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4章 それぞれの愛のかたち
62.義姉の望み②
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「馬鹿も~ん!! お前は、セイカまで殺すつもりか? セイヤだけならまだ大目に見れるがな」
「そんなつもりはないです。あいつがセイカと一緒にいるのが悪いんです。……セイカに嫌われてしまいましたよね?」
「当たり前だ。セイカはセイヤと違ってまともに育ってるから、よくても必要最低限の会話ぐらいだろうな」
「…………」
地上からルーナスさんの怒り声が聞こえ何事思い視線を向けると、ピンクのセミロングで黒人ぽい女性を怒鳴り付けている。
台詞からして彼女が私達に攻撃を仕掛けてきた張本人にようだけど、私がいるって言うのは想定外だったらしい。それについては滅茶苦茶凹んで反省している。
と言うことはこの女性が
「マヒナ?」
「……やっぱりそうなんだ」
パパが呟き予想は確定となった。
思っていた以上の危険人物で、関わりたくないと言う気持ちがさらにます。
せっかくここまで来たのだからいろいろと見て回りたかったけれど、それはまた今度にして今はとにかく帰りたい。
「ねぇ、パパ。帰ろうよ」
「そうだな。その方が良いかも知れない。先生に頼んでみよう」
私の願いをすんなり聞き入れてくれ、地上へ降りる。
炎の海はすでに沈下されているけれど、やけ野原になっていた。
「ルーナス先生、星歌が帰りたがってるので、先に帰ってもらえませんか? 俺はスピカの匂いの原因を調べてから帰ります」
「だったら私も残る。こんなイカれた人と二人っきりにさせられない」
「!!」
どうもあっさり頷いてくれたと思ったらそう言うからくりで、当然のように私をルーナスさんにお願いする。
もちろんそれは却下で強く否定し、マヒナさんを指差し睨み付ける。
するとマヒナさんは動揺させしょんぼりして涙目になった。
いつもだったら罪悪感を感じるけれど、今はそれもない。
「星歌、そんなこと言ったらいけないよ。彼女は母さんが愛してた義娘で、お前を大切にしてくれた義姉なんだから」
「お前なんかに同情されたくない」
それなのにパパは私の視線に合わせそうじゃないと言って私の考えを改めようしている中、マヒナさんはパパへ殺意をむき出しにしてそうきっぱり切り捨てる。
本当にパパを毛嫌いしているのがよく分かり、だったら私も歩み寄りするなんて絶対に無理。
「私はパパを悪く言う人と仲良くするつもりはない」
「こいつは母様を護れなかった腑抜けなんだ」
「……っ」
「違う。パパはいつだって私を護ってくれてる。あんたなんか大嫌い」
バッシン
マヒナさんは憎しみを持ってパパを侮辱し傷つけるから、私の怒りは頂点に達しグーで顔面を殴りつける。
まさか私が手を出すなんて思っていなかったようで、もろに決まりノックアウト。地面に思いっきり叩きつけられ、苛立った心がスッとす晴れた。
お母さんを護れなかったって、あれは不可抗力でしょう?
そもそもそれを言ったらマヒナさんだって、お母さんを護れなかったのは同じこと。
自分のことを棚に上げて人になすりつけるなんて最低。
「だから言わんこっちゃない」
「パパ、今のうちにお母さんの匂いの元を探しに行こう」
「そ、そうだな」
そんな私に圧倒されたパパは反論することなく頷き、今度は手を繋いでお母さんの匂いを辿ることにした。
ここにやって来て初めて見つけた一軒のログハウス。しかも生活感があって廃村には似合わない光景だった。ここ以外の場所は荒れ果てていて草木はぼうぼう生い茂っている。
「どうやら匂いの元はあの家からするみたいだ」
「そうだね。私もそう思う」
パパの言葉に私もそう思う頷くと、どこか緊張しているようで私も余計緊張する。
お母さんの匂いの元は、一体なんだろう?
いくらなんでもマヒナさんの嫌がらせじゃないよね?
二人で慎重になり家へ近づくと、庭先で赤毛の女性がせっせと洗濯物を干している姿が目に入った。
後姿だったからどんな顔をしているのか分からないのに、パパは急に幽霊でも見た真っ青な表情へと変わっていく。手は汗でびっしょりになって明らかに様子がおかしい。
「──スピカだ」
「は、お母さんは死んだはずでしょ?」
「そうだ。でもあれは間違えなくスピカだ。俺がスピカを間違えるはずがない」
ありえないことを言って再び我を忘れ今度は私と繋いでる手を放し、一人で女性の元にフラフラと歩き出す。
パパは断言するけれど、何かが違う気がする。
【セイカのパパ、行っちゃだめ~!!】
バコ~ン
大人しかったチョピがバックから飛び出し、先行くパパの頭に跳び蹴りしくるりと回り私の頭上に戻って来る。跳び蹴りされ我に戻ったのか辺りを見回す。
「チョピ、どうしたの?」
【あれはホムンクルスだよ】
「ホムンクルスって、錬金術で生命体を作るって言う奴だよね?」
【そう。ホムンクルスは脳みそが空っぽで心を持たないから、制御不能の凶悪な殺人鬼。作る意味がないからお蔵入りした錬金術】
「…………」
ホムンクルスと聞いて不謹慎だけどワクワク気分で聞くけれど、詳細を聞いてどうしようもなくガッカリ感が半端じゃなかった。でもそれだけ生命体をを人工的に作るのは、難しいんだろう。
そう言えば私を器にして魔王復活って言うのもある意味ホムンクルスだと思うんだけれど、チョピが言うとおり頭が空っぽだったら無意味。世界を滅ぼすだけならありえるけれど、それって誰得?
それとも忍はネクロマサーだから、その辺はもう対策済みなんだろうか?
「パパ、あの人はホムンクルスらしい」
「!? ホムンクルスがなぜスピカの姿なんだ?」
「魔王復活のための試作?」
信じられないと言わんばかりのパパの呟きに、反射的に余計な憶測を言葉にしていた。案の定パパは絶望的な表情に変わりその場に立ち尽くし、私も気まずさを感じ何も言えずルーナスさん達がやって来るまで沈黙が続くのだった。
「そんなつもりはないです。あいつがセイカと一緒にいるのが悪いんです。……セイカに嫌われてしまいましたよね?」
「当たり前だ。セイカはセイヤと違ってまともに育ってるから、よくても必要最低限の会話ぐらいだろうな」
「…………」
地上からルーナスさんの怒り声が聞こえ何事思い視線を向けると、ピンクのセミロングで黒人ぽい女性を怒鳴り付けている。
台詞からして彼女が私達に攻撃を仕掛けてきた張本人にようだけど、私がいるって言うのは想定外だったらしい。それについては滅茶苦茶凹んで反省している。
と言うことはこの女性が
「マヒナ?」
「……やっぱりそうなんだ」
パパが呟き予想は確定となった。
思っていた以上の危険人物で、関わりたくないと言う気持ちがさらにます。
せっかくここまで来たのだからいろいろと見て回りたかったけれど、それはまた今度にして今はとにかく帰りたい。
「ねぇ、パパ。帰ろうよ」
「そうだな。その方が良いかも知れない。先生に頼んでみよう」
私の願いをすんなり聞き入れてくれ、地上へ降りる。
炎の海はすでに沈下されているけれど、やけ野原になっていた。
「ルーナス先生、星歌が帰りたがってるので、先に帰ってもらえませんか? 俺はスピカの匂いの原因を調べてから帰ります」
「だったら私も残る。こんなイカれた人と二人っきりにさせられない」
「!!」
どうもあっさり頷いてくれたと思ったらそう言うからくりで、当然のように私をルーナスさんにお願いする。
もちろんそれは却下で強く否定し、マヒナさんを指差し睨み付ける。
するとマヒナさんは動揺させしょんぼりして涙目になった。
いつもだったら罪悪感を感じるけれど、今はそれもない。
「星歌、そんなこと言ったらいけないよ。彼女は母さんが愛してた義娘で、お前を大切にしてくれた義姉なんだから」
「お前なんかに同情されたくない」
それなのにパパは私の視線に合わせそうじゃないと言って私の考えを改めようしている中、マヒナさんはパパへ殺意をむき出しにしてそうきっぱり切り捨てる。
本当にパパを毛嫌いしているのがよく分かり、だったら私も歩み寄りするなんて絶対に無理。
「私はパパを悪く言う人と仲良くするつもりはない」
「こいつは母様を護れなかった腑抜けなんだ」
「……っ」
「違う。パパはいつだって私を護ってくれてる。あんたなんか大嫌い」
バッシン
マヒナさんは憎しみを持ってパパを侮辱し傷つけるから、私の怒りは頂点に達しグーで顔面を殴りつける。
まさか私が手を出すなんて思っていなかったようで、もろに決まりノックアウト。地面に思いっきり叩きつけられ、苛立った心がスッとす晴れた。
お母さんを護れなかったって、あれは不可抗力でしょう?
そもそもそれを言ったらマヒナさんだって、お母さんを護れなかったのは同じこと。
自分のことを棚に上げて人になすりつけるなんて最低。
「だから言わんこっちゃない」
「パパ、今のうちにお母さんの匂いの元を探しに行こう」
「そ、そうだな」
そんな私に圧倒されたパパは反論することなく頷き、今度は手を繋いでお母さんの匂いを辿ることにした。
ここにやって来て初めて見つけた一軒のログハウス。しかも生活感があって廃村には似合わない光景だった。ここ以外の場所は荒れ果てていて草木はぼうぼう生い茂っている。
「どうやら匂いの元はあの家からするみたいだ」
「そうだね。私もそう思う」
パパの言葉に私もそう思う頷くと、どこか緊張しているようで私も余計緊張する。
お母さんの匂いの元は、一体なんだろう?
いくらなんでもマヒナさんの嫌がらせじゃないよね?
二人で慎重になり家へ近づくと、庭先で赤毛の女性がせっせと洗濯物を干している姿が目に入った。
後姿だったからどんな顔をしているのか分からないのに、パパは急に幽霊でも見た真っ青な表情へと変わっていく。手は汗でびっしょりになって明らかに様子がおかしい。
「──スピカだ」
「は、お母さんは死んだはずでしょ?」
「そうだ。でもあれは間違えなくスピカだ。俺がスピカを間違えるはずがない」
ありえないことを言って再び我を忘れ今度は私と繋いでる手を放し、一人で女性の元にフラフラと歩き出す。
パパは断言するけれど、何かが違う気がする。
【セイカのパパ、行っちゃだめ~!!】
バコ~ン
大人しかったチョピがバックから飛び出し、先行くパパの頭に跳び蹴りしくるりと回り私の頭上に戻って来る。跳び蹴りされ我に戻ったのか辺りを見回す。
「チョピ、どうしたの?」
【あれはホムンクルスだよ】
「ホムンクルスって、錬金術で生命体を作るって言う奴だよね?」
【そう。ホムンクルスは脳みそが空っぽで心を持たないから、制御不能の凶悪な殺人鬼。作る意味がないからお蔵入りした錬金術】
「…………」
ホムンクルスと聞いて不謹慎だけどワクワク気分で聞くけれど、詳細を聞いてどうしようもなくガッカリ感が半端じゃなかった。でもそれだけ生命体をを人工的に作るのは、難しいんだろう。
そう言えば私を器にして魔王復活って言うのもある意味ホムンクルスだと思うんだけれど、チョピが言うとおり頭が空っぽだったら無意味。世界を滅ぼすだけならありえるけれど、それって誰得?
それとも忍はネクロマサーだから、その辺はもう対策済みなんだろうか?
「パパ、あの人はホムンクルスらしい」
「!? ホムンクルスがなぜスピカの姿なんだ?」
「魔王復活のための試作?」
信じられないと言わんばかりのパパの呟きに、反射的に余計な憶測を言葉にしていた。案の定パパは絶望的な表情に変わりその場に立ち尽くし、私も気まずさを感じ何も言えずルーナスさん達がやって来るまで沈黙が続くのだった。
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