう。
 その事を話すと、ガリエナも同意見だった。
 
「しっかし、これは奴隷制度のある国ならではなのかな。自分の娘までここに送って平気なんて」
「王は非情な人物なのか、国の為に仕方なくしているのか。ところで、姫が『本当の王』がいると話していたんだが」
「ああ、オレも聞いた。国王以外にも皆が『王』って呼ぶ人がいるんだよね。挨拶したいって言ったら、誰もがそのうち会えるから今はいいって言うんだ」
「姫が言うには、魔力供給は代々のその者に対する義務だと言っていた。間違いなく、この国の権力に深く入り込んだ者がいるのだな」

 僕たちはその者の事をもう少し調べてみる事にした。
 ここを出るなら、方法は何であれ、きっと最後はその王とやらに出してもらうしかない。
 どんな人物か知る事は重要だろう。
 

 それと例の薬に関してだが、姫に使った方が良いとアドバイスされた、とガリエナに言ったら何かを察したらしく顔を青くしていた。
 魔力供給に必要とか、一体何なのだろう。
 男性が王を受け入れる為に必要な薬と言っていたな。
 
 ……。
 ……まさかだよな。

 僕はそれ以上考えたくなくて思考を切り替えた。

「そうだ。この服だが、侍女に相談したら男性用を用意してもらえるだろうか」
「今ので良いじゃない。似合ってるよ」
 そう言って、ガリエナは真顔でお茶を飲んだ。

 こんな時でも冗談を言える奴が羨ましい。

 
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