気が付いたら乙女ゲームの王子になっていたんだが、ルートから外れたので自由にして良いよね?

ume-gummy

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閑話・転生したら普通でした?

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 ジリリリリリリ・・・
「ここは・・・どこだ?」
 けたたましいベルのような音で目覚めると、そこは全く知らない場所だった。
 音が鳴り止まなくて煩い。
「煩い!」
 音源の時計を壁へ投げつけたらカチャンと音がして、やっと止まった。

 キョロキョロと辺りを見回す。
 私は狭い物置のような部屋の小さいベッドの上に眠っていた。
 夢でなければ、私は先程まで自分の誕生日パーティに出席していた筈だ。
 まさか攫われて閉じ込められているのだろうか?
 そうなら部屋の外に私を攫ったものか仲間がいるのではないかと思い、直ぐには起き上がらずに何か思い出せないかと記憶を探ってみる。

 池上 蓮いけがみ れん18歳 高校3年生
 家族構成:父(さとし)・母(彩子あやこ)・妹(結愛ゆあ)|

「???」
 バタン
「誰だ?」
「蓮、遅刻するわよ!いい加減起きなさい。」
 突然ノックもせずに見知らぬ妙齢の女性が入ってきた。
 パッと頭の中に彼女の顔が浮かぶ。
「母・・・上?」
「寝ぼけてるんじゃないわよ。
 時間が無いわ、着替えなさい!」
 そう言って服を指し示し、母親は階段を下りて行ってしまった。
 今まで着替えは誰かに手伝ってもらっていた。
 ここでは自分で着替えなくてはならないようだ。
 記憶を探って、服を身に着けて姿見の前に立つ。
 そこには母親と同じ黒髪、黒目の男が写っていた。

「ふーん。」こいつが蓮か。
 どうやら私はこの男の中に入ってしまったらしい。
 以前、他人の中に入り込んで操る魔法があると聞いた事がある。
 そういう類のものかもしれない。
 家族も気付いていないようだ。

 カーテンを開けて外を見てみると、見た事のない建物で埋め尽くされている。
 ・・・ここは何なのだ?違う世界なのか?
 それならば下手に騒ぎ立てするより、目立たぬよう情報を集めて、元に戻る方法を探した方が良いだろう。

 もう一度鏡の中の男をじっと見る。
 前の自分に比べると地味でぱっとしないが、なかなか整った顔立ちをしていた。
 そして何かしら訓練をしているのだろうか、身体が以前より締まっていて軽い。
 髪は短く整っていて清潔だが、服は簡素だし、使用人はいないようだし、こいつは平民なのだろうか。
 ・・・危険がなければ暫くこの男の生活を楽しむのも良いかもな。

「ご飯食べる時間が無くなっちゃうわよ!」
 まじまじと蓮を眺めていると母親に呼ばれたので、下の階へと下りて行った。
 やはり監禁などされている訳ではないようだ。

 食堂と思われる部屋には母親の他に少し年の行った男性と、若い女性が座っていた。
 ・・・父親と妹か。
「おはようございます。」
 とりあえず挨拶をしてみる。
「おはよう。」
「おはよう、お兄ちゃん!」
 そこでどうしたら良いか判らずに立っていると、母親に席に着くように促された。
 そこにはパンとスープとミルク、それに加工した肉と卵を焼いたものが用意されていた。
 おそるおそる口を付ける。
「美味・・・」
 私はあっという間にすべて食べてしまう。
 食べてしまってから気付いたが、毒などは盛られていなかった。
 それにテレビという遠見の術が掛けれられた不思議な箱があった。
 あれは面白い。時間があったらじっくり見てみよう。

 その後、妹の真似をして顔を洗い、カバンを持って来るように言われ、母親からお弁当という物を渡されるとチャイムの音が鳴り響いた。
「蓮、お迎えよ。」
 外へ出るとベルンハルト程ではないが、大きな男が立っていた。
 顔は怖いがを見る目は優しい。
 悪い奴ではなさそうだ。
「おはよう、蓮。」
 記憶を探ってみると、室井 海斗17歳と出てきた。
 武器は持っていないが、護衛か何かか?
「これ、今日はお前の誕生日だろう?」
 海斗は俺にと綺麗に包まれた箱を渡してきた。
「18歳おめでとう。開けてみろよ。」
「ああ・・・」

 一瞬、身構えてしまったが、海斗の表情は柔らかくて悪いものの様ではなかったので箱を受け取った。
 恐る恐る開けると、そこには鳥の羽をモチーフにしたシルバーのネックレスが入っていた。
「これ・・・綺麗だな。」
「だろ?お前、こういうの欲しいって言ってたから、似合いそうなのを探したんだぞ。」
 海斗が私に微笑みかけた。
 笑うとなかなか見目の良い男だ。気に入った。

「ありがとう、大事にするよ、海斗・・・!!」
 そうか、解った!
 アクセサリーを送り合うなんて、こいつは蓮の恋人か!
 そうとなれば、連に代わって気持ちを返さなければな。


 私は海斗に抱きついて、唇に熱烈なキスを送った。

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