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4章 それぞれの愛のかたち
63.義姉の望み③
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「何もかもがぶっ飛び過ぎて、処理能力がおいつかない……」
ルーナスさん達に見つけられた私とパパはログハウスに通され、マヒナさんからホムンクルスだろう女性のいきさつを説明された。
突っ込みどこ満載でそれしか言えず頭を抱える私。パパなんてあまりのことに放心状態。
ホムンクルスの女性は私の予想通りで、魔王復活のための試作人。
お母さんの死体の一部を使いホムンクルスにしたようで、自我はないものの簡単な命令はきちんとこなせるらしい。
忍曰く失敗作でニシキに廃棄を頼んだけれど、ニシキはマヒナさんに託しこの地でひっそり暮らしているそうだ。
これだけでも驚愕の事実でマヒナさんを疑えば、ニシキは実はスパイでマヒナさんの味方だって言ってきた。とてもじゃないけれど信じられなくって、取り敢えずこれは保留。
そして魔王一族は魂と肉体の命が別にあり、命を失っても魂は生きいれば肉体を捨てこの世を彷徨うと言われている。魂は相性が良い魂のない肉体があれば復活が可能らしく、ホムンクルスは作られたそうだ。でもホムンクルスに魂の定着した成功例はないらしく、忍も苦戦しているらしい。
だから忍はホムンクルスを器にするのは諦め、魔王の孫娘である私を器にしようと考えた。結婚して新たな魔王を産む選択肢があったのは、器にするのは私じゃなくても魔王一族の血筋であれば誰でもいい。忍にとって私は道具でしかない。
「私も多少なりとも混乱している」
博識のルーナスさんもこの驚愕の真実は初耳だったらしく、私達同様頭を抱え困惑していた。
特にニシキは私に優しかったのは事実だけれど、忍の忠実なる下部そのものだった。それなのに実はスパイでマヒナさんの仲間だって言われても、お人好しじゃないからはいそうですかとは言えない。
そもそもマヒナさん自体信用してないから、マヒナさんが忍の部下でスパイと言う可能性の方が高い。パパを憎んでるしね。
魔王一族についての情報は真実だと思う。
「それで頼みと言うのは、母様の魂を見つけて、あのホムンクルスに定着させて欲しいんだ。可能性は低いとしても、聖女であるセイカなら母様は蘇るかも知れない」
「マジですか?」
処理能力がおいつかないと言っているのに待ってはくれず、今度は突拍子もないお願いにどうでも良くなってしまった。
それをやって良いんだろうか?
「マヒナ、お主はどうして毎回自分の意見ばかり主張して、相手の話を聞こうとしないんだ」
「え、だって母様が蘇れば、セイカも嬉しいはずです」
「あのなマヒナ。セイカは魔術が存在しない異世界で人間として育てられた。こちらに来て一ヵ月足らずなのだから、そのようなことを言ってもすぐには信じられないだろう。考える時間をあげなさい」
ルーナスさんは私を察してくれ全部代わりに言ってくれたのに、マヒナさんにはまったく伝わらない。それどころかなぜかパパに殺意を向ける。
????
「は、セイカを人間? 貴様、それは本当なのか?」
「ああ、本当だ。二度とトゥーランには戻らないつもりでいた。今もすべてが終われば、地球へ戻るつもりでいる」
「ふざけんな。セイカは誇り高き魔王一族。新たなる魔王となる女性なんだ」
「はい?」
「冗談じゃない。星歌を魔王になどさせない」
話はどんどん大きくなり流石のパパもこれにはお冠のご様子で、マヒナさんと口論になり火花を散らす。二人の殺気は強烈で触れたら怪我をしそうだ。
それにしても私が魔王になる?
魔王って言うと怖ろしい邪悪な者ってイメージだけど、魔族の女王様になるって思えば怖くない。
魔王一族は、魔族の王族の血筋。
そう考えると魅力があって憧れるけれど、私は王女様って言う柄じゃない。
自分のことだって満足に護れずパパと龍くんに護られているのに、民達を護るなんて無理ゲーも良い所。
民達だってそんな人が王女になったら迷惑──
「あ、私魔族が嫌ってる人間とのハーフなんだから、きっと民達が私を認めてくれないよ。民主主義にしたら良いんじゃないかな?」
よく考えずに明るく思った正論を言った直後、口論はピタッと止まり二人そろって悲しげに私を見つめた。
地雷だった?
「そんなことない。確かに今は大半の魔族が人間を嫌っているが、魔王を倒した英雄は魔族でも英雄と称されている。あたしは認めてないが」
「魔王は十年以上も魔族さえも苦しめていたからな。むしろ多くの魔族は魔王復活など望んでいない」
「え、そうなの? でもそしたら余計民主主義にした方が良いよ」
人間とは違い魔族は私を受け入れてくれることを知りそれは嬉しいけれど、そんなんなら私が女王になる必要がなく民主主義を再度押す。
魔族の王族でも暴君魔王の孫娘。女王にしたら二の舞になる危機感はないのだろうか? ……しないけど。
魔族の頭の中が分からない。
「俺もそれが良いと思う。でももし本当にスピカの魂が今でも彷徨っているのならば、蘇らせるのは別にしても捜したい」
パパの考えは正常で私の肩をそっと抱き寄せ、話を元のお願いに戻し自分の意思を告げる。蘇らせると言わなかったのは、私と同じで違和感があるのかも知れない。
後で二人になった時にでも話しをしよう。
「パパがそう言うなら捜そう。だけどなんで私に頼むの?」
「それはセイカが聖女だから。聖女と聖霊チョピは、魂の声を聞くことが出来ると言われている」
「そうなんだ。聖女ってすごいね」
自分のことなのに感心してしまい、なんだかやる気がとてつもなく出てくる。
これはマヒナさんのためではなくパパと私自身のため。
それでお母さんと話が出来たら、私も嬉しい。
ルーナスさん達に見つけられた私とパパはログハウスに通され、マヒナさんからホムンクルスだろう女性のいきさつを説明された。
突っ込みどこ満載でそれしか言えず頭を抱える私。パパなんてあまりのことに放心状態。
ホムンクルスの女性は私の予想通りで、魔王復活のための試作人。
お母さんの死体の一部を使いホムンクルスにしたようで、自我はないものの簡単な命令はきちんとこなせるらしい。
忍曰く失敗作でニシキに廃棄を頼んだけれど、ニシキはマヒナさんに託しこの地でひっそり暮らしているそうだ。
これだけでも驚愕の事実でマヒナさんを疑えば、ニシキは実はスパイでマヒナさんの味方だって言ってきた。とてもじゃないけれど信じられなくって、取り敢えずこれは保留。
そして魔王一族は魂と肉体の命が別にあり、命を失っても魂は生きいれば肉体を捨てこの世を彷徨うと言われている。魂は相性が良い魂のない肉体があれば復活が可能らしく、ホムンクルスは作られたそうだ。でもホムンクルスに魂の定着した成功例はないらしく、忍も苦戦しているらしい。
だから忍はホムンクルスを器にするのは諦め、魔王の孫娘である私を器にしようと考えた。結婚して新たな魔王を産む選択肢があったのは、器にするのは私じゃなくても魔王一族の血筋であれば誰でもいい。忍にとって私は道具でしかない。
「私も多少なりとも混乱している」
博識のルーナスさんもこの驚愕の真実は初耳だったらしく、私達同様頭を抱え困惑していた。
特にニシキは私に優しかったのは事実だけれど、忍の忠実なる下部そのものだった。それなのに実はスパイでマヒナさんの仲間だって言われても、お人好しじゃないからはいそうですかとは言えない。
そもそもマヒナさん自体信用してないから、マヒナさんが忍の部下でスパイと言う可能性の方が高い。パパを憎んでるしね。
魔王一族についての情報は真実だと思う。
「それで頼みと言うのは、母様の魂を見つけて、あのホムンクルスに定着させて欲しいんだ。可能性は低いとしても、聖女であるセイカなら母様は蘇るかも知れない」
「マジですか?」
処理能力がおいつかないと言っているのに待ってはくれず、今度は突拍子もないお願いにどうでも良くなってしまった。
それをやって良いんだろうか?
「マヒナ、お主はどうして毎回自分の意見ばかり主張して、相手の話を聞こうとしないんだ」
「え、だって母様が蘇れば、セイカも嬉しいはずです」
「あのなマヒナ。セイカは魔術が存在しない異世界で人間として育てられた。こちらに来て一ヵ月足らずなのだから、そのようなことを言ってもすぐには信じられないだろう。考える時間をあげなさい」
ルーナスさんは私を察してくれ全部代わりに言ってくれたのに、マヒナさんにはまったく伝わらない。それどころかなぜかパパに殺意を向ける。
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「は、セイカを人間? 貴様、それは本当なのか?」
「ああ、本当だ。二度とトゥーランには戻らないつもりでいた。今もすべてが終われば、地球へ戻るつもりでいる」
「ふざけんな。セイカは誇り高き魔王一族。新たなる魔王となる女性なんだ」
「はい?」
「冗談じゃない。星歌を魔王になどさせない」
話はどんどん大きくなり流石のパパもこれにはお冠のご様子で、マヒナさんと口論になり火花を散らす。二人の殺気は強烈で触れたら怪我をしそうだ。
それにしても私が魔王になる?
魔王って言うと怖ろしい邪悪な者ってイメージだけど、魔族の女王様になるって思えば怖くない。
魔王一族は、魔族の王族の血筋。
そう考えると魅力があって憧れるけれど、私は王女様って言う柄じゃない。
自分のことだって満足に護れずパパと龍くんに護られているのに、民達を護るなんて無理ゲーも良い所。
民達だってそんな人が王女になったら迷惑──
「あ、私魔族が嫌ってる人間とのハーフなんだから、きっと民達が私を認めてくれないよ。民主主義にしたら良いんじゃないかな?」
よく考えずに明るく思った正論を言った直後、口論はピタッと止まり二人そろって悲しげに私を見つめた。
地雷だった?
「そんなことない。確かに今は大半の魔族が人間を嫌っているが、魔王を倒した英雄は魔族でも英雄と称されている。あたしは認めてないが」
「魔王は十年以上も魔族さえも苦しめていたからな。むしろ多くの魔族は魔王復活など望んでいない」
「え、そうなの? でもそしたら余計民主主義にした方が良いよ」
人間とは違い魔族は私を受け入れてくれることを知りそれは嬉しいけれど、そんなんなら私が女王になる必要がなく民主主義を再度押す。
魔族の王族でも暴君魔王の孫娘。女王にしたら二の舞になる危機感はないのだろうか? ……しないけど。
魔族の頭の中が分からない。
「俺もそれが良いと思う。でももし本当にスピカの魂が今でも彷徨っているのならば、蘇らせるのは別にしても捜したい」
パパの考えは正常で私の肩をそっと抱き寄せ、話を元のお願いに戻し自分の意思を告げる。蘇らせると言わなかったのは、私と同じで違和感があるのかも知れない。
後で二人になった時にでも話しをしよう。
「パパがそう言うなら捜そう。だけどなんで私に頼むの?」
「それはセイカが聖女だから。聖女と聖霊チョピは、魂の声を聞くことが出来ると言われている」
「そうなんだ。聖女ってすごいね」
自分のことなのに感心してしまい、なんだかやる気がとてつもなく出てくる。
これはマヒナさんのためではなくパパと私自身のため。
それでお母さんと話が出来たら、私も嬉しい。
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